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未完の残念~西ゆうじ氏「あんどーなつ」「華中華」

先日、いわしげ孝氏の訃報を惜しむ記事を書いた時にふれたが、コミック原作者の西ゆうじ氏が亡くなった。

ビッグコミック・オリジナル」の最新号に、西氏の追悼記事が掲載されている。

同誌に連載されていた「あんどーなつ」は、西氏の原作だった。
ビッグコミック」連載の「華中華(ハナ・チャイナ)」ともども、未完のままでの終了となってしまった。

前者は、浅草の和菓子店を舞台にした、和菓子職人、安藤奈津が主人公の物語。
後者は、横浜中華街を舞台にした、中華料理の料理人、華子が主人公の物語。

善意あふれる人たちが織りなす物語、という点が共通している。

どちらも読み切り形式ではなく、物語を貫くストーリーがあり、ちょうど、ストーリーに転換が訪れつつあるところでの原作者逝去となった。

これからの展開がどうなるか、楽しみにしていただけに、突然未完で打ち切られてしまったのは、残念というに尽きる。

モーツァルトのレクイエムや、マーラーの10番を始めとする、未完の音楽作品同様の無念さがある。

今回読んだ追悼記事によると、西氏は、亡くなる5日前に、病室で、頭の中にある今後の展開について、編集部の人に語ったそうだ。
しかし、口述の構想を編集部がまとめて原作にしたいとの提案は、即座に拒否したのだそうだ。

自らの手で、という気持ちがあったのだろうか。

石ノ森章太郎氏の「ホテル」や「サイボーグ009」は、氏の逝去後、創作ノート等を元にして、続編が発表されている。
それぞれの考え方なのだろう。

それにしても。
続いていたら、どんな物語になっていたんだろう。

ブルックナーの9番の4楽章や、シューベルトの「未完成」の3楽章以下を想像することがあっても、何となく、長年聴いていると、前者が3楽章で終わり、後者が2楽章で終わってもそれなりに納得する感覚はある。

しかし、「あんどーなつ」も「華中華」も、明らかに話が途中で断ち切られてしまった形だ。

残念。

※関連の過去記事
    いわしげ孝氏逝去
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/63577432.html