naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

非常に惜しまれる把瑠都の引退

9月場所の番付で十両に陥落した元大関把瑠都が、場所を前にして、引退届を提出。非常に惜しまれる。

私は、把瑠都のファンだったわけではないが、珍しいエストニアからの入門ということもあり、下の頃から注目していた。

初土俵から8場所での十両昇進。そして、北の冨士以来、絶えて久しくなかった十両での全勝優勝。

新入幕の場所ではさっそく三賞を獲得するなど、順調な出世だった。

大関昇進後は、いささか物足りない成績ではあったが、立ち会いの突きがツボにはまった時の強さ、また、その体躯を生かした問答無用の投げや吊り。

雑で荒削りな相撲ではあったものの、この人ならではの魅力があった。

何より、白鵬と五分に力相撲をとれる数少ない力士だった(対戦成績は悪かったが)。

一方、あんな相撲をとっていたら、怪我が多いのも当然、と思わせる力士でもあった。

相撲を少し考え直してくれれば、怪我も減るだろうし、横綱もねらえるだろうと思っていた。白鵬の一人横綱時代、大関陣の中から横綱になるなら、把瑠都だろうと見ていた。

しかし、結局は、それがかなわず、怪我に負けたままで力士生活を終える形となってしまった。

いよいよ把瑠都も花開くかと期待した、昨年1月場所での初優勝。

それからちょうど1年後の今年1月場所を、関脇に陥落して迎えることになるとは、誰が予想しただろうか。

そして、重なる怪我のために、関脇から平幕、そして十両と、坂道を転がり落ちる石のごとき番付の下降だった。

十両には落ちても、年齢的にはまだまだやれるはずだし、怪我さえ治れば、大関復帰も可能と思っていた。

場所が近づいても、満足な稽古ができないとの報道に、そこまで怪我が思わしくないのか、とは案じていた。

しかし、即引退とは・・・。

よほど回復の見込みがなかったのだろう。そこまでの状態だったとは、察するに余りある。

把瑠都の力士生活は、怪我のために道の途中で断ち切られた。彼が「力士としての天命」を全うできなかったのは、相撲ファンから見ても大きな損失だと思う。同様の例は、貴乃花以来ということになろうか。

把瑠都の、あの型破りな相撲がもう見られないと思うと、残念の一言に尽きる。