新入幕の場所ではさっそく三賞を獲得するなど、順調な出世だった。
大関昇進後は、いささか物足りない成績ではあったが、立ち会いの突きがツボにはまった時の強さ、また、その体躯を生かした問答無用の投げや吊り。
雑で荒削りな相撲ではあったものの、この人ならではの魅力があった。
何より、白鵬と五分に力相撲をとれる数少ない力士だった(対戦成績は悪かったが)。
一方、あんな相撲をとっていたら、怪我が多いのも当然、と思わせる力士でもあった。
しかし、結局は、それがかなわず、怪我に負けたままで力士生活を終える形となってしまった。
いよいよ把瑠都も花開くかと期待した、昨年1月場所での初優勝。
それからちょうど1年後の今年1月場所を、関脇に陥落して迎えることになるとは、誰が予想しただろうか。
そして、重なる怪我のために、関脇から平幕、そして十両と、坂道を転がり落ちる石のごとき番付の下降だった。
場所が近づいても、満足な稽古ができないとの報道に、そこまで怪我が思わしくないのか、とは案じていた。
しかし、即引退とは・・・。
よほど回復の見込みがなかったのだろう。そこまでの状態だったとは、察するに余りある。
把瑠都の、あの型破りな相撲がもう見られないと思うと、残念の一言に尽きる。