９月場所11日目～白鵬の相撲がおかしい

新入幕の遠藤が、実力者旭天鵬に堂々たる相撲をとって勝ち越し。
立会い、当たりが低いのもよかったが、とにかく右の前まわしが早かった。しかもいい位置をとった。
すぐさま右からの上手投げに行ったが、これがきれいに決まった。
旭天鵬としては、脱帽といった心境ではなかっただろうか。
それにしても、大したものだ。顔も身体もいいし、今後、怪我することなく伸びてくれるのを祈るばかりだ。

松鳳山と安美錦は、左四つから、安美錦の右まきかえに乗じて、松鳳山が向正面へ出るところ、安美錦が右へうっちゃり。松鳳山の左足が勇み足気味に出た。
軍配は安美錦。物言いがついたが、松鳳山の足が早いとの判定で軍配通りとなった。
ただ、倒れる安美錦の体もないと見えた。
うっちゃりとして見ても、体が割れた、入れ替わったというわけでもない。
勇み足か送り足かも微妙。
取り直しが妥当ではなかったか。

今場所ぱっとしない大型力士同士の対戦。栃煌山＝隠岐の海。
栃煌山もろ差しねらいも、隠岐の海がこれを許さず、左四つ。
栃煌山は左差し手を返して、隠岐の海の右をバンザイさせたのはよかったが、隠岐の海はその体勢もかまわず前に出て、体を預けて寄り切った。
いつものことだが、栃煌山という力士は、手順通りに相撲が運ばないと、もろい負け方をする。

琴奨菊は、立会い千代大龍の左を引っ張り込んで左四つ。
前に出ておいて、右からの突き落とし。
手順通りの相撲。
今場所の琴奨菊は、右四つの相撲がない。どういう意図なのだろうか。

鶴竜の相撲がよくない。格下かつ不成績の宝富士相手に、手こずった相撲。
左四つからの送り出しで勝ち越しは決めたものの、今場所の相撲内容は悪い。
立会いから突くのはいいが、そこから自分の有利な体勢を作っていく突きでない。
突きが高いし、はたきもしばしば出る。
琴奨菊もそうだが、鶴竜も、自分の相撲を再度考え直してもらいたいと思う。

稀勢の里は、今日は組まない相撲で、魁聖を押し出した。左からのおっつけが効いた。
悪くはない、という程度の相撲。

日馬富士に、昨日いい相撲で白鵬を破った豪栄道が挑む一番は、期待されたが、横綱が常に先手をとった相撲で、一方的な内容となった。
立会い、日馬富士が頭から低く当たっておいての突き。常に先手で攻め、豪栄道に引かせる場面を作り、右四つ。
豪栄道の四つでもあるが、上手を取らせず、自分は両まわし充分の形から寄り切った。
今日の日馬富士は、いい内容だった。

結び、白鵬と妙義龍の一番は、横綱が、前日に楽をして勝とうとして初黒星を喫した反省を生かすかどうか、注目されたが、意外な内容。
立会いに右は差したものの、組み止められず、妙義龍の攻めを持て余す感じで、昨日と同じく相手の右かいなをたぐりに行った。
これは決まらず、しかし、妙義龍もこれにつけいることができず、以後も激しい攻防となった。
白鵬は突きを出すものの、自分充分の体勢を作ることができぬまま、妙義龍にもろ差しを許してしまった。
非常に悪い体勢だったが、右からの苦しまぎれの小手投げが何とか決まった。
どうした白鵬、という相撲。あまりにも内容が悪い。終始後手にまわった相撲であり、攻防の中で相手をがちっとつかまえることがまったくできなかった。
何かおかしい。どこか悪いのではないか、と思わせる内容だ。
それでも勝機をつかめなかったのは、妙義龍自身も好調でないからだ、と言う一番。
白鵬は、この２日間の相撲を観ると、もう一つくらいは星を落とすのではないか、と懸念する。
少なくとも、こんな相撲では、稀勢の里には勝てない。

１敗　白鵬
２敗　日馬富士、稀勢の里
３敗　鶴竜、安美錦、遠藤、豊真将

白鵬の独走気配がにわかに怪しくなってきた。星１つの差となり、また２敗の２人が白鵬との対戦を残すだけに、優勝争いの興味は出てきたが、白鵬が調子を落として、というのが、物足りないところであり、残念。