これってどうなのよ、と思った。
これまで、メンバーの卒業宣言は、AKB48としてのイベントの中で行われてきたと記憶する。
それが、初めて、一般のテレビ番組の中で、それも紅白歌合戦という舞台で行われたことに、端的に言えば、「公の場にプライベートを持ち込んだ」という違和感をおぼえた。
それ、ここで言うことなの? というような。
例えば。
ある男性が、女性を連れてきて、「お父さん、お母さん、俺、彼女と結婚したいんだ。認めてくれ」、とか、「親父、申し訳ないけど、僕は家の商売は継げない。どうしてもミュージシャンになりたいんだ」という話を、自分の家でなく、親戚の家に遊びに来た時に突然しているような。
そういう話は自分ちでしてくれよ、わざわざここでしなくても、という。
そう思いませんか?
もう一つ言えば、今回の紅白が、北島三郎紅白引退の場であったことだ。
紅白のトリとは別枠で、最後の「まつり」が舞台として用意されているのが周知の状況で、それに先立って、こういうサプライズ発表をしたこと。
これは、言わば「KY」ではないだろうか。
これも、例えば。
会社で、ある女子社員が寿退社することになっての、職場の送別会。メンバーが顔を揃えるなり、当夜の主役でない、後輩の女子社員が、「あたしも近々営業部の○さんと結婚することになったんです~」と言い始めるような。
まあ、北島三郎の紅白引退も、厳密に言えば北島三郎のプライベートには違いない。
かつて、都はるみや森昌子の同様の場面で、「紅白の場で一歌手の引退をことさらに大きく扱うのはいかがなものか」と思ったものだった。
かつて、都はるみや森昌子の同様の場面で、「紅白の場で一歌手の引退をことさらに大きく扱うのはいかがなものか」と思ったものだった。
事後の報道では、秋元康氏がNHKに事前に了承を得た上で行ったことなのだそうだ。
となると、AKB側にしてみれば、つまり、これは大島優子個人のプライベートではなく、グループ全体としての公式行事、公式発表だという認識なのかもしれない。
また、大島優子クラスだからこそ、ここでやっても許されるという判断だったのだろう。
また、大島優子クラスだからこそ、ここでやっても許されるという判断だったのだろう。
歌唱後のインタビューで、大島は「誰にも話してなかったです」と言っていたが、そんなことはなかろう。
卒業宣言の直後、高橋みなみは泣き顔だった。知っていたのだろう。他のメンバーも、突然のことにびっくりというのではなく、結構淡々とした表情だった。
第一、紅白での歌唱曲は、「恋するフォーチュンクッキー」と「ヘビーローテーション」の2曲メドレー。
今年のヒット曲でなく、大島優子初センターの「ヘビロテ」をメインに置いたことからして、メンバーもそれと察する話だったのではないだろうか。
今年のヒット曲でなく、大島優子初センターの「ヘビロテ」をメインに置いたことからして、メンバーもそれと察する話だったのではないだろうか。
それも含めて予定の行動だったことになるが、歌謡界に大きな歴史を刻んだ北島三郎の紅白ラストステージを前に、この卒業宣言は、やはりいい度胸だったと言わざるを得ないように思うのだ。