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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

天龍引退

プロレスラーの天龍源一郎が、引退を発表した。

レスラーとしての天龍はほとんど知らないが、力士だった頃の天龍はおぼえている。

彼は、二所ノ関部屋の若手のホープだった。

昭和46年9月場所、十両昇進を機に、四股名をそれまでの嶋田から部屋伝統の四股名である天龍に改名した。部屋の期待がうかがえた。

しかし、昭和50年、二所ノ関親方(元佐賀ノ花)が亡くなった時、部屋の後継争いが勃発し、今でも語りぐさとなっている、押尾川親方の寺たてこもり事件で、天龍は押尾川と行動を共にした。

天龍は、この一件で、力士生活に嫌気がさして、昭和51年9月場所、幕内で勝ち越しながら、この場所限りで廃業した。

まだ26歳の若さでの廃業だった。最高位は前頭筆頭。まだこの先が期待できるのにもったいない、と思った記憶がある。

天龍が、廃業直後に全日本プロレス入りしたことにも驚いた。

以来、39年。今回の引退表明となった。

前記の通り、40年近くに及ぶ、プロレスラー天龍を、私はほとんどフォローしていない。

スポーツ新聞の記事で、時々目にする程度だった。

熱烈なファンにとっては、今回の引退は、とても悲しいニュースだろう。そういう感慨は、申し訳ないが、私にはない。

ただ、興味深く思うのは、彼の年齢、現役生活期間の長短である。

十両通算11場所、幕内通算16場所。
26歳という、力士としては、通常引退するには早すぎる年齢での引退。体力の限界とは異なる理由での引退だから、力士生命を全うしてということではなかった。角界に残っていれば、どうだったか。

一方、同じ26歳で、プロレスラーとしての競技生活を始め、それが何と39年。

プロレスラーの、標準的な引退年齢がいくつくらいなのか、正確には知らないが、65歳の今日まで現役生活を続けてきたことは、力士としての天龍の活躍期の短さと、きわめて対照的である。

スポーツの世界では、それぞれの競技の現役寿命がかなり違う。水泳などは、特に現役寿命が短いと思う。一方、競馬の騎手あたりは、結構な年齢まで現役で活躍できる。

私が天龍に感ずる興味深さは、同じ一人の人間が、同じ格闘技のジャンルにおいて、生涯2つの競技で活躍した、という中での、現役生活の長短にある。