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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅢ 「子どもと魔法」

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24日(火)、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅧ、ラヴェルの「子どもと魔法」を聴きに行った。

小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅧ

日 時 2015年3月24日(火) 18:00開場 19:00開演
会 場 東京文化会館大ホール
曲 目 ベートーヴェン 交響曲第2番ニ長調
     ラヴェル 歌劇「子どもと魔法」
指 揮 ナタリー・シュトゥッツマン(ベートーヴェン)
     小澤征爾(ラヴェル)
管弦楽 小澤征爾音楽塾オーケストラ

上野の文化会館で演奏会を聴くのは、久しぶりだ。

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私が若い頃は、まだサントリーホールはなく、クラシックの演奏会と言えば、この文化会館かNHKホールが中心で、独身寮が浦和にあったため、上野駅が会社の帰り道だったこともあり、ここにはずいぶん通い詰めたものだ。

それから、思ってみれば、小澤さんの実演を聴くのも、ずいぶん久しぶりだ。
昔は、小澤さんの演奏会にもしょっちゅう行ったものだが、前回聴いたのは、いつのことだっただろう。正月に、サイトウ・キネンマーラーの2番を聴いたが、まさかあれが最後だっただろうか。

客席に着く。2階1列の3番。2階正面最前列の一番左だ。
満員ではない。私の右隣2つも空席だったし、1階にも結構空席が散見された。

小澤さんでも、とちょっと驚く。これが、サイトウ・キネン・オーケストラとかだったら違うのだろうか。

まず、ベートーヴェンの2番。

弦は、14・10・8・8・4。
木管は4本ずつ。ホルン4本、トランペット3本。ティンパニはさすがに1人で、増強はなかった。

シュトゥッツマンが指揮をする、というのは、今回の演奏会まで知らなかった。

この曲の2楽章は、福永陽一郎氏だったと思うが、ワルター指揮の実演で聴いて、涙が止まらなくなった、と書かれていたのを読んだ記憶がある。
確かに美しい音楽だ。4日前に聴いた、スプリング・ソナタ同様、こわもてのベートーヴェンの、別の一面がある。

2楽章が終わったところで、オケのメンバーが突然立ち上がって、弦も管も席替え。
ヴァイオリンは、ファーストとセカンドが入れ替わったり、他のパートも前後で交替していた。管も、正規奏者とアシスタントが交替していた。

3楽章は、聴いていて、ハイドンモーツァルト時代のメヌエットからいくらも経たない時代の、こういうスケルツォは、さぞや前衛的に聞こえたことだろう、と思った。

1楽章、4楽章のテンポは速かった。

指揮者が、おそらく楽譜にはない、クレッシェンド、ディミヌエンドを追加していたように思われた。

引き締まったダイナミックなベートーヴェンだった。

休憩の間、オケはピットにもぐった。

下手舞台袖から、コンコンコン、と何かを叩く音がして、小澤さんが登場。小澤さんのオペラを聴くのは、初めてだ。

小澤さんは、この「子どもと魔法」を、2013年に、松本でのフェスティバルで演奏しており、CDもリリースされている。
その時とは、演出、装置は別の人のようだ。

緞帳が上がると、思っていたより本格的な舞台装置だった。舞台左右に日本語の字幕。

ラヴェルの音楽は、学生時代から好きで、色々な作品を聴いてきたが、この「子どもと魔法」については、あまりなじみがないまま今日まで来てしまった。

こうして実演でじっくり聴いてみると、やはり、あのラヴェルの音楽だ。

CDで音を聴くだけでなく、実演だと視覚要素も加わるので、理解が深まる。

それにしても、ラヴェルは、何と精緻で美しく、幻想的な、すばらしい音楽を書いたのだろうか。

それから、ベートーヴェンの後に聴くラヴェルは、同じオーケストラ音楽でも、ずいぶん違うと感じる。
ベートーヴェンが、一つの塊としての音楽であるのに対して、ラヴェルは、多彩なパレットから、必要な時に必要な音だけ取り出して使う、という感じがする。

子供が、最後に「ママ」と呼ぶ幕切れ、その母親が出てくればいいのに、と思った。

小澤さんは、たいそう元気そうに見えた。指揮台には椅子が置いてあったが、立って指揮する場面が多かった。

先日、水戸室内管弦楽団の演奏会で、ベートーヴェンのシンフォニーを振った時には、楽章間で椅子に座って休み、水を飲んでいたと聞いたので、まだそこまでの快復なのか、と思っていたが、この日の公演では、繰り返されるカーテンコールにも、確かな足取りで応じていたし、安心した。

会場で、今年の松本のフェスティバルのチラシをもらった。
小澤さんは、オーケストラコンサートでは、まだ1公演を1人では振らず、ブラームスの4番のみ演奏するようだが、オペラの方は、ベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」を3回指揮する。このオペラは、「子どもと魔法」よりも長い。無事に公演を完遂してほしいと願う。