naokichiオムニバス

67歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

照ノ富士の大関昇進に疑問

5月場所で優勝した照ノ富士が、大関に昇進した。

以前、逸ノ城が新入幕で大活躍して脚光を浴びた時、個人的には、照ノ富士の方が相撲が確立されていると思っていた。

そして今場所の相撲を観ていても、逸ノ城に今一つ進歩が見られないのに対して、照ノ富士はめざましい進境を遂げていると感じる。

ただ、今場所後の大関昇進に関しては、大いに疑問がある。

理由は月並みだが、大関にふさわしい力量が間違いなく備わったかどうか、まだみきわめがつかないからだ。

今回の昇進が異例なのは、三役経験2場所での昇進という点だ。

1月場所は東2枚目で8勝。
この星で、3月場所は東関脇に上がり、白鵬を破る活躍で13勝。

この時点で、協会幹部からは、三役2場所目ではあるが、白鵬を破って14勝の優勝なら大関昇進もありうる、という談話があったと思う。

仮にそうであってもどうか、と思っていたが、5月場所の実際の成績は、白鵬には勝てず、12勝での優勝。

吉葉山以来の三役2場所通過での大関昇進となったが、そこまで特例的な昇進をさせるほど、秀でたものがあると言えるかどうか。

前記の通り、私は、照ノ富士の力量の非凡さは大いに認めている。

ただ、今回の昇進に、番付運と優勝争いの両面で幸運がからんでいるのも事実だ。

まず、番付運については、1月場所の東2枚目での8勝で、翌場所関脇に上がれたこと。三役や幕内上位の星勘定次第では、平幕据え置きも充分ありうる話で、もしそうだったら、3月場所平幕で13勝、5月場所新三役で12勝の優勝と推移しても、大関の声はいくら何でもかからなかったはずだ。

次に、今場所の優勝争い。
11日目に白鵬に敗れて3敗となった時点で、トップを走る白鵬魁聖との差は星2つ。照ノ富士本人も、大関昇進はあきらめた旨の発言をしている。
残る4日を全勝し、12勝をあげた点は評価できるにしても、それが優勝にまで届いたのは、ひとえに白鵬がその後3敗もしたからだ(魁聖も以後4戦全敗)。
3月場所、白鵬を倒しながら星1つの差で、決定戦に持ち込むことができなかったのと好対照で、5月場所は、白鵬が崩れてくれて、決定戦さえも経ることなく、結果として単独で頭一つ抜けた、という優勝だ。

照ノ富士の成長を認め、その力量を認めてなお、この昇進が、3月場所で新三役になれたこと、5月場所の優勝がラッキーな展開だったことによるものであることは、事実と言える。
今回の昇進を理由として支える、番付、優勝という、形式上の推移に、それぞれ照ノ富士本人の力量そのものとは別の幸運要素があったということだ。

どの道、力はあるのだから、上げてもいいではないか、という考え方もあるかもしれないが、照ノ富士自身に、この2場所、僅かに足りないものがあると私には思える。

3月場所での2敗は、稀勢の里と下位の魁聖に喫したものだ。白鵬を破りながら決定戦に持ち込めなかったのは、魁聖戦の取りこぼしによる。

また、5月場所、優勝とは言え、星のラインとしては平凡な12勝。白鵬戦の1敗はやむを得ないとしても、残りの2敗がやはり下位力士の佐田の海と德勝龍。展開に恵まれなかったら、普通は優勝まではできない。

この点は、照ノ富士自身にまだ不足するものがあることを物語ると考える。

協会幹部は、優勝というものに重きを置いた判断で、今回の昇進を決めたようだ。しかし、その優勝の中身はどうなのか。

関脇に定着してあれほどの実績を残し、大関になれなかった琴錦は、優勝という点では、平幕で2回果たしている。
結局はこれも番付運、優勝のタイミングの違いということなのか。

同じく関脇で実績を残し、3場所続けて白鵬を破る内容で大関に昇進した豪栄道が、昇進後の勝率が5割にも満たない現状にある。

通常の「三役で3場所33勝」というラインを、歴代の大関たちは、三役に定着した上で、相当程度苦労してクリアし、しかも昇進後、多くの大関が充分な成績を残せないでいる。

今回の照ノ富士が、確かに3場所33勝ではあるものの、入幕後の実績の点で、今回が優勝であるにせよ、明らかに大きく秀でたものがあって、三役2場所という特例的昇進にふさわしいかどうか、ということだ。

くどいようだが、私は照ノ富士に大きく期待する立場なので、言いたいことは、もう1場所見るべきだった、に尽きる。

照ノ富士大関にふさわしい力士であることは、ほぼ見えかかっているのだから、7月場所の成績と相撲内容を観てからで良いのだ。

おそらく11勝、12勝はできるだろう。3場所33勝を大きく超える数字で、文句なく昇進すればよい。

(三役で13勝、12勝の後、8勝だったら、通算33勝で大関にするかというとそれはないだろう。つまり、2場所前の平幕時の8勝もカウントすることのおかしさがそこにある)

ただ、今のタイミングでこういうことを論じても、もはや意味はないので、7月場所、大関としての照ノ富士が、私を黙らせる相撲をとってくれることを期待したい。