5月場所7日目、鶴竜が琴勇輝に敗れた。
突っ張りがある鶴竜と言えども、琴勇輝相手にまともに突き合うことは避けるべきだと思っていた。
結果として、まともに突き合って、防戦一方になったのは、横綱としていただけないと言う他はない一番だった。
ただ、勝負がついたところに関して言えば、鶴竜にも若干同情すべき点があった。
行司、式守伊之助の動きである。
この一番、伊之助は、終始両力士が動く方へ動く方へと動いていた。常に両力士から逃げる形での動きだった。
鶴竜としては、その時にそこに行司がいなければ、まだまわりこむことができたかもしれないのだが、下がろうとした場所に伊之助がいたことで、勝負をあきらめざるを得なかったところがなかったか。
もとより、行司は、土俵の正面側に来てはならないと言われる。
行司の最高位である立行司が、この一番、終始両力士と一緒に、2回も3回も反時計まわりに土俵をぐるぐるまわったのは、ありうべからざることではなかったか。
どこかで、両力士とは反対側にまわるべきだったと思うのだが。