画面に出てきた和文タイプの器械を見て、ああ、これ、昔は会社にあったなあ、と懐かしかった。
このブログ、「昔はなかったもの」というカテゴリーを設けているが、この話はそれとは逆、昔はあったけど、今は身近に見かけなくなった、というものだ。
私の会社にも、昔、タイピストという職種の人がいた。
タイプ室には、確か、3人か4人のタイピストがいたと記憶する。
社内の公式な文書、例えば、本社から各支店に発する指示文書などは、紙に手書きした原稿を持って行くと、「とと姉ちゃん」に映っているような器械を操って、清書してくれるのだった。
実例をお見せしましょう。この記事をご覧下さい。
この記事の3枚目の写真。入社前、大学4年の私に会社から届いた入社式等の通知の文書が、タイプで打たれたものだ。
その後、ワードプロセッサーやパソコンが導入され、「活字の文書」は、自ら打って出力するようになる。
私が、自分でパソコンをいじるようになるのは、1984年のことだ。入社時点から起算しても、僅か6年後のことだ。
確か、その時にタイプをしていた社員は、その仕事がなくなり、別の仕事に転換したのではなかっただろうか。
あと、同様に、入社当時にあった職種で、その後なくなったものとして、「電話交換手」がある。
私が入社した時、会社の電話番号は、代表番号1本だった。
電話交換室というのが、同じ5階にあった。確か、3人くらいの電話交換手がいたと思う。
その代表番号に電話すると、電話交換手が取る。
「○○○(会社名)でございます」。
「×××銀行ですが、経理部財務課のnaokichiさんをお願いします」。
「お待ち下さい」。
(内線をつなぐ)
「はい、naokichiですが」。
「×××銀行からお電話です」。
こんな手順だった。
これも、時期ははっきりおぼえていないが、部署ごとのダイヤルイン方式に変更になった。
これに伴い、電話交換手をしていた社員は、タイピスト同様、別の職種に変更されたのだったと思う。
専門の職種に従事していた社員が、職種変更することになった事例としては、この2つを記憶している。
ついでだが、私が会社に入ったころにはあって、今はなくなったものをあと2つ。
1つは、テレックスというものだ。
私も、そのほぼ末期の世代なので、あんまり詳しくは知らないのだが。
私が入社当時、例えば会社の封筒には、電話番号と並んで、テレックス番号というのが書いてあった。
確か、前記の電話交換室の中に、テレックスの受信機があったんだっけな。
テレックスが入ると、例えば「ナオキチブツサン(カブ) 1,500,000-」などといった、入金の通知が白い紙にカタカナで印字されたものを、庶務部の女子社員が持ってきてくれるのだった。
それをもとに、入金伝票を起こしていた。
もう1つは、自分のデスクでの喫煙である。
入社した頃、私も喫煙していたが、当時は、フロアの一角に灰皿がかためて置いてあり、朝、出社する時は、自分でその灰皿を一つ取って、デスクに座った。
で、仕事をしながら煙草を吸うことは当たり前だった。
まあ、今では考えられないことだ。
ただ、煙草を吸いながら仕事をすることよりも、考えられないなあ、と思うのは、その灰皿を洗うのが、女子社員の仕事だったことだ。
夕方、退社時に、使った灰皿を、朝取った場所に置いておくと、それを女子社員が洗ってくれるのだった。
その関連で思い出したが、当時は、朝出社した社員にお茶を入れて配るのも女子社員の仕事だった。部長、課長から、新入社員の私に至るまで、先輩の女子社員が、お茶を出してくれていたんだった。
あ、そうそう、机も拭いてくれてたんだ。
いやー、ほんとに今じゃ考えられないな。
あ、さらに思い出した。女子社員の制服。
私の会社、女子の制服は、以前はありましたが、10年あまり前に廃止となりました。