naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

【ネタバレご注意】2016.8.17 小田和正マリンメッセ福岡公演<3>

今次ツアーは2回目の参戦だが、前回、7月のセキスイハイムスーパーアリーナの時よりも楽しむことができた。

このセットリストが概ね頭に入った状態で聴くことで、演奏者との距離感が近くなったと感じる。前回は初めてだったから、その距離感がもっとあった。

初めてのセットリストが、聴く側にとって消化しきれないのは、いつのツアーでも同じことではあるが、今回について特別なのは、ツアーの間隔がいつになく短い点だ。2年、あるいは3年ぶりに「ナマ小田」を聴くとなれば、久しぶりのライブ!という感激が、初めてのセットリストの未消化感を薄めてくれるが、今回は1年での新ツアーなので、ついこの間聴いたばかりという気分が残る中で別セットリスト、というところが違う。

また、今回の福岡公演固有の事情としては、私が好むスタンド席だったのがありがたかった。やはりアリーナ席と違って、スタンド席だと、会場全体が見渡せるので、個々のメンバーの動きもよくわかる。このマリンメッセ福岡のスタンド席は、アリーナ席との高低差が大きくないので、場内の一体感も感じることができる。

あと、座った席とスピーカーの距離がよかったのか、弦がとてもよく聞こえて(時にはうるさいと感じるくらいだった)嬉しかった。

以下、個々の曲で気がついたことなど。

「眠れぬ夜」は、アコースティックギターと弦中心だが、ドラムも入る。

「秋の気配」のイントロは、アコースティックギターで始まるオフコースオリジナルの形で、懐かしかった。

「さよなら」も、オフコースオリジナルのアレンジだが、間奏の後半を、稲葉(政裕)さんが3度の重音で弾いたのにびっくりした。この部分は、レコードでこそ3度のハモりだが、オフコースのライブでは、鈴木(康博)さん、松尾(一彦)さんとギターが2人いても、3度ハモりで演奏したのを聴いたことがない。松尾さんはアコースティックギター、鈴木さんがエレキギターで、ライブの場合、この間奏は鈴木さんが常に下の音だけを弾いていたのだが。

「僕の贈りもの」は、初めて自分で書いた歌、と紹介された。しかし、考えてみれば、もう40年以上も前に作った曲を、今も大切に歌えるというのは、すごいことだと思う。これは、例えばさだ(まさし)さんの場合の、「雪の朝」や「精霊流し」などについても感じることだ。自分自身の仕事について、新入社員あるいは入社2、3年目の頃の仕事ぶりを振り返った時、余りにも未熟で恥ずかしくなることばかりだから。それはともかくとして、この「僕の贈りもの」、途中での転調の感覚は既に特別で、今につながるものがある。非凡な人というのは、こういうものなのだろう。

「時に愛は」は、オフコースオリジナル版で、とても充実した演奏だったが、稲葉さんのギターがとりわけすごかった。

「心はなれて」では、1982年の武道館の映像が少し映された。小田さんのピアノと弦。これもオリジナルのアレンジに忠実。今回、ピアノはヤマハ

「I LOVE YOU」は、新しいアレンジ。バック全員が演奏する。稲葉さんは、エレキギター

「ご当地紀行」は、福岡市内だけでなく、熊本にも足を伸ばしていた。被災した熊本城も出てきた。

「愛を止めないで」、「時に愛は」、「the flag」で、稲葉さんの音に重ねられる赤の照明は、やはりぴったり合う。

「恋は大騒ぎ」で大騒ぎとなる風船は、スタンド席から場内を見渡したところ、全部で10個。アリーナ席をはずんで移動していく中で、赤い1個が割れた。

「キラキラ」、「ラブ・ストーリーは突然に」の2曲で、スタンド席を一周。前の記事にスタンド席配置図の写真を載せたが、そこでふれた通路を、セキスイハイムスーパーアリーナの時とは逆に、下手側から反時計回りに一周した。我々の席からは、5列程度後ろにあたる距離を、小田さんが歌いながら通過して行った。

「my home town」は、小田さんのピアノと栗尾(直樹)さんのキーボードだけ。弦は入らない。この曲では、福岡の街の映像が映し出された。7月の時は、仙台の映像だったから、行く先々で違うのだろう。

「さよならは言わない」は、弦が美しかったが、特にチェロの音が効いていた。この曲の後奏、小田さんがピアノでアウフタクトの3連符を弾き出すのに、弦も合わせないといけないが、こういうところのアンサンブルは大変だろうと思う。

「今日もどこかで」。今や確立してしまった様式だが、やはりこの曲に手拍子はない方がいいと思う。小田さん自身がそれを促してできあがった様式だから仕方がないのだが。Cメロの後、サビが戻ってくるところ、私にはソナタ形式の再現部に思われる箇所での、木村(万作)さんのドラムがとてもよかった。

「風は止んだ」は、小田さんが花道の中央先端に置かれたスタンドマイクの前に立って歌う形だが、ギターを持たずに歌専念で、ハンドマイクでないのは珍しい。後ろに手を組んで歌う姿は、日頃見慣れないものだが、ちょっと小学生が独唱する時の姿勢を想起させる。この曲、稲葉さんはナイロン弦のギター。

本編最後、「君住む街へ」の前のMCでは、「「これをみんなの前で歌いたいな」と思う曲を書いて、また会いに来たいと思う」(ここで客席から拍手)、「でも、先のことについて約束できない歳に、本格的になりつつある」というような趣旨の話があった。過去のツアーでの同様のMCに比べると、「約束を避けた」感じが強かった。

21:14、本編終了。

最初のアンコールは、7月の時と同じ3曲。終わったところで、ステージの一番前に全員が並んで一礼。

2回目のアンコールでは、その時に歌われた「夏の終り」がなく、いきなり「ダイジョウブ」。この曲では、途中でアリーナ席に下りて、ステージから遠い側を半周した。稲葉さんは、最初はアコースティックギターだが、途中でエレキギターに持ち替える。そこからサウンドが重厚になるのが、とても効果的だ。

「ダイジョウブ」が終わり、花道の中央先端で小田さんが待ち、ステージからメンバーが来て、一人ずつ握手。全員が並んで、四方に一礼。

7月の時は、ここで一旦退場して、3回目のアンコールがあったのだが、今回は、そのままステージに戻って、曲名不詳のアカペラ曲、そして「NEXTのテーマ-僕等がいた-」と続いた。

終演は21:50。

アンコールを1曲減らし、また出入りの回数も1回減らしたのは、おそらく、平日だし、19:00開演だから、22時までには何としても終演するという打合せだったのだろう。MCも、近年のライブとしては、ずいぶん少なかったが、同様の意味でだっただろうか。

マリンメッセ福岡は、廊下が広いのと、入場口が横1列に多数開かれているので、退場がとてもスムーズだ。日本武道館や東京ドームなどより、ずっと良い。

外に出れば、すぐにタクシー乗り場、臨時のバス乗り場がある。天神方面行きのバス乗り場に急いだ。

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