naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

新国立劇場「ニーベルングの指環」第1日「ワルキューレ」

イメージ 1

イメージ 2


15日(土)、新国立劇場で、「ワルキューレ」を観賞。

昨年の「ラインの黄金」に続く、「リング」2作目である。

今回の席は、2階1列39番。正面席のやや上手寄りで、オケピットがよく見える。

オケは、ハープが4台見える。ホルン8本。コントラバスも6台見える。そう広いピットではないのだろうが、大編成だ。

ピットが見えるものだから、上演中、ついつい指揮者とオケを見がちになる。そうすると、日本語字幕を追うのがおそろかになったり、舞台上の動き(例えばトネリコの樹に刺さっていた剣がはっきり姿を現すところ)を見落としてしまったり。

なじみの薄いオペラなのに、大した勉強もできぬままの観賞となってしまった。

しかし、昨年の「ラインの黄金」より、遙かに感銘を受けた。


指 揮 飯守 泰次郎
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
演 出 ゲッツ・フリードリヒ
ジークムント ステファン・グールド
フンディング アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン グリア・グリムスレイ
ジークリンデ ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
フリッカ エレナ・ツィトコーワ

以下、とりとめのない感想。

1幕3場。

ジークムントとジークリンデ、双子の兄妹の二重唱は、「トリスタンとイゾルデ」を思わせる甘美な音楽で、ああ、やっぱりワーグナーだ、としみじみ思いながら味わった。

しかし、ジークムント、ジークリンデとも、ちょっと恰幅がよすぎる体型なのが、ちょっと気になったりした。

2幕。

ここで登場するブリュンヒルデが、また同様に恰幅のいい人で、しかも役柄上、剣道の胴着みたいなのを着けていて、ずいぶん立派に見えた。

2場の、ヴォータンの語りは、事前にわか勉強で知っていたが、確かに長い。退屈はしなかったが。

しかし、この語りの内容を聞いていると、「ラインの黄金」でも感じたことだが、ヴォータンって、神なのにどうしようもない奴だなあ、と思う。

3場で、ブリュンヒルデが、父ヴォータンの命令に背く心変わりの場面から幕切れまでは、有無を言わせず聴き手を引き込む、圧倒的な音楽だ。

ワーグナーはやっぱりすごいなあ、と思った。

このあたりでは、ヴィオラがとてもいい音符を書いてもらっている。

3幕2場。

ヴォータンとブリュンヒルデの長々としたやりとり。

ここでも、話を聞いていると、ヴォータンという人は、言い訳っぽいことを言っているばかりで、やっぱりどうしようもない感じがする。

但し、ワーグナーがここでヴォータンにあてた歌は、本当にすばらしい。

結局、ブリュンヒルデの方がヴォータンよりずっと立派だと感じさせられるが、つまり、フリッカやジークリンデも含めて、男が女に負けっぱなしというか、リードされっぱなしの話、という気がする。

ところで、全幕の最後、眠るブリュンヒルデを炎が包む場面。ここでの音楽って、私には、熱い火というよりは、涼しげな感じがする。むしろ、水を連想するのだが、これって私だけ?

剣の主題など、ライトモティーフを少しおぼえてきたが、そうするとやっぱりわかりやすさ、楽しさが増す。

オケの演奏は、弦、木管が特によかった。重要な場面で、コールアングレが多用されているのを知った。

それにしても、オペラって長時間労働だよね。1幕70分、2幕100分、3幕75分。合計245分。4時間を超える。定期演奏会だったら、アンコールがあっても正味2時間は演奏しないだろうから、その2倍以上だ。

経理部の人間が、決算時にすごく忙しくなるみたいなものか。

初めてじっくりと接した「ワルキューレ」。前記の通り、昨年の「ラインの黄金」よりもずっと感銘度は高かった。

ラインの黄金」同様、合唱はなく、「カルメン」や「ラ・トラヴィアータ」のような、オペラ的感興があるわけでもない。しかし、やはりワーグナーならではの音楽に浸ると、その独自の世界に圧倒される。

来てよかった、と思った。

ところで、かねて話題の、「絶対寝てしまう」問題。

結果。そうでもなかった。

1幕、2幕で、ごくごく瞬間的な寝落ちが何度かあったが、それだけで持ちこたえた。

1幕後の休憩。外で空気にあたってリフレッシュ。さすがにビールには手が出せず、ジュース。

イメージ 3

イメージ 4


2幕後の休憩では、ここまで来たら、と自殺行為に走った。

   ※自殺行為
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65511435.html

でも、3幕はしっかり聴けた。よかった。

「リング」残り2作は、来年6月に「ジークフリート」、10月に「神々の黄昏」。楽しみだ。

※過去の関連記事
    新国立劇場ニーベルングの指環」序夜「ラインの黄金」<1>
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65042491.html
    新国立劇場ニーベルングの指環」序夜「ラインの黄金」<2>
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65042569.html