昨年の「ラインの黄金」に続く、「リング」2作目である。
今回の席は、2階1列39番。正面席のやや上手寄りで、オケピットがよく見える。
オケは、ハープが4台見える。ホルン8本。コントラバスも6台見える。そう広いピットではないのだろうが、大編成だ。
ピットが見えるものだから、上演中、ついつい指揮者とオケを見がちになる。そうすると、日本語字幕を追うのがおそろかになったり、舞台上の動き(例えばトネリコの樹に刺さっていた剣がはっきり姿を現すところ)を見落としてしまったり。
なじみの薄いオペラなのに、大した勉強もできぬままの観賞となってしまった。
しかし、昨年の「ラインの黄金」より、遙かに感銘を受けた。
指 揮 飯守 泰次郎
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
演 出 ゲッツ・フリードリヒ
ジークムント ステファン・グールド
フンディング アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン グリア・グリムスレイ
ジークリンデ ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
フリッカ エレナ・ツィトコーワ
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
演 出 ゲッツ・フリードリヒ
ジークムント ステファン・グールド
フンディング アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン グリア・グリムスレイ
ジークリンデ ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
フリッカ エレナ・ツィトコーワ
以下、とりとめのない感想。
1幕3場。
2幕。
ここで登場するブリュンヒルデが、また同様に恰幅のいい人で、しかも役柄上、剣道の胴着みたいなのを着けていて、ずいぶん立派に見えた。
2場の、ヴォータンの語りは、事前にわか勉強で知っていたが、確かに長い。退屈はしなかったが。
しかし、この語りの内容を聞いていると、「ラインの黄金」でも感じたことだが、ヴォータンって、神なのにどうしようもない奴だなあ、と思う。
3場で、ブリュンヒルデが、父ヴォータンの命令に背く心変わりの場面から幕切れまでは、有無を言わせず聴き手を引き込む、圧倒的な音楽だ。
ワーグナーはやっぱりすごいなあ、と思った。
このあたりでは、ヴィオラがとてもいい音符を書いてもらっている。
3幕2場。
ヴォータンとブリュンヒルデの長々としたやりとり。
ここでも、話を聞いていると、ヴォータンという人は、言い訳っぽいことを言っているばかりで、やっぱりどうしようもない感じがする。
但し、ワーグナーがここでヴォータンにあてた歌は、本当にすばらしい。
ところで、全幕の最後、眠るブリュンヒルデを炎が包む場面。ここでの音楽って、私には、熱い火というよりは、涼しげな感じがする。むしろ、水を連想するのだが、これって私だけ?
剣の主題など、ライトモティーフを少しおぼえてきたが、そうするとやっぱりわかりやすさ、楽しさが増す。
それにしても、オペラって長時間労働だよね。1幕70分、2幕100分、3幕75分。合計245分。4時間を超える。定期演奏会だったら、アンコールがあっても正味2時間は演奏しないだろうから、その2倍以上だ。
経理部の人間が、決算時にすごく忙しくなるみたいなものか。
来てよかった、と思った。
ところで、かねて話題の、「絶対寝てしまう」問題。
結果。そうでもなかった。
1幕、2幕で、ごくごく瞬間的な寝落ちが何度かあったが、それだけで持ちこたえた。
1幕後の休憩。外で空気にあたってリフレッシュ。さすがにビールには手が出せず、ジュース。
2幕後の休憩では、ここまで来たら、と自殺行為に走った。
でも、3幕はしっかり聴けた。よかった。
「リング」残り2作は、来年6月に「ジークフリート」、10月に「神々の黄昏」。楽しみだ。