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髙崎保男氏の訃報

今日20日(日)、会社帰りに買った「レコード芸術」3月号に、髙崎保男氏が昨年12月に亡くなっていたと書かれていた。

 

87歳だったとのこと。

 

1月号までは新譜月評を執筆されていたので、突然のことに驚いた。

 

新聞に訃報記事が載ったかもしれないが、気づかなかった。

 

髙崎氏は、高校時代の私がレコ芸を買い始めた1972年1月号の時点で、既にオペラの月評担当だった。今回のレコ芸の訃報紹介によれば、1959年1月号からだそうだ。

 

以後、大学に入ってオペラのレコードを買い始め、オペラに親しむ過程で、髙崎氏の月評は重要な指針だった。

 

本当にお世話になった。

 

毎号掲載される、氏の批評文を、繰り返し繰り返し、暗記するほどに読んだものだった。

 

批評の中身に全幅の信頼を置けるのはもちろんだったが、それに加えて、氏の書く批評は常に美文だった。そこにも惹かれた。

 

(批評の中身について一つ言えば、カラヤンの新譜は常に絶賛される一方で、バーンスタインの新譜にはあまりいい評価を与えなかった。バーンスタイン・ファンの私としては、ちょっと残念だった)

 

近年は、DVD、BDの台頭で、オペラのCDの新譜は激減してきていた。新譜月評がない号も珍しくない状況だった。髙崎氏としてもさみしかったのではないか。

 

最新号の同じページには、岩井宏之氏が昨年12月に逝去された旨の記事も載っていた。岩井氏も、器楽曲部門の月評子として、私には大切な人だった。

 

高校の頃から読んできた批評家が、次々に亡くなるようになった。畑中良輔氏、吉田秀和氏、宇野功芳氏、そして今回の髙崎氏、岩井氏。

 

レコ芸」誌上で、いまだ健筆をふるっておられるのは、皆川達夫氏だけとなった。

 

当方も60台前半になる時の流れの中では、やむを得ないことだが・・・。

 

両氏のご冥福をお祈りする。

 

(今回の訃報は、編集後記のページに新聞で言うベタ記事のような形で載っていた。追悼特集が組まれた宇野功芳氏は別格としても、これまで知るところでは、中核的な月評子の逝去に際しては、1ページ程度の追悼記事が載るのが常だが、「レコ芸」において「オペラと言えば髙崎保男」という存在だった、氏の逝去にあっては、非常にさみしい思いがする)

 

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    「レコード芸術」創刊800号
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