naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

浦安シティオーケストラ第50回記念定期演奏会本番終了

10日(日)、浦安シティオーケストラ、第50回の記念定期演奏会が終了した。

9:00集合。

イメージ 1


ホールでは、バレエの皆さんが場当たりの最中。

それが終わり、9:30、最終のリハーサル開始。

リハーサルは、曲順に進行した。

スペシャル・プレ・コンサートの曲目であるエルガーの「威風堂々」第1番、チャイコフスキー(予定全9曲をバレエとの合わせ)。

休憩をはさんで、ラフマニノフ、最後にアンコール曲。

正午頃、リハーサルは終了した。

イメージ 2


これで、すべての曲、演奏するのは、本番の1回だけ。いよいよあと1回か、と少々の感慨がある。

それにしても、改めて思うが、ラフマニノフの2楽章、4楽章、指揮の横島勝人先生は、テンポにまったく妥協してくれるところがなかったなあ。練習開始当初から、「本番のテンポはどの程度なのだろうか」というのが、団員一同の関心事で、横島先生の初練習の前には、戦々恐々としたものだった。横島先生のテンポは、最初から速かったが、本番に向けて回数を重ねるごとにさらに速さを増し、CDで聴く色々な演奏に比べても、相当速い部類のテンポに達したように思う。

普段、別の指導者での経験だと、メカニック的に難しい箇所は、本来よりも遅いテンポで練習し、だんだんテンポを速めて、弾けるようにしていく、という手法が採られることが多い。

しかし、横島先生の場合は、そのような練習はほとんどない。そうした練習は、トレーナーあるいは下振りの指揮者に任せ、ご自身の練習の時には、あくまでご自身のテンポを突きつけてこられる。妥協がない。ついてこられるかこられないかは、オケ側の問題で、それを引き上げるところに自己の仕事の主眼はない、と考えておられるように思う。

別の表現をすると、もっと「手心を加えたテンポ」であれば、2楽章にせよ4楽章にせよ、もっと傷の少ない演奏になるかもしれないところ、そうはされない、ということだ。

個人的には、それが本来なのだと思う。

とにかく、求められていることに応えられるかどうか、あと1回の本番演奏を精いっぱいやるしかない、とつくづく思わされつつ、リハーサルが終わった。

急ぎ弁当を食べ、本番衣装着替えてから、楽屋廊下の隅で、最後の最後、ラフマニノフの難しい箇所を、ひと通りさらった。

そうしている内に、開場。

今回は、バレエがあることから、人気が高く、前売り券は早々と完売、当日券も出せるかどうかわからない状態と報告されていた。

団員に配付されたチケットが使われずに死蔵されないよう、再三の呼びかけが行われ、直前の返却分で、当日券は40枚出せたと聞く。

実際の入りは上々。おそらく、過去最高のお客さまが来て下さったと思う。広報担当からの後日の報告では、900~950人くらいの入場者だったそうだ。あと一歩で満席だった。

●浦安シティオーケストラ第50回記念定期演奏会

日 時 2018年6月10日(日) 13:00開場 14:00開演
会 場 浦安市文化会館大ホール
指 揮 横島 勝人
管弦楽 浦安シティオーケストラ
バレエ ヒラキバレエスクール
曲 目 【スペシャル・プレ・コンサート】エルガー 行進曲「威風堂々」第1番ニ長調
     チャイコフスキー 三大バレエ音楽より抜粋
        眠りの森の美女
           イントロダクション※
           ワルツ
        白鳥の湖
           情景※
           四羽の白鳥の踊り
        くるみ割り人形
           行進曲
           トレパーク
           葦笛の踊り
           パ・ド・ドゥよりイントラーダ
           終幕のワルツとアポテオーズ
        (※:バレエなし、オーケストラのみ)
     ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調
     [アンコール]チャイコフスキー 「白鳥の湖」より「白鳥たちの踊り」

今回、50回記念演奏会としてのイベントが2つ。

ヒラキバレエスクールとの共演がその1つだが、もう1つが、13:45からのスペシャル・プレ・コンサートである。

開演30分ほど前から、楽員は三々五々ステージに入るアメリカン・スタイル。

しばらく勝手に音を出してさらう中、指揮者もこっそりステージに現れ、チューニングなしで、いきなり「威風堂々」の演奏を始める、という演出だった。

演奏後、楽員は一旦ステージからはけ、1ベルの後、改めて入場して、開演。

前半のチャイコフスキーは、子供たちの一所懸命の踊りを時々横目でうかがいながら弾いた。客席からは、演奏中もダンサーの出入りや踊りに合わせて拍手が沸いた。とても楽しく貴重な時間だった。

「くるみ割り」のクララ役は、ヴァイオリンのYさんご夫妻の娘さん。親子共演は、きっとご家族にとって一生の思い出になることだろう。

さて、休憩の後は、いよいよラフマニノフ

練習過程でも何度も書いてきたが、個人的には、これまでのオケ人生の中で、一番苦心した曲だった。

しかも、パートの話し合いの中で、避けたいと思っていたトップに座ることになってしまった。

やるからには、できる限りの努力をと、覚悟した。

練習にはよほどのことがない限り出席した。今季、欠席は3回(他団体本番で12月、2月に1回ずつ、5月に会社業務で1回)だった。私としては異例の少なさだ。土曜日に松本(松本モーツァルト・オーケストラの練習)や函館(小田(和正)さんのライブ)に行っても、日曜日に移動して練習に参加したし。

家での個人練習にもいつも以上に励んだ。

マウントあさま管弦楽団の本番と日程が重なった2月の合宿では、合宿を優先して、あさまは不参加とした。合宿期間中は、団としての練習の空き時間、朝に昼に夜に個人練習に没頭した。

自分なりのそうした努力にも拘わらず、なかなか弾けるようにならず、曲も覚えられず、トップとしての役目どころか、一団員として不充分な状態が続くことに、思い悩みもした。この半年は、本当にメンタル面では厳しかった。

そんな果てに、とうとうやってきた本番。

結果は、まずまずだった、と思う。自分ではもう少し悲観的な予想をしていたのだが。

本番で初めて間違えた、弾けなかったところもある反面、直前までさらったおかげで、うまく弾けたところもある。トータルプラマイゼロというところか。

他パートとのお互いの連携で、本番特有の齟齬があったりもしたが、これはまあ仕方のないことだ。

真っ黒な楽譜のこのシンフォニー、特に4楽章は、楽譜を目で追いながら弾くということは不可能で、頭と身体で覚えるしかない音楽だが、結局最後まで克服できず、一部「エア弾き」が残った。これは過去のどの曲にもなかった低レベルの結果である。

しかし、そのことも含め、全体とすれば、悔いよりは、あの練習開始当初のレベルからよくここまで来られたものだ、という思いの方が強かった。

ただ、かと言って、達成感や満足感があったわけでもない。

4楽章が終わって、客席からは盛んな拍手をいただく中、コンミスのRちゃん、そしてセカンドトップのMさんの顔を見た。2人とも、普段の本番終了の時に見たことのない、厳しい表情。「疲れた」というのとも違う、何とも言えない様子だったのが忘れられない。たぶん、私も同じような顔だったと思う。

そのコンミス、セカンドのトップ、そしてトップサイドに座ってくれたSさんには、本当に助けられた。これらの人たちのおかげで、自分なりにまずまずと思える演奏ができた。

特に、Sさんにはこの半年支えてもらった。彼女がいなかったら、ここまでできなかったと思う。

ラフ2という曲について、もう少し。

練習開始当初、Facebookでは、何人かの楽員が、その難しさに前途を悲観する書き込みをした。それに対して、浦安オケをよく知る団外の友人から、確かに難しい曲だが、良い曲でもある、先入観を持ったり萎縮したりせずに取り組んでみては、と言った趣旨のアドバイスがあった。

確かにそうだと思い、私自身もそう心がけたし、練習が進むにつれて、他の楽員のFB上の書き込みの中身も変わってきた。本番近くには、この曲を弾けてよかった、という声も多かった。

ただ、私個人としては、それでもこの曲への苦手感は拭えずに終わった、というのが実感である。

これまで、嫌だなと思っていた曲に取り組んで、本番までの過程で、曲への見方が変わった経験は何度かしている。例えば、それまで余り好きでなかったブルックナーの4番が好きになったとか、チャイコフスキーの4番は確かに難しかったが、半年かけて取り組んだ結果、達成感を得られた、とか。

ラフ2の場合、そうした境地にまでは至らなかった。

好きにはなれなかったなあ、という感じだ。また弾いてみたい、とも思えない。もう弾かなくていいんだ、という解放感の方が、今は強い。

ま、そういう相性だったということだろう。仲良くなろうと努力はしたけど、友だちにはなれなかった、みたいな?

あ、あと、矢吹丈の話。

GPの記事で、「明日の終演時点では、ホセ・メンドーサ戦の後の矢吹丈のようになっていたいものだ。まっ白な灰に」と書いた。

実際どうだったかと言うと、とても燃え尽きた境地には遠かった。

つくづく思ったのは、やはり、ジョーは、それまでのボクサー人生の集大成として、存分に相手と打ち合えたからこそ、まっ白な灰になれたんだなあ、と。

浦安ヴィオラのジョーは、曲の開始早々、いきなりスリップダウンしたりして、以後も、折にふれては、予想外のいいパンチを再三くらって、あれまあれま、と。

なりふりかまわぬクリンチに逃げて。

ホセ、やはり強し。まっ白な灰どころじゃなかった、という次第。

ラフ2への思いについては、そんなところだ。

今回の演奏会、3月に購入した新しい楽器(愛称「ガルちゃん」)の、本拠地デビューとなった(5月の松本モーツァルト・オーケストラがデビュー戦だったが)。

新楽器のフランチャイズオケでのデビューが、50回記念演奏会、歯ごたえのあるラフ2へのチャレンジとなったが、ガルちゃん、存分に応えてくれました。よかった。ありがとう。

ところで、今回の本番をもって、入団以来23年余り務めてきたパートリーダー(パート内の事務連絡係)を退くことにした。

また、パートのトップについても、今回のラフ2での様々な苦心から、今後、もうトップは難しいかなと感じている。

団内のお務めからは引退する形で、今後は、貴乃花親方ではないが、一兵卒として、演奏に専念していけたらと思う。

さて、次回は、12月の市民演奏会。市民演奏会は2014年以来4年ぶりだ。前回同様、「第九」を演奏する。前プロはブラームスの大学祝典序曲である。

そもそも私が大学入学後にオーケストラに入ってヴィオラを始めたのは、2年生になる1975年に、大学創立100周年で「第九」を演奏すると聞いたのがきっかけだった。

その演奏会の前プロが大学祝典序曲だった。43年を経て、また同じ組み合わせの演奏会をやるとは。

2014年の「第九」は、諸事情から、個人的には大変悔いの残る本番となった。入団後今に至るまでの数多くの本番の中でも最悪の演奏会だった。

今回はその借りを返したいと思っている。

練習開始は2週間後、24日(日)から。

※過去の関連記事
    ブルックナー4番との距離
       https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/63795144.html
    チャイ4ロス
       https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65338380.html
    新しい楽器
       https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/66004651.html
    オケ練日誌~ついに本番前日、GP
       https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/66074096.html

※本番往路に聴いた音楽
    井上陽水 氷の世界
    ビートルズ サージェント・ペパーズ