今日4日(土)は、東京国際フォーラムへ出かけた。
「ウエスト・サイド物語」シネマティック・フルオーケストラ・コンサートを聴くためだ。
会場はホールA。
11:00開場、12:00開演。
12:00開演の演奏会というのも珍しい。
ロビーの一角では、バーンスタインゆかりの品が展示されている。
こちらは、プログラム冊子から。
表紙。
シーンと楽曲リスト。
(1,000円で販売されていたこのプログラムの内容が、大変充実していることを特筆しておきたい)
私の席は、1階14列17番。ネットでのチケット購入は、席を選ぶことができなかった。ステージに近いこの席は、悪くはなかったが、もし選べるのであれば、もう少しオーケストラ全体が俯瞰できる席にしていただろう。
聴衆の年齢層は、かなり高い。1961年公開の映画をリアルタイムで観た、当時の若い世代ということだろうか。
ステージ奥に大きなスクリーン。
ステージ上、その手前で、既にオーケストラが全員座って音を出している。
やがてオケの楽員が一旦はけ、11:56に佐渡さん登場。
この演奏会については、映像に音を合わせるには大変な職人技が必要で、もしかしたら、バーンスタイン自身でもこの指揮は引き受けなかったのではないか、と話されていた。
一旦下がる佐渡さんと入れ替わりに、改めてオケが入場してチューニング、開演となった。
オケは譜面灯をつけての演奏。あちこちにマイクが立っている。
長い前奏の後、マンハッタンの空撮から、バスケットボールに興じる少年たちに場面が移り、物語が始まる。
この演奏会では、歌と台詞、効果音は映画のものが流れる。この冒頭部の、少年たちのフィンガースナップもそうだ。このフィンガースナップと生演奏のシンクロは、ちょっと厳しい感じがあった。
そのモニターの左端から、白い縦線が次々に現れて、右へ移動して消えていく。これは、映画の音楽のテンポを表示するもののようで、左から右へ動くスピードが常に変化する。これを見ながらの指揮。遠くてよく見えなかったが、モニターには映画の映像が映っていたかもしれない。
また、イヤホンをしながらの指揮だったが、こちらは映画のオリジナルの音楽が聞こえていたかもしれない。
生演奏と映像の連携で気になったのは、前述の冒頭部だけで、以後は見事なシンクロぶりだった。
それにしても、きわめて稀な演奏形態だと思うが、どういう難しさがあるのか、見当がつかない。
オペラのピットでの演奏を連想するが、演者に合わせて演奏する点は同じでも、生身の人間同士がお互いに合わせる意思を持っての演奏ではなく、スクリーンの中で勝手に動いているだけの役者の動きや歌に合わせるというのは、どういう感覚なんだろうか。
この映画は、DVDを持っているので、家のテレビで観てはいるが、やはり大型のスクリーン、スピーカーでの上映は迫力が違う。
まずは、映画として、引き込まれるものがあった。
オケの演奏については、この複雑で多彩な音楽を熱演していたと思うものの、全体にやや音楽が重かったか。「マンボ」などでそれを感じた。
昨年7月、東急シアターオーブで、ブロードウェイ・ミュージカル版を観た。その時のオケの切れ味を思い出した。もっとも、ミュージカル版と映画版では、編成がまったく違う(そもそもミュージカルの方がずっと小さい)ので、比較してはいけないのだろうが。
しかし、決闘の場面の力強い音響はすばらしかった。
全編終了後は、多くの聴衆がスタンディングオベーション。
私には、これは、まずはバーンスタインの音楽の力だと感じられた。そして、とてもよくできている映画の力も大きいと思った。
目の前で展開された生演奏だけでなく、多角的な要素があいまっての感銘は、日頃聴いている演奏会では味わえない独特のものだった。
この作品については、前記の通り、昨年7月にミュージカル版を体験した後、今年3月には演奏会形式での上演に接している。
1年の間に、3つのタイプの上演を楽しんだことになるが、どれか一つと言えば、私としては、やはりミュージカルだ。
そう思うそばから、映画としての「ウエスト・サイド」も捨て難い、そうも感じた演奏会だった。
※過去の関連記事
ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」
https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65815859.html
パーヴォ・ヤルヴィ=N響 ウエスト・サイド・ストーリー
https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/66001611.html
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