萩原健太という人の著書である。1956年生まれとのことなので、同世代だ。
オフコースの「over」について1項設けられているので、買ってみた。
帰りの電車の中で、取り急ぎパラパラと読んだ。
それぞれのアルバムにまつわる客観的解説と、萩原氏の個人的な聴体験の記述が入り交じっている。
ネット上のブログ記事を読んでいるような印象を受けた。
私自身も自分なりの濃い聴体験をしてきた80年代の日本のポップスについて、同世代の人が書いたものを読むのは、面白いことだ。
ただ、ちょっと残念なことが一つ。
「over」をめぐるページの中で、メンバーについて、「(小田和正と)鈴木康之・・・」という記述があるのだ。
さらに驚いたのは、「over」収録曲について、「言葉にならない」と記述している。
これももちろん、今に至る大スタンダード曲、「言葉にできない」である。
私のようなオフコースファンでなくても、このレベルの間違いはちょっと考えられない。
公に発売する本を出すにあたって、不注意であることは確かだろう。
こうなると、読む側の私としては、自分がオフコースほどに詳しくない、他のアーティストに関する記述にも、もしかすると誤りがあるのではないか、と思ってしまう。
細かい話だが、「KAMAKURA」を論じているページで、「サザン・オールスターズ」と表記しているのも誤りだ。これくらいなら、私も気がつく。「サザンオールスターズ」が正しい。
著者がうかつだったとしても、編集者がチェックできなかったものか(発行はPヴァインという会社)。
前著として、「70年代シティ・ポップ・クロニクル」という本があるとのこと。これも面白そうかなとは思うものの、買うかどうかは、ちょっと考えたい。