初日から4連敗の稀勢の里が休場。
初日の相撲で、新たな怪我(右膝)をしたそうだ。
本人と師匠に、今の時点で引退を決断する選択肢はないんだろうか、というのが第一印象。
4日間の相撲を観る限り、負け方が悪すぎる。北勝富士との相撲など、平幕相手の真っ向勝負の末に、とうとう左を差させてもらえずじまい。この時点で既に右膝を傷めていたということだが、今置かれた状況からすれば、怪我は言い訳にならないだろう。
8場所連続休場を経て、先場所の10勝でひと息ついたが、あくまでひと息。
それが、優勝どころではない内容での連戦連敗。本人の受け止め方は一体どうなんだろう、と思う。
確かに、先場所ひと息ついているので、今場所不振でも、横審あるいは世論から、即進退を問われることにはならないかもしれない。次に出場する場所に進退を賭けることになる理屈だ。
しかし、それはこれまでさんざん繰り返してきたシチュエーションである。
今場所のこの状況に至っては、周囲がそれを迫るかどうかではなく、本人が進退を決断すべきもののように思う。
報じられるところでは、稀勢の里は師匠に、「このままでは終われない」「もう一度チャンスがほしい」と言ったとのこと。
チャンスとはどういう意味か。
ここで休場し、新しい怪我も含めて治して、稽古して鍛え直して出てきたら、今場所の4連敗のような相撲は取らない、10勝程度などにはとどまらず、充分優勝をねらえる、という確信があるのか。
これまで繰り返してきたような形ではなく、今度こそは大丈夫、その場所限りでなく、当分横綱の地位に値する相撲をとっていける、と考えているのか。
もしもそうでないのなら、今の時点で自らの判断として引退すべきだと思うが。
かつて、佐田の山は、連続優勝した翌場所、2勝3敗となった時点で引退を決めた。そのことを思い出す。
それでも、と思う。
横綱とはそういう地位ではないだろうか。
かつての大関、照ノ富士が、休場を重ねて三段目まで落ち、なお今場所も全休と聞く。序二段にさえ落ちかねない状況で、両膝の手術を経て、再起を図ることは、大関の地位を汚すものではないのか、という議論があるだろう。
それでも、本人が元の地位に戻ることを目指して再起を期すなら、その成否を見守りたいと思う。
しかし、やはり横綱は違うのだ。いくら負けてもその地位を失わない点で、決定的に違うのだ。
そこを、本人と師匠はどう考えているのか。