プログラム冊子を見ると、指揮者が2人来ている他、ほとんどの役がダブルキャスト、あるいはトリプルキャストとなっている。
この日の演奏メンバーは、こちら。
14:30開場、15:00開演。14時半過ぎに会場に到着したが、尋常でない長蛇の列。最後尾はホール右手の外とのことで、そこに並ぶ。中に入ると、ロビーにうねうねと列ができており、入場するまで10分以上かかった。会場スタッフの誘導、さばきもあまりよくないと感じた。
クロークに荷物を預け、席に着くと、もう開演10分前となっていた。
私の席は、2階L1列19番。一つだけ離れた形の席で、気楽だった。
昨年の「魔笛」と違って、前後の時期に実演に接する機会が持てなかったのだが、やっとその機会が訪れた。復習と言うには遅いが。
演奏を聴きながら、1年余り前、自分で演奏した時のことを思い出した。オペラに限らないが、自分で演奏した経験があると、実演を聴く時の味わい方が大きく違う。
今回の舞台の設定は、時代を変えたり、何かの翻案をしたりということはなく、オーソドックスなもの。装置は比較的簡素なものだった。全国各地のホールで上演することを想定してのものだろう。
4幕構成のオペラだが、今回は、2幕と3幕の間だけに20分の休憩が置かれる形だった。2幕終了時のカーテンコールはなかった。
1幕と2幕、3幕と4幕の間では、下がった緞帳の前で、それまで歌っていた歌手とは別の人が数人出てきて、短い芝居をした。舞台転換の時間稼ぎのためだろうが、芝居自体の意味はよくわからなかった。
演奏経験を通じて、自分なりに慣れ親しむことができているこのオペラ全幕を、楽しむことができた。
やはり、このオペラは、まず話としてよくできていると思う。1幕のケルビーノの椅子のくだりとか、2幕のケルビーノの女装着替えからの一連のドタバタとか。
そこにつけられたモーツァルトの音楽も、まさに練達のもの、名曲揃いだ。
前記の場面を始めとするあれこれのドタバタ劇に、この日の客席は反応がよく、しばしば笑い声が上がった。
今回の舞台、どの歌手も良かったが、スザンナと伯爵夫人が特に良かったと思った。
オーケストラも、コンパクトな印象だが、申し分なかった。
2ヶ月前、「コジ」こそ最高傑作ではないか、と思ったが、今回は、いや、「フィガロ」が最高傑作だ、と思いながら、会場を後にした。
とにかく、これも前回書いたが、モーツァルトのオペラは、人生の宝だ。