3日(日)に入った2つ目の訃報は、帰宅してすぐ。家の固定電話に入った。出ると、同じマンションの隣の棟に住むS氏の奥様だった。
S氏の奥様とお話をするのは、この電話が初めてだったと思う。
「主人が亡くなりました」との話だった。健康が万全でないとの話は以前からうかがっていたものの、確か71歳。まだまだ早い逝去だ。
S氏とのつきあいは、もう30年くらいになる。
平成の初め、管理組合の理事会で一緒になったのが出会いである。その後も、S氏が中心になっている別の地域活動に誘われて加わったこともある。
その過程で、私がオーケストラ活動をしていることが話題になり、長いこと、ほぼ毎回、浦安オケの演奏会には足を運んで下さっていた。
ただ、地元での交流はこのところご無沙汰となり、年賀状のやりとりをする他、年2回、メールで演奏会のご案内を差し上げ、来聴の返信をいただくと、チケットを持って隣の棟のS氏宅の郵便受けに投函する、というつきあいだった。同じマンションとは言え、互いの家を行き来したことはなかった。
ところで、S氏の奥様の電話には、続きがあった。
葬儀は近親者のみで行う予定だが、主人は浦安オケの演奏会に行くのをとても楽しみにしていたので、もしCDがあれば、式場で流したいと思っていると言われるのだ。
「音楽がお好きだったSさんのために、ご葬儀で音楽を流されるのでしたら、プロの演奏のCDがよろしいんではありませんか?」と申し上げた。
すると、「いえ、主人がいつも聴いて喜んでいた、naokichiさんたちのオーケストラの演奏を流したいのです」とおっしゃる。
一瞬、言葉に詰まった。
我々、趣味でやっているアマチュアの演奏を、そんなに楽しみにして下さっていた聴衆がいた、ということに、驚きもし、光栄にも思った。
S氏が亡くなられた悲しみとは、また別の意味での涙が浮かんだ。
わかりました、CDは毎回作っておりますので、その中からお持ちします、とお答えした。
直近で、S氏にチケットを差し上げたのは、昨2018年6月の定期演奏会だった。この時のCDと、その1つ前に来ていただいた、2017年6月の定期演奏会のCDの2組を、奥様は葬儀準備等で慌ただしいとのことだったので、手紙を添えて、今回も郵便受けに投函した。
演奏会のチラシも1枚添えた。もしよろしければ、旅立ちの時にお棺に納めていただけないか、と。
この話は、ヴィオラパートのメンバーには、すぐにメールで伝えた。
プライベートな話題で申し訳ないが、我々のオケのお客さまの中には、このような方もおられることを、naokichi自身の驚きとともに、誇らしくも思ったので、パートの皆さんと共有したい、と。
そして、趣味でアマチュアでも、精いっぱい精進して良い演奏をしなければならないと改めて思った、とも。
多くのメンバーから、趣旨に賛同してくれる趣旨の返信をもらうことができ、嬉しかった。
その後、再度奥様から電話をいただいた。CDは、昨年6月のものを使うことにしたとおっしゃっていた。
いずれ落ち着かれた頃に、改めて弔問にうかがおうと思っている。