日 時 2019年6月22日(土) 13:30開場 14:00開演
会 場 紀尾井ホール
指 揮 鈴木 雅明
管弦楽 紀尾井ホール室内管弦楽団
ソプラノ 松井 亜希
テノール 櫻田 亮
バリトン 与那城 敬
曲 目 モーツァルト 交響曲第29番イ長調
バルトーク 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ストラヴィンスキー バレエ音楽「プルチネルラ」(全曲)
会 場 紀尾井ホール
指 揮 鈴木 雅明
管弦楽 紀尾井ホール室内管弦楽団
ソプラノ 松井 亜希
テノール 櫻田 亮
バリトン 与那城 敬
曲 目 モーツァルト 交響曲第29番イ長調
バルトーク 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ストラヴィンスキー バレエ音楽「プルチネルラ」(全曲)
新木場から有楽町線に乗り換え、麹町で下りてホールに向かった。
歩いていると、前方に傘をさした女性が二人。すっと追い抜いたが、その先で信号待ちをしていると、呼び止められた。元浦安オケの団員で、今もマウントあさまや松本モーツァルト・オーケストラなどでいつも一緒に演奏しているMちゃんとお母様であった。びっくり。
今回の演奏会のチケットを買ったのは、バルトークが目的だった。この曲は一度実演で聴きたいと思っていたので。
私の席は、2階C4列20番。
最初は、モーツァルトの29番。
モーツァルトのシンフォニーで、好きな曲ベスト3を選ぶとすれば、この29番はその中に入る(他は38番と41番)。この曲が聴けるのも楽しみだった。
弦は、7・7・6・4・2の対向配置。
1楽章は、速めの心地よいテンポ。この楽章は、スウィトナー=ドレスデンのレコード、あるいは晩年のベーム=ウィーン・フィルの録音、実演のように、遅いテンポで演奏してこそ生まれる味わいもあるが、こうした速いテンポもありだと思う。
弦は、ノン・ヴィヴラートの徹底した指示はないようだが、かなりヴィヴラートは控えめ。木綿の手ざわりである。
かつてこの指揮者で聴いた、「メサイア」を思い出した。
ところどころで、独特のアクセントや溜めが聴かれた。
舞台転換の後、私にとってのこの日のメイン、バルトークである。
ステージ奥に打楽器奏者4人。
その前、中央に下手側から、ハープ、ピアノ、チェレスタ。
高校3年生の時、ライナー=シカゴ響のレコード(RCAの1,000円盤)を買って聴いた。近現代の音楽の中から、何故最初にバルトークを、またバルトークの中でもこの曲を選んだかと言うと、曲名にチェレスタとあったからだと記憶する。「くるみわり人形」は既に知っており、そこで使われているチェレスタが、近現代の作曲家によってどう使われているのか、知りたかったからだと思う。
当時の私としては、初めて聴く「現代音楽」という感覚だったが、ライナーのレコードを聴いて、気に入った。特に覚えているのは、4楽章の終わり、曲締め直前の、楽章冒頭のテーマがゆったりとひろがってピアノ・コンチェルトのように盛り上がる部分だ。未知の「現代音楽」だったが、「腑に落ちた」というか、「理解できた」という感覚があった。
そんなこの曲を、初めて実演で聴くことができた。
これまで、半世紀近く、ずっと録音で聴いてきた曲だが、やっぱり実演でないとわからないことがたくさんあると思った。
この曲の場合、実演で「聴く」だけでなく「観る」ことでも得るところが多い。
2群の弦楽器の使われ方、個々の打楽器の使われ方。
これは、1階前列の席とかにいたのでは、わからないな。2階席からステージ全体を見下ろす形でないと。
打楽器奏者の演奏を観ていて、もうだいぶ以前、さだ(まさし)さんのコンサートで(バックが「亀山社中」の時代)、宅間(久善)さんが、さまざまな打楽器を効果的に使っていたのを思い出した。
チェレスタ奏者が、曲の一部でピアノの前に座り、連弾の形で弾く場面があったが、そんな楽譜になっていたんだ、と驚いた。これも実演で観てこそだ。
とにかく、実に面白かった。
2楽章については、もう少しバーバリックな迫力があっても、と思ったのと、4楽章に、もう少し弦の量感がほしかったと思った。弦の人数がもう1人か2人ずつ多くてもよかったのではないだろうか。
休憩後は、「プルチネルラ」。正直、バルトークが聴けたので、個人的には付け足し、という感じだが、この曲も実演に接するのは初めてだ。
曲自体も実はよく知らない。
歌手だけでなく、オケの楽員もからむ形の芝居的な動作もあったが、バレエの筋に不勉強なため、よくわからなかった。
ペルゴレージの曲に基づいているとのことなので、あの「春の祭典」や「火の鳥」を書いたのと同じ人の作品とは思えない(レスピーギの「ローマ三部作」と「リュートのための古風な舞曲とアリア」を想起させられる)。作曲というよりは、編曲に近いのかもしれない。
ともかく、聴きやすい音楽だ。聴いてもいいが、弾く方が面白いかもしれない。
演奏された3曲の中では、このストラヴィンスキーが一番客席を沸かせていた。
アンコールはなかった。