naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所13日目

3敗の垣添春日錦は、垣添が左右からはず押しねらい。一方の春日錦は、相手の右を引っ張り込んでつかまえ、右上手をさぐる。結局上手はとれなかったが、まわしにこだわらず、今度はその右をはずにあてがって、黒房下に押し出した。
春日錦が体格差を生かした相撲。

普天王が、得意の左四つから上手も速く、スムーズな相撲で岩木山を正面黒房寄りに寄り切った。岩木山は左腕が痛そうだ。

高見盛白露山は、立ち合い高見盛が左から右と入ってもろ差し。一方的に向正面に寄り切って5連勝。この5日間は本当にいい相撲が続いている。7勝6敗までこぎつけた。

土佐ノ海は、巨体を利して嘉風を向正面へ押し込んだが、嘉風はしぶとく残し、以後も土佐ノ海の押しをこらえつつ、機を見て中に入って寄り切った。
嘉風は9勝目。今場所の嘉風の相撲には、少し進歩が見られる。

3敗の旭天鵬豪風は、立ち合い旭天鵬がすぐに左上手をとった。
豪風も右下手をとり、二本入ったが、旭天鵬はかまわず左上手を引きつけ、右は抱えたままで青房下へ寄った。
豪風は突き放すことができなかった。

髭を剃ってきた黒海が、突きで先手をとっておいて左四つに組み、時津海を白房下へ寄り切った。一方的。

栃煌山玉乃島は、栃煌山が低く当たって左からおっつけて左差し、東に攻め込んだが、玉乃島はこれを残し、左差し右からおっつけて反撃。西土俵に攻め込むと、栃煌山はまわりこんで残したが、玉乃島はさらに東土俵に寄って出ての寄り切り。
前半は栃煌山、後半は玉乃島という相撲だった。
玉乃島からすると、攻め込まれながらも栃煌山にもろ差しを許さず、左を差し勝って自分充分の左四つになったのが勝因。
栃煌山としては、右を入れてもろ差しでの攻めができなかったのが敗因。玉乃島と左四つにわたりあっては、さすがの栃煌山も苦しい。

豊響玉春日の一番は、若手がベテランの老練さにやられたという住もう。
豊響は、いつものように当たって押し込んだが、玉春日は、これをいなして下からあてがいつつ残す。
今のところあくまで一直線の攻めを身上とする豊響だが、玉春日は、左右への動きや引き、つきおとしもある、柔軟な相撲。
豊響としては、何か思いきって押していけない感じがあり、最後は、玉春日のはたきに、まるでぶつかり稽古のように転がった。
両者の相撲のタイプの違いが出て、面白い相撲だった。豊響は、ベテランにさばかれた格好だが、今はこのように愚直なまっすぐな相撲でいいと思う。

3敗の春日王雅山は、立ち合い春日王がいい当たりを見せたが、雅山がすぐ体を開いてのはたき。春日王は、つっかい棒をはずされたように落ちた。
雅山は勝ち越し。

時天空鶴竜は、鶴竜の当たりが低く、すぐに左前まわしに手がかかった。
その左を今度はすくうようにして相手の右脇につき、外こまたを見せながら更に崩して、後ろについた。
鶴竜は、さすがに昨日の安馬とは違って、ここから吊り落としにはいかず、送り出し。
いい相撲で、鶴竜はこれで6勝7敗と踏みとどまっている。

3敗の安馬豊ノ島は、好一番と思ったが、意外にも過去の対戦は、安馬の9戦9勝だった。
安馬は、いつものように立ち合い当たって押し込もうとしたが、豊ノ島も低く、突き起こして西に攻め込んだ。しかし、そこを安馬がはたくと、豊ノ島はあっけなく落ちた。
やはりあいくちの善し悪しが出た。安馬としては決していい相撲ではなかったが、それでも負けない。
一方の豊ノ島は、いい攻めを見せたのだが、結局相手に密着する場面がなく、安馬の俊敏な動きに負けた。

稀勢の里出島は、出島がもろ差しから赤房下へ寄った。
立ち合い、頭は出島の方が低かった。稀勢の里も左四つねらいだから、相手に左を差させることについてやや無防備な感があったが、肝心な左を差せずに差し負けてもろ差しを許してはいかんともしがたい。
出島には申し訳ない言い方になるが、期待の若手の筆頭と言うべき稀勢の里が、出島に敗れて負け越し、三役から落ちるというのは、どうにも歯がゆいとしか言いようがない。
しかも今日の相撲は内容がよくない。
相撲が固まらないと言われて久しい稀勢の里だが、期待の若手、期待の日本人力士といつまでも言ってもらえるわけではない。実際、栃煌山豪栄道が出てきている現在、このままの相撲で頭打ちになっていると、たちまち抜かれてしまい、自分は結果として「ただの人」に終わる懸念もある。
ケガがないのはいいことだが、それならば、なおのこともう大関をうかがうくらいになっていなければおかしい。
この人は、いつも怒ったような顔をして、気合いで顔を真っ赤にしているが、そのへんも考え直した方がいいのではないか。案外、自分が有望視されていることを、意識し過ぎているところがあるのかもしれない。
勝手に意識し、勝手に気合いをかきたててからまわりしているのでなく、「自分の立ち合いはどうあるべきか」「自分の相撲はどうあるべきか」など、考え直してもらった方がいいと思う。

朝赤龍琴奨菊は、入れ替え戦的な取組。
朝赤龍が考えた相撲をとった。立ち合い、左を深く差して、琴奨菊に右からおっつけさせない。自分は右からおっつけておいて、すぐ琴奨菊の左かいなをたぐり、横を向かせた。うまさが光る相撲。

安美錦豊馬将は、めまぐるしい攻防の一番となった。
今日の豊馬将は、低い体勢で前に出ながらよく攻めた。豊馬将が右上手を引きつけて正面に出るところ、安美錦は正面土俵際で左からすくい投げ。うっちゃり気味に両者土俵下に転落。
軍配は安美錦に挙がったが、物言い。
安美錦の右足が土俵を割ったかどうかと、両者の体がどうだったかというのがポイント。
協議の結果は差し違え。安美錦は8連勝後の5連敗。豊馬将は7勝6敗。この星は大きい。

琴欧洲が土俵に上がると、何か土俵上がどんよりした空気になるような気がする。
華、覇気、気合いというものが感じられないのだ。時間いっぱいから、上体をなかなか前傾させないのも、「できれば相撲をとりたくないと思ってるんじゃあるまいか」という感じを与える。
若の里との今日の相撲も、目を覆う内容。
琴欧洲は、立ち合い左前まわしをとったが、引きつけて出ることをせず、まわしを放して突きの相撲に変更、赤房下へ攻めていった。しかし攻めきるには至らず、ちょっと引くところを、若の里がつけいって反撃。
体勢を悪くした琴欧洲が右のまわしに手がかからぬまま、小手に振ると、若の里は左すくい投げを打ち返し、琴欧洲を裏返しにした。
それにしても、今場所の琴欧洲は、投げの打ち合いは必ず投げ負ける。どこか、根本的に相撲のとり方に問題があるのだろう。
上体が高すぎるということか。要は、長身を生かすどころか、それが災いしているのが現状ということになる。
ところで、昨日の記事に書いた希望に反して、明日14日目、白鵬豪栄道戦が組まれた。
番付順からすると、明日は白鵬琴欧洲戦だったはずなので、これが飛ばされることになるのだろう。
しかし、今日の琴欧洲の相撲ぶりを見ていると、原則通りの割が組まれるよりは、豪栄道をぶつけた方が、優勝争いがどうこうでなく、純粋に一番の取組として、面白いのではないか、という気もしてくる。

さて、2敗でトップの豪栄道が、大関千代大海に挑戦する一番は、さすがに通じなかった。
豪栄道は、立ち合い左からおっつけ、右差しをねらったが、前に出る力はさすがに千代大海の方が上だ。
強い突き押しで豪栄道に横を向かせて、正面に送り出した。
千代大海は、いい間合いで押せたのがよかった。

この時点で、唯一の2敗となった白鵬は、新大関琴光喜との対戦。
ここ2日間、相撲がよくないだけにどうかと思ったが、その懸念が当たった。
白鵬は、立ち合いの踏み込みはよく、右からすくうようにして差し、かいなを返しかかったところまでは、これは今日は見違えるような相撲かと思ったのだが、そこからがまったくだめ。
琴光喜も右を差せたので、左から絞るようにして上手をとり、先に充分な右四つの形になった。
白鵬は両まわしに手がかからず、琴光喜の寄りに東土俵、俵に足がかかって危なかった。最後は赤房下で、ひらりと体をかわすようにしながらの巻き落としで逆転。
それにしても、右四つにわたりあいながら、最後の最後まで両まわしに一度も手がかからなかったというのは、どうしたことか。
辛うじて勝ちを拾ったという相撲であって、横綱の勝ち方とは到底言えない。
吉田アナは白鵬が単独トップに立ったことに、しきりと騒いでいたが、そんな内容の相撲ではない。おそらく白鵬自身、まったく納得していないだろう。

2敗 白鵬
3敗 安馬旭天鵬豪栄道

星の上では、順当に横綱がトップに立ったと見えるが、内実はとてもとてもそういう状況ではない。
ここにきての白鵬の相撲内容の崩れがすべてで、混戦が整理されてきたのに、さすがに最後は実力者が残った、という感じがまったくしない。
何とも締まらない優勝争いという印象だ。
さて、残り2日。
白鵬は、豪栄道千代大海との対戦だろうから、まあ、7割方、2敗のままで逃げ切り優勝というところだろう。
白鵬が星を落として、安馬との決定戦あたりになれば、これは初日の対戦の因縁が再びということで、盛り上がるだろう。しかし、優勝ラインが3敗に下がるのはやはりさみしい。
明日、安馬旭天鵬が対戦するので、14日目の優勝決定はない。いずれにしても千秋楽まで楽しみだ。