naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所11日目

遠藤が、北太樹を寄り切って、2勝5敗からの4連勝で白星先行。
左の相四つ。今場所不調の北太樹相手なら、遠藤としては、五分以上に取れるとは見ていたが、物足りない内容。
立ち会い、互いに左を差して上手が取れない格好。遠藤は、相手のまわしを切る巧さは見せたものの、自分充分の体勢を作るのが遅い。

8勝2敗同士、栃ノ心旭天鵬の一番は、いきなりがっぷり右四つ。
力の入った攻防の後、旭天鵬が相手の左上手を切りに行ったのが悪く、栃ノ心はすかさず切られた左を差し込んでもろ差しとなって寄り切った。2ケタも充分ねらえる。
膝の大けがで幕下下位まで落ちてからの復活劇。過去、役力士、幕内力士が、怪我で幕下以下に下がってから番付を戻した例は少なくないが、これほど見事な成績での復活は珍しいと思う。
「落ちたら落ちたところの相撲しかとれない」とよく言われるが、幕下で連続全勝、十両で連続優勝を果たしたこの人に関しては、それはあてはまらない。
それどころか、元の地位に戻ってきた今、怪我をする以前よりも強さを感じる。栃ノ心は、幕下から出直す過程で、自分の相撲に何かプラスアルファをつかんだのではないかという気がする。

7勝3敗同士、蒼国来隠岐の海は、左四つ、互いに両まわしともとれない体勢。
蒼国来は、頭をつけて食い下がり、右からの絞りに徹した。一方の隠岐の海は、まわしに手がかからぬまま、体格差に頼る形で強引に出たが、蒼国来が左からすくった。
相撲の厳しさの違い。

豊ノ島妙義龍は、立ち会いすぐに右四つ。これも互いに両まわしがとれなかったが、妙義龍が先に右下手。左をまきかえてもろ差しをねらったが果たせず、それでも右下手をひきつけて左からおっつけながら前に出た。
やや強引な攻めとも思ったが、そのまま寄り倒して勝ち越し。隠岐の海がまわしをとれぬままに出たのとの違いが勝敗を分けた。

高安常幸龍は、喧嘩四つの対戦。立ち会いすぐに高安が充分の左四つに組み勝った。
互いに上手がとれなかったが、高安は逆足の形で常幸龍の右上手をとらせず、自分は右上手をさぐってとり、西へ寄り切った。

宝富士も喧嘩四つ。立ち会い、宝富士が左を差しかかったが、次の瞬間、勢が体を開いて右から小手に振ると、これが決まった。

安美錦は、豪風の突いてのいなしに崩れず、最後はまっすぐ突いて出て突き出した。

豊響逸ノ城は、豊響が、立ち会い頭で強く当たり、右はず、左からおっつけて出たが、逸ノ城が右からすくうような突き落としで勝った。
新関脇で6勝5敗。星勘定としてはまずまずだが、この力士の相撲はまだ甘く、固まっていないと思う。
巨体と腰の重さをいかして、相手の攻めをしのぐ強さはあるが、「相撲に勝つ」形が確立していないように思う。左上手からの投げは確かに威力があるものの、右で首を巻いて投げることが少なくなく、相撲の基本形に忠実とは言えない。また、巨体にあるまじき変化相撲も半ば癖になっている感じもあり、まだまだ、これが逸ノ城の相撲、というにはあまりに雑で荒削りに過ぎる。
自分の型を一本に絞り、もう少しスピードのある相撲を身につけることが望まれる。

琴奨菊照ノ富士は、大関がもろ差しねらい。左を差そうとしつつ右ものぞかせて出たが、照ノ富士琴奨菊の右かいなをたぐって横を向かせて、そのまま送り出した。
琴奨菊も、攻めの型に今一つ徹底を欠くように思う。
照ノ富士は、相撲の形ができているという点では、逸ノ城よりもまさっていると考える。

白鵬豪栄道は、過去白鵬の23勝5敗だが、このところ3連敗中。
そうは言っても、相四つだし、今場所の状態からすれば、白鵬がたやすく充分な形で四つに組めると予想した。
しかし、実際の相撲は予想外の展開。
白鵬は、立ち会い左から張って、右からかちあげた。張りとかちあげのタイミングが狂ったか、右四つに組むことができず、すぐにはたいた。
豪栄道に押し込まれてはたいたというより、白鵬の方が、組めずと見るやまともに引いた形だった。豪栄道はむしろそれについて出た感じだった。
このはたきが辛くも決まったものの、白鵬は土俵際まで下がって危なかった。
白鵬の雑な相撲で、きわどい勝負になってしまった。豪栄道が好調だったら、勝敗は逆になっていたかもしれない。

日馬富士は、立ち会い左に動いて上手を取り、上手投げで崩して出ようとしたが、碧山がはたくと、両者の間に空間ができ、日馬富士の足がついていけずに前に落ちた。
強行出場の日馬富士は、序盤で連敗したこともあり、なりふりかまわず白星を求める相撲が目立つが、自分本来の相撲を取ろうとする姿勢に乏しいことが、この結果を招いたと言える。

全勝の鶴竜が、いいところなく稀勢の里に敗れて土。
鶴竜は、立ち会い左から張って右を差し、左からおっつけて出たが、稀勢の里はこれをこらえ、以後は離れた相撲になった。
突き合いは、終始稀勢の里が優位に立ち、鶴竜は受けにまわってかわすのが精一杯。組むチャンスをつかめぬまま、押し出された。
稀勢の里が気迫あふれるいい攻めを見せた。鶴竜は気合い負けした感じだった。

これで全勝力士がなくなった。

1敗 白鵬鶴竜
2敗 稀勢の里栃ノ心
3敗 日馬富士、妙義龍、旭天鵬、蒼国来

鶴竜としては、星1つの差を保てれば、千秋楽に直接対戦に敗れても決定戦に持ち込める、という状況だったが、それがなくなったのは大きい。
白鵬が、今日の相撲内容のまずさで明日以降引き締めてくるようだと、32回目の優勝も見えてくる。
何だかんだ言って、稀勢の里が2敗を保っているのが、どう影響してくるか。
実質的には、両横綱稀勢の里の3人の争いになるだろうが、優勝ラインが2敗まで下がる可能性もある。