７月場所７日目

栃乃花充分の左四つに組み勝っての完勝。昨日は星を落としたが、引き続き好調。
いい攻めだった。

玉春日は今日もムダのないいい攻めで、大真鶴を圧倒。格の違いを見せた。

豊真将は、立ち合い低く当たって左からおっつけていったが、左四つで出た時に、栃乃洋得意の突き落としを食った。次はこのへんを研究していきたいところだ。

土佐ノ海と豊桜は、激しい動きの末、物言い。軍配を受けた豊桜の左ヒジが早く落ちたように見えたが、やはり差し違えだった。行司としては、土佐ノ海の体が飛んだと見たのかもしれないが、妥当な協議結果だと思う。
いずれにしても、いい相撲だった。土佐ノ海はよくあきらめずに我慢した。それが勝ちにつながった。

嘉風は精一杯よく頑張ったが、体格の差が出た。岩木山も、がむしゃらに前に出たのがよかった。
しかし、嘉風が赤房下に押し込まれて土俵を割った際の、呼び出しの動きが遅い。もっと早く水桶を持って逃げるべきだ。嘉風がケガでもしていたら大変なところだった。

高見盛と黒海は、はたかれた高見盛が粘り、黒海の足にすがりつく形で落ちたが、黒海が腰を傷めた様子。
ねばる相撲もよしあしだ。素直に落ちていれば、そういうことにはならなかったのだろうが。
もっとも、いきなりはたいた黒海の相撲もほめられたものではなく、何もできなかった高見盛も同様。どっちもどっちという、内容には乏しい一番だった。

把瑠都が２敗。普天王との厳しさの差が出た一番。
基本的に、普天王の相撲が上回った相撲だが、把瑠都としては、立ち合いに例によって左上手をさぐって抱き込みにいったのが、不発だったのが敗因。もっと当たって踏み込んでまわしをとりにいけば、普天王といえども対抗できなかったかもしれないが、今日に関しては、そのへんが把瑠都としては甘かった。
しかも、左上手をとりそこねてすぐ引いたことで墓穴を掘った。
把瑠都の甘さが露呈した相撲で、大いに考えてもらいたい。

安馬に琴奨菊は、安馬がいい当たりだったが、琴奨菊が左を差して、安馬に食いつかせる形を作らせずに終始先手で攻めたのがよかった。
体格と地力において、琴奨菊が一枚上と感じさせられた。

琴光喜が、旭天鵬にもろ差しの珍しくいい相撲だった。今場所一番の相撲。
こういう相撲が毎日とれたら、と思うのだが。

白鵬は、今日は不本意な相撲だっただろう。
小さい垣添に突っ張っていったのはいいが、それなら一気に突き出しで圧倒してもよかった筈。
垣添もそれなりによく動いて抵抗したため、白鵬としては、いい距離のとり方ができなかった。
もちろん、余裕はあっただろうから、波乱までには至らなかったが、横綱をうかがう大関としては、突いて圧倒するか、がちっとつかまえるか、どちらかを期待したかった。
明日からは立て直してほしい。

栃東は問題なく７連勝。
それにしても、これまでも書いていることだが、今場所の旭鷲山は、何を考えて相撲をとっているのか。
いくら上位相手とはいえ、どうやって攻略しようとか、どういう相撲をとろうとかいうのが、まったく伝わってこない。
いつも、｢何をやってくるかわからない｣と相手を警戒させる旭鷲山だが、今場所に関しては、そういうこわさ、意外性がまったくない。
無気力にさえ見える毎日の相撲ぶりだ。

琴欧州は物言いのつく相撲。
今日もまったく内容のない相撲で、立ち合いからまともに引く展開。
協議のポイントは、雅山が落ちた時に、琴欧州の右足が土俵を割っていたかだと思うが、残っていたように見えた。
懐の深さで勝ちを拾ったというところだが、まったくほめられない相撲。
一方の雅山も、引きにきた琴欧州を突ききれないのは、今場所の調子だろう。
仕切っていて、塩をとりに赤房に往復する際、歩き方が妙に歩幅が狭く、そろそろ歩いている感じなのが気になる。股関節とかどこか傷めているのではないか。

魁皇が稀勢の里に、いわば力負け。
今場所ずっと見ていて、接触した相撲をとっていても、自分充分の四つに持ち込む形にできていないのが気になっていたが、今日の相撲を見ると、やはりそうかという感じがする。
相四つなので、当然左四つにはなる。
魁皇としては、今場所初めて左四つにわたりあう相撲になった。
普通なら、左下手をとりあって右上手に互いに手がかからない形からは、魁皇が右からおっつけて上手をとりにいくか、右からかいなをきめにいってくずすかの展開になる筈だ。
しかし、そういう形にもっていけずに攻め手がない、という状況で、稀勢の里が先に右上手を充分にとり、引きつけての寄りで決めた。
稀勢の里としては、琴欧州戦に並んで、今場所一番の相撲だった。やはりこういう形にはまれば力が出ることはわかった。
しかし、一方の魁皇、相四つの相手に自分の形を作っていけないことが露呈した今日の一番、星勘定以上に、この先は厳しいかもしれない。

千代大海と露鵬は、露鵬が自滅した相撲。立ち合い一合の後、あれだけまともに引いては、千代大海についてこられる。
また、引かせた千代大海の押しも、今日はすばらしかった。
しかし、土俵下での両者のエキサイトぶりはどうしたことか。千代大海がわざわざ土俵を下りて何か言っていたようだが、立ち合いが最初合わなかったことではないだろうし、露鵬が張りにいった程度であんなに怒るとは思えないのだが・・・。
まさか、母親を娼婦呼ばわりされたとかテロリスト呼ばわりされた訳でもなかろうが・・・・
(その後ネットで得た情報では、両力士とも、協会から注意を受けたとのこと。また、露鵬はカメラマンに暴力行為を働いたそうだ)

全勝の朝青龍は、問題なし。
白露山に勝てるイメージがどうしてもわかなかったが、立ち合いから終始横綱ペース。
横綱としては、今場所初めて右差しの形になった。これを白露山が左からおっつけられれば、というところだが、それ以前に横綱が右腰にくいついて、頭までつける体勢では、どうにもならない。
余裕の勝利だ。