７月場所11日目

豊真将が岩木山を破って７勝目。
今日も立ち合い低く当たって左上手をつかみ、二本差しに持ち込んだ。
今場所は攻める相撲が出てきているのが頼もしい。

玉乃島が栃乃花の変化に２敗。
３連敗中の栃乃花としてはやむにやまれぬ変化だったろう。やむを得ないところだ。

時天空は十文字をはたいて破り、納得がいかなかったのか首をひねっていたが、内容的には今日も立ち合いからの突っ張りが効いたのが勝因。
やはりこの人には突きで先手をとる相撲を伸ばしてほしい。

平幕でもう一人１敗の玉春日も２敗。
出島が、立ち合い一瞬早く当たれたのが、最後まで効いた。
ほんの僅かのタイミングの差だったが、これで出島は終始いい体勢のバランスを保てた。
玉春日もさすがに好調なのでよく攻めたが、出島が得意の右を入れていい出足を見せたので、残せなかった。

普天王はがっかりする相撲。土佐ノ海の当たりに、立ち合いすぐ引いてしまった。
我慢が足りない相撲だ。

北勝力と垣添は物言いの相撲。
攻め込んだ北勝力に軍配があがるのは当然としても、体の落ち方は微妙だった。
しかし、見方を変えると、北勝力の髷を垣添がひっぱりながらはたいたようにも見える。
これは、昨日反則で負けた北勝力が、翌日は反則勝ちかと、珍しい記録を期待したが、物言いの協議はその観点からはなされなかったようで、垣添が早く落ちたとの判定。
いずれにしても、互いに突いてははたきあう相撲は感心できない。

安馬と旭鷲山は凡戦。
今日も旭鷲山は立ち合いからまっすぐ下がるだけ。いかに星の上がらない安馬とはいえ、これではついていける。
旭鷲山は仕切りでじらすことばかりで、立ってからは攻めようという姿勢がまったく見えない。
これほどに無気力な力士を見たことがない。協会は何らかの注意を与えるべきではないのか。

出場停止が解けた露鵬が、琴奨菊に右四つに組み勝ってのいい相撲。琴奨菊の不調に救われた面もあるかもしれないが、気持ちのこもった相撲だった。

稀勢の里が旭天鵬に終始突きに徹した相撲。珍しい。
旭天鵬が引きにいったので、そういう流れになったのだが、稀勢の里としては、四つ身がまだまだ上手とは言えないので、こういう相撲をとるのも悪くはないという発見があった。

雅山は、白露山に踏み込み負けて、今日も危ないかと思ったが、その後はいい突きが出た。

魁皇は深刻。本来右四つの琴光喜が、自分から左四つに組みにいった感じで左四つにわたりあったが、上手下手ともとれない。得意の四つであれば、右からおっつけて有利な体勢を作る筈なのだが、それができないまま、琴光喜の動きに翻弄されて、一つもいいところなし。
７勝している星数から、あまり騒がれないが、状態は相当悪いのではないか。
下手をすると勝ち越せないかもしれない。

千代大海が把瑠都に屈して２敗。
把瑠都が立ち合いいきなりはたいた。この変化はほめられたものではない。この人の体格からすれば、もっと一つに絞った立ち合いをすべきだ。
しかしまあ、破天荒ではある。大関はそれにやられたという感じだ。
千代大海としては、変化は頭に入れておかねばならない。しかし、おそらく頭に入れた上で、立ち合い当たったつもりだったのだろうと思う。
ところがそうではなかったところが、把瑠都の規格外の相撲だ。

白鵬と琴欧州は、優勝で先を越された先輩大関に意地を見せてもらいたいところだったが、やはり今場所の調子の差はいかんともしがたかった。
相四つなので当然右四つにはなるが、白鵬が左上手を速くとり、琴欧州に上手を与えない、一番いい形に組んだことで完勝。
琴欧州は途中でまきかえにいったのがまずかった。
放送では、しきりと白鵬の右足が出たことを言っていたが、騒ぐことではない。
これが寄り切りの相撲なら勇み足の議論もあるが、寄り倒しだ。相手の体がないのだから、関係ない。

朝青龍に勝てるとすれば、栃東か白鵬くらい、と思っていたので、結びの一番には期待した。
実際、立ち上がってからの相撲も、栃東が先手をとって攻め、左四つながら、横綱に上手を与えないいい形を作った。
しかし、すかさず左から振って体勢を立て直す動きのよさに、栃東としては対応できなかった。
以後は横綱のもの。もう右腕は充分に使えるようだ。そこを突く力士がいないまま、もはや本調子になったと言える。

全勝　朝青龍
２敗　白鵬、千代大海、玉乃島、玉春日

星２つの差となったことで、優勝争いについては横綱が断然有利となった。
白鵬が横綱を破ることは考えられても、他の大関には期待は持てない。２つの差は大きい。
今日栃東が朝青龍を破れなかったことで、白鵬の13勝２敗での優勝、あるいは優勝同点はきわめて難しくなったと思う。今場所後の横綱昇進の可能性は非常に低くなった。

ただ、千代大海と栃東がいずれも足を傷めたようなので、仮に休場ということになったら、取組編成が変わる。その影響がどう出るか。