naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

忘れられないこと~ペッパーランチで

昨晩は、御徒町ペッパーランチで夕食をとったが、ペッパーランチといえば、別の店でのことだが忘れられないことがある。

昨年10月、日帰り出張でつくばへ行った。初めてつくばエクスプレスに乗ることになり、秋葉原へ。
ちょうど昼どきだったので、どこかで昼食をと物色し、ヨドバシカメラの上のレストラン街に行ってみたら、ペッパーランチがあった。御徒町でもたまに利用していた懐かしさもあり、入ることにした。

カウンター席で、ペッパーライスを食べていたのだが、私の右側に年配のご夫婦が座った。
久しぶりに東京に出てきて、これからどこかへ出かけるらしかった。
まず、生ビールが2つ出てきて、お二人は嬉しそうにジョッキを合わせて乾杯した。

その内、料理が運ばれてきたのだが、私から見て右手に座った旦那さんは、何かの病気の後遺症なのか、右手が不自由であることに、気がついた。
左手を使って食べなければならないようなのだが、箸が使えないのか、奥さんが持ってきた、スプーンのようなものを使っている。
最初はお気の毒だなと思いながら見ていた。
奥さんは、たとえば目の前の前のドレッシングをとって、「これ、かけてみる?」などと話しかけながら、何くれとなく世話を焼いている。

その様子は、誠に慈しみにあふれたもので、私はいたく感じ入ってしまった。

配偶者の身体が不自由になった時、このご夫婦には、決して小さくない嘆きも悲しみもあっただろう。
また、奥さんにしても、そうした夫の不自由の面倒を見ることに、わずらわしさやいらだちを感じることがあったかもしれない。すべて推測だが。

しかし、その時私が見たご夫婦の姿は、本当に楽しそうに、また幸せそうに見えた。
奥さんは、心底から愛情あふれる、といった風に旦那さんに世話を焼いていたし、その旦那さんも、卑屈になるとかいう風はなく、それを受けていた。

何か考えさせられてしまった。

私の場合、ご夫婦に比べればまだまだ若いし、「亭主元気で留守がいい」的な感じで、要はお互い好き勝手にやっている。
しかし、考えたくないことだが、これから歳をとる中で、もしも何かの病気や障害が生じたら・・・。
そう考えた時、どんな夫婦でも、このご夫妻のようにふるまえるとは限らないように思えた。
そして、彼らが神々しく見えたのだった。

それからもう1年近くたつが、秋葉原ペッパーランチでの、このご夫婦のことは、今でも忘れられないでいる。今でもお元気だといいのだが。
昨日、御徒町ペッパーランチで食べていて、またこの時のことを思い出したのだった。