naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

長崎出張⑤~「もう一つの本番」終了!

エラン・ヴィタール舞踊団の迫力あるフラメンコの後、いよいよ元劇団四季の歌手、Sさんと私の出番。

1週間前の浦安オケの本番に続く、私にとってはもう一つの本番だ。
このことは、オケの本番の時から意識にあった。「来週はピアノの本番なんだよなあ」
ヴィオラと違って、ピアノは日頃弾いていないだけに、こちらの方が気持ちの上では大きいというか、重かった。

前日の練習、この日の合わせ、妻にはメールで報告していた。
妻からメール。「それだけ弾いたら大丈夫」「あとは度胸だけ」「堂々とね」。

もしかすると、後のピアノのことが気になって、司会をしていても気もそぞろになるのではないか、と思ったりしていたが、それはなかった。
司会はいつも通り普通にやれたし、ガタガタバクバクという状態ではない。
それを自覚して、自分自身としてはある程度安心できた。

「これだけさらったんだから、それでだめなら仕方がない」という気持ちになっていた。

フラメンコの間に、一応用意したステージ衣装に着替える。

フラメンコのステージが撤収されたところで、会社の者に手伝ってもらって、クラヴィノーヴァをステージに上げる。

クラヴィノーヴァに座った状態での司会だ。
Sさんのプロフィールを紹介。
袖にいる、青いドレスのSさんを、司会である私が呼び込み、伴奏者である私が1曲目の前奏を弾き始める。

始まってしまった。
妻の言う通り、「堂々と」を心がける。

そして、1週間前のオケ本番の時に自分に言い聞かせたことも。
冷静に。
楽しんで。

  セ・シ・ボン
    MC
  ろくでなし
  モリー fromキャッツ
    MC
  愛の讃歌

  アンコール 見果てぬ夢 fromラマンチャの男

オープニングの、直前に差し替えになった「セ・シ・ボン」は、他の曲ほど練習していなかったが、幸い何とかなった。
これで落ち着き、あとは楽しく弾けた。

本番だけに、オケでもあることだが、弾き間違いはいくつもあった。
特に、客席の反応を見てしまったり、気が散るといけない。とたんに音をはずしてしまう。
集中、集中。
それでも、客席をやっぱりうかがってしまうんだな。

一番大きいミスは、アンコールの「見果てぬ夢」の最後、ヴォーカルののばしを待って次の音を弾くタイミングをとれなかった。
Sさんには申し訳ないことをしてしまった。
この曲は、今度弾くことになるまでなじみがなく、勉強不足だったのが響いた。
少し悔やまれる。

しかし、自分なりに存分にはできたかな、という感じだ。
しょせん、付け焼き刃での練習しかできない状況ではあったが、それなりにはめいっぱいさらったという気持ちはあったから、自分としては上出来だったと言える。

5曲のステージはあっという間だった。

曲が進むにつれて、気持ちもだんだん乗ってきたので、後半に入って、終わってしまうのが物足りないような気分にさえなった。

のだめカンタービレ」で、千秋真一がラフマニノフのコンチェルトを弾いた時に、曲の終わりが近づいたところでこういうセリフをつぶやく。コミックでは5巻。

  「いやだな。もうすぐ終わりだ」
  (「もっと・・・・・・教えてほしいことがあった」「もっと聴いて感じていたかった。この人の音楽を」)
     (指揮をしているシュトレーゼマンは、この演奏会を最後に離日する)

私もそんな気持ちだった。
許されるなら、もう何曲かSさんと一緒に演奏したい・・・。

もちろんそうもいかず、司会者としてSさんをステージに再度呼び戻し、カーテンコール。
ステージは終了した。

次のアトラクションへ移った。

あとは司会に専念だ。パーティーは大いに盛り上がって終了。

Sさんと並んだ写真を1枚撮らせてもらった。

パーティーお開き後、残っていた料理を少しつまみながら、パーティー中はほどほどに控えていたビールを、一人で飲んだのだった。

満足感。
飲みながら、それがどこからきたかと考えるに、やっぱり自分なりに一所懸命練習したからだろうと思った。
短い期間、短い時間だったが、指のリハビリのハノン、そして予定曲を何度も何度も繰り返しさらったこと。
結果、ミスもあったにしても、やるだけやったという気持ちがあったから、そうあがることなく、最後まで弾き通せたのだろう。

前日の練習の時からたびたび思ったことだが、日頃やっている浦安オケでのヴィオラについては、そういう部分が欠けている。

思いがけない業務命令に、最初はとんでもないことになってしまったと思っていたが、終わってみると、今回ピアノを弾いたことは、本当に得難い経験になったと感じる。いい思い出にもなった。
これを、今度はオケでの演奏に何か生かしていければと思う。