naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

7月場所11日目~全勝両力士共倒れ

山本山が、右脇腹負傷で休場。このままだと十両陥落は免れない。残念だ。

猛虎浪嘉風は、左四つ。四つが不得手な嘉風が、それでも頭をつけてねばったが、猛虎浪が左から肩すかし気味の出し投げ。この一番は、全体に猛虎浪のうまさが感じられた。

出島は頭でいい当たりを見せたが、豊ノ島がすぐにはたいて簡単に決めた。引き技が危ないと見えないのは、出島にもはや出る力が感じられないからだ。
出島はこれで2勝9敗。幕内維持に後がなくなった。10年前のこの7月場所で初優勝し、大関昇進を決めた出島だが、進退につながることになるだろうか。

豊真将玉乃島は、1回目の立ち合いを行司が止めた。豊真将が左手をついていないとの動作だったが、豊真将は右はちゃんとついており、この程度の立ち合いを止めるなら、止めるべき立ち合いの力士は他にいくらでもいる。
どうも、基準が統一されず、力士が気の毒だ。
相撲は、豊真将が頭で当たり、左右からおっつけておいてのもろ差し。青房下へ寄った。一方的な相撲だった。

翔天狼は、のどわを交えて突き起こそうとしたが、栃ノ心は、すぐに左上手をとって、右四つに組むや、左からの上手投げで勝ち越し。やはり力はついてきている。

時天空がけたぐりにいくところ、安美錦が一気に押した。押す際に、左からわたしこむうまさ。

高見盛が、いきなりまともに引いて、土佐豊に押された。あれだけまともに引いてはどうしようもないが、高見盛という人は、ものすごくうまいと感じさせる時と、あまりにもまずい相撲をとる時がある。不思議な力士だ。

ベテラン導師の必死の熱戦が、雅山栃乃洋をはたきこんだ。打たれるもののある相撲。

豊響が、今日はこの人らしい押しから武州山を寄り切った。星は上がっていないが、くさらずにあと4日がんばってほしいものだ。

栃煌山は、今日も勝てず。先場所の豊真将を思わせる流れになってきた。
岩木山が激しく突くところ、左を差して左四つ。左四つはやや勝手が悪く、相手に右上手を切られたのを機に、右をまきかえてもろ差しになったが、攻めに転ずるまでには至らなかった。常に前に攻めていた岩木山が、相手のまきかえに乗じて、右小手をつきつけて寄り倒した。

琴奨菊稀勢の里は、過去琴奨菊の14勝7敗。
琴奨菊は立ち合い失敗した。足がすべってのめったが、よく体勢を持ち直して左四つ、上手を先にとった。稀勢の里は、左下手はとったものの上手がとれず、この格好になれば、琴奨菊が断然有利。前に出て寄り倒した。
左四つの両力士だが、型の確立度合いの差が顕著に出た一番。稀勢の里は、こういう相撲をとっていては、いつまでたっても、苦手を克服することはできない。

鶴竜豪栄道は、低く当たり合ったが、鶴竜がはたきこんだ。今場所の豪栄道は、まったくがっかりする内容だが、来場所のこの対戦では、若手らしい熱戦を見せてほしいものだ。

琴欧洲千代大海は、琴欧洲がまずい相撲をとって、初黒星。頭で低く当たったまではよかったが、千代大海の突き起こしが強烈だったので、上体を起こされ、攻め返そうと出る時に、頭を下げすぎた。それにしても、千代大海のはたくタイミングというのは、やはりうまいと言わざるを得ない。

日馬富士が、やや危なかった。立ち合い、右のどわで突き放そうとしたが、把瑠都がどんどん前に出て押し込んだ。こういう把瑠都の攻めは珍しい。日馬富士は下がったが、何とか持ちこたえると、把瑠都が引きを見せてしまい、これに乗じた日馬富士が押して出た。

朝青龍は、時間いっぱいから、少し立ちにくそうにしていた。待ったはせずに立ち上がったが、今日も立ち合いが悪い。肩から当たったが、威力はないし、顔が横を向いている。左四つになり、互いに上手がとれない。魁皇は、朝青龍の左かいなを右で抱える。この形になっても、魁皇の気持ちのやさしさか、下位力士にやるように、情け容赦なくきめたり振ったりすることがないのが、これまでのこの対戦。しかし、今日は魁皇なりのおもいきりで、きめて振るというよりも、相手のかいなを抜き加減に振り、かっぱじくようにすると、朝青龍は大きく前にのめって、そのまま土俵を飛び出した。
千代大海魁皇という、失礼ながら、力が落ちてきているロートル大関に負け、しかもそれぞれのあまりの負け方からは、もはや朝青龍は、優勝云々の次元ではない。千秋楽まで出場できるのか、懸念される。

この時点で唯一の全勝となった白鵬は、ここで単独トップに抜けたいところだったが、今日は琴光喜の相撲がよかった。
右の相四つだから、悪くとも五分以上にはとれる、というのが横綱側からの見方だが、この一番に限っては、スピードの差。白鵬は、本来スピードに物を言わせて勝つタイプではない。どちらかと言えば、じっくり型だ。そして、琴光喜はスピードが持ち味だが、それがベストの形で出た。この点が、勝敗を分けた。
琴光喜は、立ち合い低く当たって、右をすくうように入れ、左上手も先にとって、横綱に上手を与えない有利な体勢を作った。今日の琴光喜がよかったのは、常に先手、先手と攻めたことで、すぐに左上手から投げて動きまわった。その後、もろ差しの体勢も作った。白鵬は再三相手の攻めをこらえ、土俵際でもよく残る場面を見せたが、最後、白房下で力尽きた。白鵬に充分な上手を徹底して与えない、琴光喜のかいなの返しが、実にすばらしかった。
白鵬に何か欠けるところがあったとは思わないが、今日の一番については、琴光喜の方が上回る点が多かった。

1敗 白鵬琴欧洲琴光喜
2敗 安美錦
琴欧洲琴光喜の直接対戦が本割りではないことから、13日目に予想される、白鵬琴欧洲戦が、最大のポイントになる。