naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

7月場所12日目~琴光喜、朝青龍にスピード負けで2敗に後退

出島が引退。やはり、幕内残留が厳しくなっての決断だろう。
10年前に初優勝し、大関昇進を決めた名古屋で引退を決めたのも、よかったのではないだろうか。

栃乃洋土佐豊は、栃乃洋が左を入れて、すぐにすくい、前へどんどん出たが、今場所の不調を反映して、なかなか勝負がつけられなかった。それでも最後は突き落としで決めた。

垣添玉鷲をはたいた。この一番、垣添が2回つっかけて不成立。3回目も呼吸の合った立ち合いとは言えなかったが、成立。
垣添という人は、先に両手を下ろして待つところまではいいのだが、相手の動作に合わせて立つということがなかなかできず、結局、自分のタイミングで立ってしまって、相手が受けられないケースが多い。
両手をつけば、いい立ち合いというものではない典型だ。立ち合いを厳しく見るのは、いいことではあるが、手つきの度合いよりは、呼吸を合わせて立っているかどうか、タイミングの方をより重視すべきだと思う。

背が低い同士、豊ノ島嘉風は、嘉風がいい突きで攻めたが、豊ノ島がはたいて勝った。勝つには勝ったが、豊ノ島は自分の相撲がとれなかった。

豊真将猛虎浪は、豊真将が立ち合い左を入れ、右上手をとって寄って出た。非常に流れのいい攻めで、これで勝ち越しか、と思ったが、青房下で、猛虎浪が左下手投げを見せると、豊真将もしぶとくもたれこんだが、落ちた。勝敗は微妙と思ったが、軍配は猛虎浪にあがり、物言いはつかず。少々気の毒な結果だった。リプレイを見ると、確かに豊真将の方がやや分が悪いが、物言いくらいはあってよかったと思う。
豊真将の敗因は、寄る時に左下手をとっていなかったことだ。

安美錦玉乃島は、過去玉乃島の10勝5敗と以外な成績。
安美錦が、立ち合い頭を下げて当たり、右で前まわしをとったが、玉乃島は構わずに左からおっつけ、右のどわで前に攻め、安美錦が赤房下で必死にこらえるところを、左から突き落とした。
玉乃島は、分のいい相手だけに、自信に満ちた相撲だった。安美錦は3敗。

栃ノ心が左上手をとって得意の右四つに組んだが、やや上手が深く、時天空は、左からおっつけて攻め、もろ差しとなった。
その後の攻防は、時天空が攻勢。途中、時天空のまわしがゆるんで、行司がまわし待った。
しかし、まわしを締める際に、両力士の組み手を解いてしまったことで、勝負再開するにあたって、元の体勢に戻すのに手間取った。
水入りの場合は、当然一旦両者が離れるが、まわし待ったで、組み手をほどいたのは、あまり記憶にない。確かに、時天空のまわしが相当伸びていたので、ほどかないと締められなかったのかもしれない。
しかし、栃ノ心が、途中で足の位置を動かしてしまったのは、さらに事情をややこしくした。こういうことはめったにないことではあるが、この一番を機に、師匠がちゃんと教えてほしい。
勝負再開後は、時天空が再度寄り立てて、寄り切った。
栃ノ心は、こういう事態がおそらく初めてだっただろうから、当惑の表情だったが、勝負再開の体勢が、まわし待ったになる前よりも不利になったとも感じたようで、不満ものぞかせていたらしく見えた。確かに、時天空のまわしの締め方がゆるいのが、すべての原因なので、相手力士が悪い、と思うのも理解できる。

阿覧の相撲は、あまりにも乱暴だった。豪栄道は、相手の取り口に、火をつけられたようて、本来四つ相撲のところ、荒っぽい突き相撲で応戦、最後は突き出した。豪栄道は、勝負がついたところで、土俵下に落ちた阿覧に、ガンつけていた。よほど頭に来たのだろう。

琴奨菊岩木山は、立ち合い岩木山がもろ差しになって前に出た。琴奨菊は、下がりながら左をまきかえると同時に相手がつかんだ上手を切った。これで体勢有利。あとは、得意のがぶり寄りで、東土俵で決めた。

栃煌山は、左を差して、右ものぞかせたが、鶴竜は、その右を左からおっつけて差させない。鶴竜の右上手がやや深く、これがどうかと思ったが、栃煌山が前に出ようとするところ、鶴竜が体を入れかえての上手投げで決めた。

稀勢の里旭天鵬は、旭天鵬が立ち合い右から張って左四つ。先に上手をとったのは、旭天鵬。それでも、稀勢の里は左下手をひきつけ、右からおっつけて前に寄って出たが、右上手に手がかかったところで、旭天鵬が上手投げを打つと、これが決まった。稀勢の里としては、もろい印象のある負け方だった。
稀勢の里としては、落とすべきでない相手に、まずい相撲をとって、もったいない星を落としたという感じがある。地力は別にして、四つ身の形は、旭天鵬の方が上だと感じさせる一番だった。

日馬富士千代大海は、立ち合いすぐに日馬富士がもろ差し。いっぺんに出ると、千代大海は、まったく抵抗せずに土俵を割った。
千代大海は、昨日とはまったく別人のような相撲。「無気力相撲」とさえ言えるような内容だった。監察委員会は、どう見たか。

琴欧洲雅山は、琴欧洲が落ち着いて相手をよく見て、突っ張ってからのはたき。下半身が安定しており、相撲は崩れていないようだ。

白鵬魁皇は、白鵬に負ける要素は考えにくい、と予想。しかし、内容は白鵬が思わぬ苦戦。
立ち合いから左四つになったが、互いに上手がとれない。魁皇が先に上手をとったが、さすがに白鵬はこれをすぐ切った。しかし、魁皇は左下手をがっちりとった。
白鵬は、なかなか上手がとれない。右をまきかえてもろ差しになったが、魁皇もすぐにまきかえてまた左四つ。この時に白鵬は上手をとることができたので、引きつけて寄ると、魁皇は下がっては残す腰がなかった。
白鵬は、魁皇の右からの攻めがよほど強かったか、左のひじをずいぶん痛そうにしていた。明日の琴欧洲との1敗対決に影響がなければいいが。
尚、NHK放送の山口アナは、実況の中で、白鵬を「慎重」と言った。山口アナに限らず、NHKのアナウンサーは、「慎重」という言葉をよく使うが、適切な使い方がされないケースが多い。
「慎重」というのは、横綱などの上位力士が、既に万全の形を作っていながら、なかなか勝負をつけにいかない場合に使うのが正しい。それを、単に、上位力士が、勝負をつけるのに時間がかかっているのを、「慎重」と言うケースが目立つ。まして、今日の白鵬のように、明らかに充分な体勢を作れていないのに「慎重」というのは間違いだ。

結び、朝青龍琴光喜は、昨日の両者の相撲ぶりからは、どうしても琴光喜有利と予想するしかなかったが、朝青龍が意地を見せた。
速さ勝ちだった。朝青龍の立ち合いは、今日も横を向いていて、あまりよくなかった。一方の琴光喜はいい当たり。琴光喜得意の右四つにはなったが、朝青龍は、先に上手をとり、その左上手からすぐに投げて、徹底して横にまわった。琴光喜も何とか体勢を立て直そうとしたが、両まわし充分の朝青龍が、前に出ると、残せなかった。
琴光喜は、終始後手にまわってしまい、昨日とは別人のような相撲だった。朝青龍は、これも昨日とは別人のような気迫だった。
意地だけで勝った、という相撲。

1敗 白鵬琴欧洲
2敗 琴光喜
明日、1敗の両力士が激突する。先場所の対戦では琴欧洲が勝っているし、今場所の琴欧洲がさらに状態がいいことからすると、勝敗は予断を許さない。白鵬の左ひじの状態も気になる。
勝った方が有利になることはもちろんだが、琴欧洲が単独トップに立った場合は、琴光喜との直接対戦がないだけに、白鵬が勝った場合に比べると、さらに有利と言えるだろう。