１月場所５日目～朝青龍が安易な相撲で土

栃乃洋が阿覧に敗れて１勝４敗。今場所の相撲を観ていると、やはりちょっと力が落ちたかな、という感が否めない。

栃煌山は、岩木山に押し込まれながらもろ差し。土俵際で残してまわりこんだが、その時の足が微妙で、逆転勝ちの軍配をもらいながら、物言い。
協議の結果は軍配通りで命拾いをしたが、そもそも、若手がベテランにあそこまで攻めこまれる相撲をとったのが悪い。

豊真将と朝赤龍は、互いに低く当たったが、豊真将が左をのぞかせ、右で相手のかいなをはねあげながら、出足よく西へ出た。
豊真将にしては珍しい、鋭い攻めだった。復調してきた朝赤龍も今日は何もできず。

玉鷲は、今日もいい突きで、豪風を押し出した。力強さが出てきた。

垣添は、いい当たりを見せたものの、安美錦は動じず、下からすくうように出て、垣添の引きを誘った。垣添は５連勝ならず、初黒星。

稀勢の里が、今日も安定した相撲ぶり。
今日は、突きの嘉風相手に立ち合いから突きにいったが、相手と距離を開けずに攻めていたのがよかった。攻めの中で左を差し、右上手もとって西へ寄った。上手の引きつけ、土俵際の腰の落とし方もよかった。
いつも稀勢の里の相撲に批判的な私だが、今場所の相撲については、感服する。

琴奨菊と北勝力は、琴奨菊が立ち合い左に動いていなし、右四つに組んで、正面にがぶった。ちょっと感心しない相撲。

魁皇と把瑠都は、魁皇が当たって攻めようとしたが、自分のペースで左四つに組むことができない。逆に、把瑠都が左を差して長いリーチで先に右上手をとって寄って出ると、魁皇は残せなかった。
まあ、今の力関係ではこういう相撲になってもおかしくない。

琴光喜がやっと初日。今日も立ち合いから上体が高く、基本的には豊ノ島ペースの相撲だった。豊ノ島は右を差してもろ差しをねらうが、今日の琴光喜はさすがに必死で、動き負けかかりながらも、何とかついていって左四つ、頭をつけて前に出た。豊ノ島は、どこかで二本入れたかったところだが、琴光喜の必死さがそれを許さなかった感じだ。

日馬富士と鶴竜は、鶴竜に地力がついたことを感じさせられる相撲だった。立ち合い、日馬富士が鋭く当たって左四つになったが、先に上手をとったのは鶴竜。しかも、上手をとるや否や、思いきりよく西へ寄ると、鶴竜の鋭い出足に日馬富士も後退して危なかった。最後は、大関が左からの下手投げで逆転したが、鶴竜が五分以上の内容。日馬富士は最後まで上手がとれず、苦しい相撲だった。

琴欧洲は、立ち合いすぐに右を差して下手をとったものの、左は上手でなくおっつけて出たのがまずく、栃ノ心が左から上手投げを打つと、琴欧洲も崩れかかった。しかし、動きの中で左を入れてもろ差しになり、右からの下手投げで決めた。
琴欧洲はばたばたした相撲だった。やはりこの人は、上手下手はどちらでもいいから(場合によっては外四つでも)、左右の前まわしをしっかりとって出る相撲を心がけないと、こうなってしまう。

朝青龍が豪栄道に不覚。朝青龍は、今日も立ち合いからすぐに左を差した。今場所安定した相撲が出ていると思い、豪栄道も横綱に差し負けてはだめだと観ていたが、朝青龍が赤房下へ出るところ、豪栄道がしぶとくまわりこむと、体をかわされた朝青龍は前に落ちてしまった。
豪栄道の土俵際には、こういうしぶとさがある。朝青龍は、左四つに組み勝ったまではよかったが、今日に関しては上手をとらないままで前に出たのが安易だった。自らが反省するしかない１敗だ。

白鵬は、雅山を右四つに組み止めての寄り切り。今の力関係なら、心配のない相手ではあるが、内容的にはちょっと首をかしげる。
今日も上手がすぐにとれなかったこと。組んで正対した格好からしきりと小手投げでゆさぶったこと。今の雅山が相手ならそういうことをしてもまあ心配はないが、もっと地力やうまさのある相手だったらつけこまれるところだ。その後、上手をさぐってとって、寄って出て決めたが、立ち合いすぐ足の構えが一瞬崩れかかったし、下半身の運びに万全でないところもみられた。
｢負けない相撲｣ではあるが、白鵬自身のいい時と比べて物足りないものが依然残る。

全勝　白鵬、稀勢の里