今日25日(金)の朝刊で、畑中良輔氏の訃報を見た。
先週発売された「レコード芸術」誌の最新6月号でも、いつも通りに声楽曲の新譜月評を執筆されていたので、驚いた。
畑中氏は、私が生まれる前、「レコ芸」創刊号から60年間にわたって執筆を続けてこられたと聞く。
また、批評の文章も、わかりやすく、かつ熱っぽいもので、いつも楽しみに読んでいたものだ。
90歳での大往生だが、前記の通り、最新号まで健筆をふるっておられただけに、まだまだ活躍してほしかったと、残念な気持ちだ。
折しも、先週は、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの訃報が伝えられた。
世紀の大歌手、フィッシャー=ディースカウも、1970年代あたりは、現在まで残る名盤を次から次へとリリースし、畑中氏の担当する声楽曲の月評の中核の一つでもあった。
そのフィッシャー=ディースカウを追うようにしての、畑中氏の訃報には、何か、因縁めいたものを感じる。
長年お世話になった畑中氏のご冥福を祈るとともに、氏が賞賛してやまなかった、フィッシャー=ディースカウの歌を、何か聴いてみたいと思う。