naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

畑中良輔氏突然の訃報

今日25日(金)の朝刊で、畑中良輔氏の訃報を見た。

先週発売された「レコード芸術」誌の最新6月号でも、いつも通りに声楽曲の新譜月評を執筆されていたので、驚いた。

声楽家としての畑中氏は存じ上げない。私の場合は、「レコ芸」での月評が接点だ。

畑中氏は、私が生まれる前、「レコ芸」創刊号から60年間にわたって執筆を続けてこられたと聞く。

私が「レコ芸」を熱心に読み始めた1970年代、レコード界は、カラヤンベームバーンスタインなど、今や懐かしい指揮者たちの全盛期だった。

その頃、カラヤンを賞賛する批評家はバーンスタインを評価せず、バーンスタインを賞賛する批評家はカラヤンを評価しない、という傾向がおしなべて存在した。

私の記憶しているところでは、
   カラヤン派     志鳥栄八郎、黒田恭一、高崎保男
   バーンスタイン派  大木正興、宇野功芳、福永陽一郎
という感じだったと思う。あくまでイメージだが。

そんな中、畑中氏は、不偏不党(笑)というか、カラヤンの新譜もバーンスタインの新譜も、等しく評価していたと記憶する。

また、批評の文章も、わかりやすく、かつ熱っぽいもので、いつも楽しみに読んでいたものだ。

90歳での大往生だが、前記の通り、最新号まで健筆をふるっておられただけに、まだまだ活躍してほしかったと、残念な気持ちだ。

折しも、先週は、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの訃報が伝えられた。

世紀の大歌手、フィッシャー=ディースカウも、1970年代あたりは、現在まで残る名盤を次から次へとリリースし、畑中氏の担当する声楽曲の月評の中核の一つでもあった。

そのフィッシャー=ディースカウを追うようにしての、畑中氏の訃報には、何か、因縁めいたものを感じる。

長年お世話になった畑中氏のご冥福を祈るとともに、氏が賞賛してやまなかった、フィッシャー=ディースカウの歌を、何か聴いてみたいと思う。