酒井順子著「ズルい言葉」(ハルキ文庫)。
日常の何気ない一言について、論評する面白い本だ。
今しがためくっていたら、「お砂糖、いくつ?」という言葉について書いたページが出てきた。
昔のドラマのDVDを観ていたら、喫茶店でコーヒーを飲むシーンが出てきて、女性が男性に「お砂糖、いくつ?」と聞く場面に、「おお」と思った、という内容だった。
思わず、膝をたたいた(いや、現実にはたたかなかったが)。
そうだねえ。
昔はそうだったよね。
聞かれて、男の方も、「2つ」とか答えて、そうすると女性が、角砂糖2つ、もしくはスプーン2杯の砂糖を男性のカップに入れて、なおかつかきまぜてくれるのだったよね。
告白しますが、私、大学生の頃、つきあってた女子に、これやってもらってました。私の場合は、「1つ半」でした(恥)。
うーん、思い出してみると、交際している男女のこの習慣、当時は世間一般に当たり前だった記憶がある。
だから、女子とつきあい始めて、ぎこちなく喫茶店に入ったりした時に、これを「やってあげる」、「やってもらう」っていうのが、「僕たち、つきあってるんだよね」「僕たち、恋人同士なんだよね」の確認的な(あー、書いてて恥ずかしい)行為だったような気がする。
ただ、そのたびに、今日は2つ、今日はもっと甘いのがいいから3つ、とか変わることはなくて、つきあい始めの頃に、一度問答があってわかれば、以後は聞かずに、当たり前にその数を入れるのが普通だったんじゃないだろうか。それも、我々カップルにとっての習慣が確立したみたいな嬉しさを伴っていた?
今の若い人って、どうなんだろうね。
こんなことしてるんだろうか。してないよね。
もしかしたら、この記事のタイトル、「お砂糖、いくつ?」自体、意味がわかんないかも。
ちなみに、この本で、酒井さんは、「今、そんなことをしてあげる女はどこにもいません」と断じておられる。