隆乃若=若兎馬は若兎馬押し込んで勝負ありとの判定だが、隆乃若が結構土俵際粘ったので、両者土俵を飛び出して足をつくのはほぼ同時と言ってもいいように思った。
物言いがあってもよかったのではないか。
栃乃花が旭鷲山のかきまわしをしのいで、幕の内では3年ぶりの勝ち越し。
怪我で幕下まで落ちたそうだが、これだけ正統的な相撲をとれるということは、よほど回復したのだろう。
遅まきながら今後が楽しみだ。
高見盛=露鵬は、相四つなので右四つの決着が予想されたが、勝敗を分けたのは、高見盛の左上手だった。
立ち合い一瞬手がかかった左上手を露鵬に切られ、露鵬の方は充分な体勢。
相四つで力の差もそう大きくはないとなると、こういう僅かなところが分かれ目となる。
安馬は琴奨菊に踏み込み勝って左四つに組んだまではよかったが、右でまきかえたところを琴奨菊に逆襲を許した。
安馬としては土俵際粘ろうとしたが、足が出てしまった。
惜しい星を落とした。
雅山は時天空相手に立ち合いの変化。体重差から言っても相手の相撲から言っても無用の変化ではなかったか。動きがばたばたしたところを逆にはたかれた。
せっかく好調だったのにつまらぬ黒星。
白鵬は旭天鵬相手にスムーズな相撲。調子が上がってきた。
途中で無双を切ったのは余計だったが、寄る形も、土俵際の腰の構えもよかった。
誰相手であってもこういう安定した形の相撲をめざしてほしい。
今日に関しては、往年の大鵬の相撲を思い出させるものがあった。
もう少しがちっとした力強さが加わるに越したことはないが、こういう柔らかく、大鵬流の「相手の力を吸収してしまう」相撲がとれれば、それも大きな個性になる。
いずれにせよ、いつまでも未完成ではいけない。
琴欧州は黒海に今日は必死の相撲だった。
黒海の突きを我慢しつつ、左の前まわしに手がかかったのは、その必死さのたまもの。
内容のある、また値打ちのある相撲だった。
魁皇は稀勢の里に貫禄勝ち。カド番を脱出した。
相四つだから当然左四つにはなる訳で、大関が二枚も三枚も上なのは当然。
稀勢の里としては、どういう相撲をとろうとしていたのだろう。
対横綱戦同様、稀勢の里が勝つ場面をイメージできない。
千代大海=琴光喜は、千代大海が2敗を守った。
とはいえ、千代大海の相撲は今一つ。いなしをまじえながらの突き方はここ数日のよさがなかった。
結局、それに一緒に動いて落ちた琴光喜が悪いというだけの相撲。
琴光喜の情けなさを嘆くしかない。
明日は横綱戦だが、100%勝ち目はないと断言できる。
玉乃島が朝青龍に大善戦。
玉乃島でもこんなに頑張ってとったのを見ると、こういう相撲が琴光喜に望めないものかと思う。
のどわと決めて相撲をとったのがよかったと思う。
朝青龍側としても、立ち合いに失敗。
肩から当たったのはいいにしても、顔が横を向いていた。
そこが苦戦の理由である。
しかし、必死に右を差し込んで盛り返したところに気力を見た。
この横綱のたぐいまれな筋力の強さが、負けから救った一番。
千代大海との2差は変わらず。
優勝争いは、追う力士から見ると風前の灯という感じがする。
白鵬以外の主な力士は直接対決を残しているのだが、横綱が落としても1敗までだろうという雰囲気がある。
ということは、今日81勝に乗せた年間勝利数は、最低でも84勝は堅いということになるが。