７月場所12日目

豪風が勝ち越し。後半戦、いい相撲が目立つ。栃乃花は自分の相撲がとれない。やはり故障か。

栃乃洋が十文字を破って３連敗スタートからの勝ち越し。左を少しのぞかせただけ、右上手はほしがらないいつもの得意の形だが、それで左からすくって勝てるのだから大したものだ。

豊真将は、春日王に立ち合いすんなり右四つ左上手の体勢。春日王に上手を許さない絶好の形になったが、むしろ自分の土俵に攻め込まれるような流れになり、攻められない。
勝ち越しがかかる相撲ということで意識があったのか。
組んだため、頭が上がる形になり、却っていつもの低い体勢になれなかったのが、勝負をつけきれなかった原因かもしれない。
そうこうする内に春日王の逆襲を許した。
春日王が力の強い力士だということを痛感させられた一番。豊真将としては、どこかで頭をつけて攻めたかった。熱戦ではあったが、豊真将にとっては大いに反省すべき相撲。

嘉風がいい突き押しで武雄山に勝った。いい相撲を見せている印象のある嘉風だが、まだ５勝７敗。

玉春日が安美錦に勝って２敗を守り、２ケタ。安美錦に食いつかれたが、さすがに元気なだけあって、しのいだ。

時天空は、低い当たりから今日も突き押しの前哨戦。普天王に終始まわしを与えず完勝。最後に足を払ったのも効いた。
普天王とすると、策がないままにいいようにとられてしまった形。

玉乃島も２敗を守って２ケタ。前哨戦は黒海の突きが非常によく、玉乃島としては防戦の形だったが、黒海の引きに乗じての逆襲。黒海は我慢が足りない相撲だった。

安馬は、突き刺さるようないい当たり、二本差して一気に出たが、さすがに高見盛はふところが深い。左上手一本で振られてしまった。

琴奨菊は今日はいい相撲。垣添を右からひっぱりこんで、左差しで一気に出た。

稀勢の里と白露山は、稀勢の里が左四つに組み止めて一応快勝。
しかし、寄り方は必ずしも安定した形ではない。まだこの人は四つ身の形ができていない。
白露山に思い切った突き落としでもあれば、崩れていたかもしれない。

把瑠都は雅山のはたきにあっけなく落ちた。好取組と思っていただけにがっかりした一番。
把瑠都はやはり今日もつかまえにいったようだが、それを離れてとりたい雅山にかわされた形。
離れた相撲への対応はまだまだのようだ。

白鵬は、栃東に立ち合い明らかに早いつっかけ。このところ連敗している相手という意識があるかと思ったが、立ってからは、先に右を差して左で上手をさぐっての右四つ。
あとは一気に出て決めた。
いい相撲だったが、栃東が膝の具合を悪化させているようなので、当然の結果かもしれない。

魁皇は、今日はいい相撲で勝ち越し。ほっとしただろう。
不調の旭天鵬相手ということもあるが、左四つに組んでから、右から攻めることができた。
明日は横綱戦だが、期待はできない。

千代大海は栃東以上に足の状態が深刻なようで、琴光喜に全く相撲にならなかった。
琴光喜は右を入れてから左も差して、一気に寄って勝ち越し。

琴欧州に期待した結びの一番は、朝青龍の完勝。
朝青龍は、今日は左手一本で勝ったという相撲。
琴欧州も低く当たったのだが、以後の対応、動き、スピード、すべてに横綱が勝った。
琴欧州としては、右を差して、左からはさみつけるように左上手をとって、横綱の傷めている右腕を締めるように攻めたらよかったと思うのだが、横綱がそれをさせないだけ上回った動きをしたということだ。

全勝　朝青龍
２敗　白鵬、玉乃島、玉春日

こうなると実質的には朝青龍と白鵬のマッチレース。
朝青龍が、魁皇、千代大海に星を落とすことはまず考えられない。先場所のように大関戦をはずして把瑠都戦を組むほうがまだ期待がもてるが。
白鵬も同様に千秋楽までは負けずにいくだろうから、星二つの差での千秋楽結びの一番となる可能性が高い。

優勝に関しては、朝青龍で決まりだろう。
あとは白鵬の昇進問題だが、仮に、朝青龍の全勝優勝を千秋楽に阻止して13勝２敗となった場合どうか。
星一つの差はあるが、優勝に準ずる成績ではある。
昇進させてもおかしくはない。
しかし、平成に入ってから連続優勝でなく横綱昇進した例がないことも事実。
もう一場所見ようという形になるのだろう。ただ、その場合は、９月場所で優勝したら、連続優勝でなくても昇進させるべきだ。
いずれにしても、下位に２つ負けた白鵬本人が悪いのは間違いない。その後すぐ休場してしまった朝赤龍との相撲が特に惜しまれる。こういうのが運命のアヤということなのだろう。