naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所12日目

安美錦が今日もうまさを見せて勝ち越し。白露山の突きを左からたぐって、中に入って寄った。
土俵際、投げの打ち合いは微妙だったが、白露山の体が飛ぶ方がやや早いと見た。しかし軍配は白露山
物言い、差し違えとなった。

8勝3敗同士、玉乃島若の里は、若の里が今日は雑な相撲。
立ち合い若の里は張り差しにいったが、前さばきの応酬から安易にはたいて呼び込んでしまった。玉乃島は二本差しての寄り。

高見盛鶴竜は、鶴竜が珍しく立ち合い右へ大きく飛んだ。
高見盛にまわしをとられることを嫌い、離れた相撲をねらったが、高見盛は右からすくって差し、左上手もつかんでまっすぐ走った。
今日の高見盛の相撲はスピードと力強さが光った。共に7勝5敗。

2敗の栃煌山と3敗の豊真将、楽しみな一番は、栃煌山が驚くべき相撲をとった。
立ち合いから互いに頭を下げての攻防、豊真将が先に左をねじこんで右からおっつけ気味の体勢。さすがに地力の差があると思ったのだが、栃煌山は例によって前へ前へとどんどん出た。
守りには定評のある豊真将なのだが、栃煌山の攻めに向正面に詰まり、最後は栃煌山の右からの突き落としに転がされた。
豊真将としては、本当に珍しい負け方だ。よほど栃煌山の前に出る力が強いのだろう。今日の相撲を見ていると、腰で寄っているというか、腰のある一点に全身の力が集中して、相手に効いているように感じる。
ともかく驚いた。新入幕、これで2ケタ。栃東の休場もあり、残り3日の間には大関戦も組まれる可能性があるが、12番くらい勝って、敢闘賞、技能賞くらい獲ってもらいたい。

6勝5敗同士、安馬豊ノ島も楽しみな対戦。
いい相撲だったが、内容は終始安馬
立ち合いから鋭く当たって突きと、いつもの厳しい攻め。すぐ右上手をとって食いつき、左前まわしもつかんだ。突きから組むまでの流れは安馬ペースで、豊ノ島は終始後手。
しかし、差し手からの攻めは強い豊ノ島、左差し手からすくった。かけ投げ気味に足をはねあげたこともあり、安馬は大きく傾いて、決まったかと思ったが、しぶとく残して打ち返しの投げで決めた。
正にゼニのとれる相撲だった。これで安馬は三役での勝ち越しが見えた。

稀勢の里琴奨菊、星は今一つながらライバル同士の対戦。
琴奨菊は本当にここにきて相撲がよくなった。
相四つだから当然左四つになったが、組み方は琴奨菊ペースの流れ。そして休まずがぶり寄り。
一方の稀勢の里は、どうもいけない。自分も得意の四つでありながら、左を差しても防戦にまわるだけで、攻める場面がまったくなかった。土俵際苦しまぎれに突き落としを見せたが無理だった。
前へ出る力がないように見える。今場所進境著しい栃煌山豊真将の相撲と比べると、その点が大いに見劣る。

千代大海栃東休場で不戦勝。
栃東は高血圧とのことだが、先場所はあれだけ周囲の反対をおして愚直に出場を続けた人が、今場所は何とか勝ち越しを決めたところでの休場、ちょっと釈然としない感じもないではない。
高血圧の病状は本人にしかわからないものはあるだろうが。

琴欧洲黒海は、琴欧洲がまた期待を裏切る相撲。
立ち合い琴欧洲も頭で当たったが、黒海のかちあげがややまさった。突き合いとなったが、琴欧洲は上体が立ったままで相撲をとっていたことで、長身があだになったように思う。黒海に腕をたぐられ、後ろにまわられてしまった。
自分の長身をいかに生かすか、まだそれが見えていないようだ。ただ突っ立っているような動きでは、相撲がうまい相手には距離をとられたり、細工をされる余地が出てくる。ともかく、動きにどうも安定感がない。
やはり、この人の場合は、前傾姿勢でいかに早く相手をつかまえるか、ということだと思うのだが。
大関昇進前の相撲には、魅力があったのに、このまま、ただの人になってしまうのだろうか。

注目の1敗白鵬に3敗の琴光喜は、白鵬が今日もいい相撲で完勝。
仕切りから、立ち合いまで、集中した、充実感のある表情をしていたが、やはり落ち着いていた。
立ち合い左前まわしに一瞬手がかかったが、琴光喜に切られた。しかし、今日はそこから突きに転じることなく、今度は左からすくって差し、右上手。
この形の方が、右四つの琴光喜には有利だ。考えていたのだろう。
左下手もしっかりとれば万全と思ったが、その左を返しながら、出足よくまっすぐ寄って決めた。

朝青龍魁皇は、今の状態ではまあ魁皇に勝ち目はないという対戦。
しかし、予想よりは予断を許さない展開になった。
立ち合いの攻防から左四つ。しかし、横綱は上手がとれない。魁皇も上手はとれなかったが、その形でも相撲はとれる。
しばらく、朝青龍の右と魁皇の左の攻め合いとなった。そこに横綱の気持ちが向いている間に、魁皇が思いきって右小手でふりまわしでもすれば面白いと思ったのだが、魁皇もやはり今の調子ではそういう動きができないのだろう。
逆に横綱は、右まきかえでもろ差しねらいにいき、魁皇がその攻めを防ぐことに精一杯になったところ、機をみてその右ですばやく上手をとり、後はいっぺんに走った。
相撲内容は、白鵬の方が僅かにまさると思うが、勝機をみいだすカンの鋭さ、そして身体に宿る力の強さを感じさせられる今日の横綱もやはり強かった。

1敗 白鵬
2敗 朝青龍栃煌山
3敗 黒海玉乃島

やはり星一つの差は大きい。
相撲内容も、横綱の方にやや雑さが見える点が気になる。
白鵬琴光喜戦を突破したことで、明日は両者星を落とさず、14日目の直接対決になる可能性が高くなった。
それにしても、今日の相撲を見ると、栃煌山の存在がますます不気味だ。
かつて新入幕で横綱大関を破って、三賞を独占した大錦を思い出す。
いずれにしても、独走の横綱に平幕力士だけが辛うじてついていったここ3場所の優勝争いのことを思い起こすにつけ、優勝争いはこうでなければと思う。