naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所10日目

朝青龍が休場。休場で止まるのか、あるいは、ということが注目されたが、報道によれば、次回出場する時は進退を賭ける前提での休場とのこと。
まだ気力は萎えていない、ということかもしれないが、今場所の相撲を観ていると、果たして、朝青龍がかつての相撲を取り戻せるのか、心配だ。
左ひじなど、体調不充分な部分を、きちんと治せるのか。
また、モチベーションの部分で、また何か新たな目標を持つことができるのか。
やはり、今の朝青龍を見ていると、後者も大きな問題だと思う。7連覇、年間6場所制覇、年間最多勝記録更新と、大きな記録を打ち立てて、念願のモンゴル巡業も実現させた今、今場所の不振を立て直して、土俵に戻ってこようというモチベーションがあるとすれば、それは何なのか。
連勝記録、というのは、今の状況では難しいだろう。後は優勝回数。並んでいる貴乃花の22回から一つ上積みし、北の湖の24回をうかがうことか。
身体を治し、改めて稽古で鍛え直さないと、その1回の優勝さえも、現状では厳しいのではないかと思う。
今、引退を決意せずに、休場で次を目指すというからには、よほどの覚悟で精進してもらわないと、難しいものがあるだろう。そして、それには、何かの目標が絶対に必要だと思う。それは何なのか。
11月場所は無理か。進退を賭けるのは1月場所ということになるかもしれない。

豪風は、突き放す相撲にならず、出島と組む格好になった。流れでもろ差しとなったが、これは却って勝手が悪く、頭をつけたものの攻め手がない。右を抜いて、左下手からうまい出し投げで崩して寄った。
豪風にこんな出し投げがあるとは驚いた。

北勝力千代白鵬は、北勝力がもろ手で起こしてすぐはたいたが、左手が千代白鵬の髷にかかった。軍配は北勝力。倒れた千代白鵬は、髷を手でさわって、反則のアピール。
審判が土俵に上がって協議となったが、結果は軍配通り。故意ではなく、流れによるものとの判断だろうが、疑問がある。故意に髷をつかみにいくという相撲は、現実にはそうないと思う。しかし、髷を手で引かれれば、痛くて落ちるのは当然だろう。となると、それが勝負を決したのであれば、故意か過失かを別にして、基本的には反則負けとすべきではないか。
プロ野球で、頭部への死球は、故意であるか否かを問わず、即退場となる。過失で危険な投球をすれば、即退場なのだ。
髷をつかむことが何故反則かと言えば、髷をひっぱられた状態から反撃することがほぼ不可能だからだ。

栃ノ心将司は、立ち合いからの見ごたえある攻防から、互いに右差し、栃ノ心は最初は上手が取れなかったが、その後上手をとって引きつけ、白房下に寄り切った。栃ノ心という人には、ちゃんとした型がある。

栃煌山はどうしてしまったのか。すっかり相撲が悪くなった。高見盛との今日の一番も、浅くもろ差しにはなったものの、高見盛が両上手まわしを引きつけて一気に前に出た。
高見盛が珍しくよく前に出たのがよかった。栃煌山としては、ちょっときゅうくつなもろ差しから、充分な体勢を作りたかったところだが、その前に攻められてしまった。

豊響安美錦をいい押しで向正面へ突き出した。離れての相撲にも進境を見せる安美錦は、立ち合い突き起こそうとしたが、さすがに大きい豊響相手には無理。さればと左からいなそうとしたが、豊響は相手をよく見ており、ついていった。

時天空栃乃洋は、左四つにわたりあい、時天空は両まわし充分。しかし、栃乃洋も左をのぞかせたので、時天空としてはこれがこわい。時天空は、その左を非常にうまく殺したが、どうするか、というのが見えない。相手の意識が左に集中していると見たのか、栃乃洋が、珍しく前に寄って出ると、時天空はやや虚を突かれた感じで下がり、残せなかった。

鶴竜旭天鵬は、旭天鵬がもろ差し。それでも懐の深い旭天鵬は、左上手を充分にとったので、ここから何かできるかと思ったが、鶴竜は、その前に右下手から投げで振りまわして崩し、寄り切った。
鶴竜の長所である、思い切りのよさが出た。

稀勢の里は、把瑠都ののどを突きにいったが、上背のある把瑠都はのけぞることなく、左四つ右上手、胸が合った。稀勢の里は上手を切ろうとしたがなかなか切れない。その後、何とか把瑠都の上手を切った稀勢の里が東に出たが、把瑠都が土俵際で左からの下手投げで逆転した。
稀勢の里としては、相手の上手を切ったのはよかったが、寄る際に下手をとらず、上手一本で寄ったのがまずかった。
熱戦ではあったが、稀勢の里としては、三役定着、そして大関を目指すならば、把瑠都のこうした相撲を封じて、上をいく強さを示してもらいたいものだ。

朝赤龍雅山は、雅山が2回つっかけた。しかし、貴乃花審判長は、何も言わない。貴乃花審判長は、武蔵川理事長から注意を受けたそうだが、今日10日目も、終始黙って座っていた。
3回目の立ち合い、朝赤龍が左に飛んではたいた。両力士とも、立ち合いの影響はあっただろう。

豊ノ島琴奨菊は、過去9勝3敗とあいくちのいい琴奨菊が、今日も流れのいい相撲。
立ち合いに低く頭で当たり、突きで先手をとって、豊ノ島にまわしをとらせない。すばやくとった右前まわしは、琴奨菊としては充分でない右四つになったが、豊ノ島がもろ差しねらいで左をまきかえにくるところ、出足よく向正面に寄った。常に先手先手で攻めたのがよかった。

千代大海琴光喜大関同士の対戦は、千代大海が頭から当たっていったが、当たり勝ったのは琴光喜。突き合いになったが、今日の琴光喜は四つにこだわらずに突きで押し込み、突き落として決めた。突いてのはたき。勢いのある、力強い相撲だった。

豪栄道が、朝青龍休場による不戦勝。1敗を守った。

大関同士、琴欧洲魁皇は、手をついて先に充分に仕切ったのは琴欧洲。その後、互いにじっくり相手を見ながら、待ったせずに立ち上がったが、勝負は一方的。先に上手をすばやくとった魁皇が、その上手から投げて西へあっさり寄り切った。
いかに自分に有利に立つか、という立ち合いの難しさを感じさせられた一番。

1敗同士、優勝の行方を大きく左右する白鵬安馬の結びの一番は、先手をとりたいという気持ちからか、横綱が2回つっかけた。これについても、貴乃花審判長は無言。
3回目、安馬が突き起こそうとしたが、白鵬安馬の左をひっぱりこんでつかまえた。左差し、互いに上手がとれず、白鵬はしきりと上手をさぐったが、とれないと見るや、すばやく右をまきかえた。左はその前から前まわしをとっていたようで、一瞬で白鵬右四つ左上手充分。後は正面に一気に寄り切った。
厳しい相撲だった。

1敗 白鵬豪栄道
2敗 安馬琴光喜

明日は、白鵬豪栄道の対戦が組まれた。白鵬の有利は動かないだろうと思う。安馬が今日の白鵬戦を制していれば、初優勝の可能性もある程度出てきただろうが、今日の結果からすると、これでやはり白鵬が一つ抜けた感じがする。