１月場所６日目～朝青龍今場所一番の相撲

豊真将が豊響をはたき落として辛勝。勝っても師匠には怒られる相撲だ。
豊真将という人は、立ち合いに左前まわしがとれるようになると、もっと安定感が出てくるのだろうが、今のところは、さぐりはしてもとれないことの方が多い。
地力はそれなりにある人だから、上位定着はそこがポイントになるだろう。

栃煌山は、その左前まわしが速かった。以後は、流れのいい攻めで、時天空にまきかえられるのも構わず、外四つで寄り切った。
この人らしい相撲。何故先場所はこういう相撲がまったくとれなかったのか。全勝キープ。

鶴竜も、この人らしいねばりの相撲で、武州山に押し込まれながら突き落とした。
鶴竜としては、序盤に突いて押し込んでいたのが効いた。
鶴竜は細身だが、筋力が強く、四つだけでなく突きにもいいものを持っている。
ＮＨＫ正面解説の北の富士さんが、将来大関もねらえると話していたが、同感。

今場所の北勝力が、非常にいい。
何がいいかというと立ち合いだ。以前は、自分に有利に立とうという身勝手な立ち合いだったが、今場所の北勝力は、両手をついて相手に合わせようという姿勢が見える。一体彼に何があったのだろうか。
そのことで、突きの威力が増している。普天王を一気に持っていった。

全敗の琴奨菊は、今日もまったくいいところなし。
立ち合いの踏み込みが全然なく、定位置で受けてしまい、安美錦に二本入れられた上、お株を奪われるがぶり寄りを許して、まっすぐ下がった。
ちょっと深刻だ。

昨日、やっと初日が出た日馬富士は、一つ勝ったことでもう大丈夫かと思ったが、豪栄道に完敗して早くも５敗目。
やはり立ち合いがよくない。当たってはいるが、上体がすぐ起きてしまう。豪栄道の方が体勢が低く、右差し、左前まわしもいいところをとって休まず寄ると、日馬富士はさしたる抵抗もできなかった。
勝ち越しには、残り７勝２敗が必要だが、今の状態ではちょっと難しいだろう。

千代大海がいい相撲をとっている。今のところ、前に出る力がある。まずまずの相撲の琴欧洲ともども１敗を守った。この大関二人がどこまで全勝力士を追っていけるか。

その全勝の把瑠都は、今日も底知れない力を見せた。
相手琴光喜充分の右四つになりながら、左上手をがっちりとると、引きつけて根こそぎ持っていった。
一方の琴光喜は、右四つにはなったものの、終始上手がとれないままだった。
把瑠都の相撲は、相変わらず荒削りでうまさを感じさせるものではないが、それなりに方針が絞れてきたというか、まとまってきた感じはある。
両まわしをとらせては、白鵬ですらどうか、という感じが、今のところはある。

しかし、大関５人の内、５勝１敗が２人いるのはまずまずだが、１勝５敗が２人もいるというのは・・・。

白鵬は、落ち着きがきわだった。豪風も、何とかかきまわしたかったところだが、あれだけ見られては何もできない。

曲がりなりにも序盤を無傷で乗り切った朝青龍だが、今日は、このところ２連敗中の豊ノ島が相手。真価を問われる一番だったが、あっと驚く、目のさめるような相撲だった。
当たりも踏み込みも朝青龍がまさった。中に入らせるとうるさい豊ノ島だけに、朝青龍としては、今日は離れて勝負をつけると決めていたようだ。
組めば、むしろ豊ノ島の方に充分勝機があるとも思っていたが、朝青龍の当たりに上体がそりかえってしまい、あとは何もできず。朝青龍が電車道で、いっぺんに東に押し出した。すばらしい出足だった。
朝青龍、会心の相撲。もちろん今場所一番の相撲だった。
豊ノ島は、立ち合いが悪かった。
朝青龍としては、一番前で、万全の相撲をとった白鵬への意地があったかもしれない。
もう２、３番観てみないとまだわからないが、だいぶ調子は上向いてきたように思える。

全勝　白鵬、朝青龍、把瑠都、栃煌山
全勝の４力士が今日は全員勝った。