naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

NHKの中継見送り・・・

かつて、春日野理事長の時代に、一切借金をすることなく、今の両国国技館を建設した際、「力士上がりの者だけでよく」と賞賛されたものだが、今は、「力士上がりの者だけの組織」であることが、閉鎖性、社会常識の欠落、内輪に甘い、等々、散々に言われている。
時代の変化の恐ろしさ、と言ってはいけない、んだろうな。

それはさておき、7月場所を前に、今日6日(火)、NHKが中継の見送りを発表した。

相撲ファンとしては、深刻な事態と言わざるを得ない。

こんなの生まれて初めてのことだから。

協会が場所の開催を決めた時も、やってもやらなくても批判は避けられない話だったと思うが、放映問題もまったく同じで、NHKとしては、放映したにせよしないにせよ、批判は免れない状況。
難しい決断だったと思う。

さっき、「報道ステーション」を観ていたら、NHKに寄せられた12,000人の声の内、68%が「放映すべきでない」という意見だったそうだ。

「放映するなら受信料を払わない」という意見がある一方で、「放映しないなら受信料を払わない」との意見も当然あったようで、NHKとしても、本当に進退きわまっただろう。

12,000人という数が、視聴者の声を測るに充分かどうか、という気持ちもあるが、それを別にして、「放映すべきでない」という人たちがそのように言う理由は何なんだろうか、と思う。

時津風部屋の事件、一連の大麻の問題、朝青龍の行状の問題等、かねてから相撲界の不祥事が続いてきたところへ、また一つ大きな問題が起きた。
「ダーティーな組織」がやっている相撲競技を、公共放送たるNHKが放映するのはけしからん、ということなのだろうか。
自分の受信料で、そういうものを放映するのは許せない、ということなのだろうか。

そうなんだろうな、とは思う。

まあ、私は40年来の相撲ファンなのだから、この問題について、中立的な立場で物を言うことは不可能だ。
だから、あんまりここで書いてはいけないんだろうけど・・・。

でもなあ。
ちょっと言うと、「場所を開催すること」と「NHKがそれを放映すること」の間には、そう大きな違いはないと思うんですよ。

関係者への処分内容については、色々と評価があるようだが、とにもかくにも、最も重い認定をされた者二人は解雇され、18人の力士は今度の場所に出場できない。
全休扱いとなる力士たちは、大きく番付を落とすことになる。

今度の場所に出場する力士たちは、基本的にはやましいところはなく、今度の本場所に向けて、真剣に稽古に励んできたはずだ。

要するに、場所開催自体の当否については、そうした、罪のない多くの力士のためには、との判断のもと、文部科学省も認めての開催となったのだと思う。
(もちろん、今もって、場所の開催は許せない、との意見はあるだろうが)

であれば、それを放映することについても認められないものだろうか。
何も、「犯罪者が相撲をとっているところ」を放映するわけではない。画面に映る力士たちは、処分されなかった、つまり現時点では潔白もしくは罪状が軽いとされた力士ばかりなのだから。

まあ、この議論の溝は埋まらないんだろうな。

結局ね、場所が開催される以上、そこに足を運んで入場料を払って相撲を観たい、というファンはいるわけで、その人をつかまえて、「あんなもの観に行くのはおよしなさい」とまで言う人はいないと思うんですよ。
好きで観に行くわけだから。

同じことがテレビ放映についても言えないかな、ってことなんだけど。

相撲ファンだって、受信料は払っているんだから、相撲が観たい。それだけだ。

その道を閉ざす話でしょう?

すみません、熱心な相撲ファンである私がこんなこと力説したって、聞いてはもらえないだろうけど。
それこそ、世間一般の常識とは、ずれてるのかな。

仮に、「ダーティーなものを放映するな」、というのが、その68%の意見の内容だとすれば、その人たちは、きっと、相撲でなく、他の何かで不祥事が起きたとしても同様に、それについても放映はやめろ、と言うんだろうな、と思う。
そういうスタンスの意見なのだろうと思う。つまり、「何であれ許せない」という、別の言い方をすれば、「相撲だからことさらに言っているわけではない」という角度からの意見なのだろう。

しかし、相撲が観たい人、放映してくれ、という人は、「相撲じゃなきゃだめ」なんだよね。

こういう状況だから、今場所は相撲は放映できないけど、代わりにその時間、野球を放映しますから、勘弁して下さい、っていうことにはならない。

この溝はやっぱり埋まらない議論だな。やむを得ないと思う。

私は、野球賭博問題については、前に書いたように、多額の金が動いたケースがある点と、暴力団とのつながりが指摘される点で、非常に重大なことだと思っている。

だから、処分されるべき者は厳正に処分してほしいと思う。
情状によっては、7月場所だけでなく、9月場所も出場できない力士が出るのもしかるべきことと思う。

ただ、そうした問題とは何の関わりも持たずに、真面目に相撲に取り組んでいる力士については、これまで通りの環境が維持されるべきだとも思っている。

7月場所直前の今、すべてが明らかになったとは思わないし、今発表されている処分で終わりにすべきとも思わない。
警察を始め、協会内外で、事実を洗いざらい調べ尽くしてもらいたいと考えている。

しかし、万事がクリアになるまではすべてを凍結すべきかどうかについては疑問がある。

相撲以外の色々な事件や問題でもそうではないだろうか。忌むべき現実と、守るべき現実が同居しているのは、今回の問題だけではない。
企業の不祥事であれ、個人の犯罪であれ、もっと複雑な判断を必要とするのが社会の現実だと思う。

相撲ファンの立場からは、長い目で見ていきたい、というしかない。

話を放映問題に戻すと、たぶん、NHKとしても、悩みに悩んだ末に今回の決断をしたのだろうし、一つの落としどころとして、生中継はしないが、ダイジェスト放送だけはする、と決めたのだろう。

(しかし、ダイジェスト放送を行うことさえも認めるべきではないという意見もあるようだ。そこまで言われるのか、というのが正直な気持ちだ)

相撲ファンとしても、まったく観られないわけではないのだから、今場所に関しては、残念だがダイジェストで我慢すべきなんだろうな。

でもねえ、ごめんなさい、まったく個人の感情で言えばね、毎日本放送を録画して、会社から帰って観ている者としては、20分程度と言われるダイジェスト放送では、「相撲を観る」楽しみの点では、もう全然違うんだよね。

さみしいねえ、7月場所・・・。

万人に理解されないだろうと思いつつ、すみません、吠えてしまいました。