小澤(征爾)さんが、水戸室内管弦楽団の公演をキャンセルしたとの報道があった。
昨年も、松本でのフェスティバルで、オペラ公演の指揮のキャンセルがあった。まだ駄目なのか、と思った。
今日23日(月)は栃木県足利市での公演が予定されていたが、これもキャンセルされている。
両陛下がおいでになる東京公演については、1曲だけでも、と無理をしたのだろう。
心配される。
昨年の松本も、今回も、キャンセルの理由が、「疲労」とされているのが心配だ。
今回の公演では、時々椅子に座ったり、水を補給しながらの指揮だったと漏れ聞く。
また、最近刊行された、村上春樹氏との対談本、「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(新潮社、非常に面白い内容だ)でも、時々休憩をとりながら、また水分や食べ物を補給しながらの対談だったと書かれている。
76歳。まだ指揮者としては老け込む歳ではないのだが・・・。
決して長いとは言えない、このプログラムの公演が振れないとなると、3月に予定されている、音楽塾のオペラ公演(蝶々夫人)などは、とても無理なのではないだろうか。
そして、秋のフェスティバル(今年は「火刑台上のジャンヌダルク」。オーケストラコンサートは予定していない)も。
この報道に関連して、小澤さんに対して非常に批判的な意見をネット上で見た。
晩節を汚さず、後進に道を譲ったらどうか、演奏会の度重なるキャンセルは詐欺みたいなものだ、という内容だった。
辛辣な言い方に抵抗を感じつつも、確かに一理ある、と思った。
理由がどうあれ、公演をキャンセルするというのは、演奏活動をビジネスとして見た場合、失格だ。
駆け出しの指揮者でも、小澤さんのような大家でも。
駆け出しの指揮者でも、小澤さんのような大家でも。
やはり、余裕をもって公演を完遂できるという確信がないのであれば、スケジュールを組むべきではない、とするのが正しいのだろう。
ファンとしての心情をベースにすると、違う意見もあるはずだが。
小澤さんに、そのような確信を持てる日が来るのかどうか。
食道癌、あるいは腰痛という、具体的な疾患を理由とするのでなく、「疲労」が理由のキャンセルとなると、結局は年齢との戦い、体力の衰えそのものの問題かもしれず、非常に憂慮されるところだ。
もう少し大きなところから見るなら、小澤征爾という、日本が生んだ世界的指揮者に、今、音楽ファンが望むことは、ステージでの演奏活動だけかどうか。
小澤さん自身が以前から力を入れてこられた、教育の活動に軸足を移し、今後の世代の日本の音楽のために尽力していただくのも一つの方向かもしれない。
教育にせよ、負担のある話で、不測のキャンセルがあれば、関係先に迷惑のかかる話ではあろうが。
当面の相当の期間、公演活動は見合わせて、療養を中心とした教育活動を続けていかれたらどうか、と思う。
※ネットで見かけたご意見等