このところ、日本語の言葉に関する本を買う機会が続いた。
その一言が余計です。 山田敏弘著 ちくま新書
ズルい言葉 酒井順子 ハルキ文庫
日本語に関して、極度にうるさい方だとは思っていない。少なくとも、他人が使っている言葉使いについては、寛容だと思っているが、こういう本を読むのは楽しい。
そんな折、今日17日(水)の会社帰り、東京駅京葉ストリートのブックエキスプレスで、また面白そうな本を見つけた。
本に、タイトルは大事だね。つくづくそう思いながら手にとり、買い求めた。
電車の中で、パラパラと飛ばし読みする中、そうそう! と我が意を得たり、と膝をたたく思いの記述を見つけた。
「政治家の「を」」。
これはね、ほんと、気になってた。この本と出会わなくても、私は、遠からず、ここで記事に書こうと思っていたのだ。
内館さんも気になってたんだ。嬉しいなあ。
内館さんいわく、「政治家の圧倒的多くが、独特な「を」の使い方をする。こうも乱用するのは、政治家だけと言っていいほどだ」。
そうです、そうです。まさしくその通り。
以下、実例を挙げておられる。
同様に、「設置をする」「把握をする」「確立をする」・・・。
「この法案を成立をさせなければならない」。
「この法案を成立をさせなければならない」。
そうなんだよね。ほんとに、政治家はこういう言い方をする。
普通なら「緊迫しております」というところに、「を」をはさむのだ。
私の場合、政治家のこういう言い方が気になった最初は、細川護煕首相だ。
何故か夜中に行われた、消費税廃止、国民福祉税創設構想の記者会見。
あの時、細川首相は、「消費税を廃止を致しまして、国民福祉税を創設を致します」と言った。
変な言い方だなあ、と思ったのだった。
(ついでに言うと、その会見で、国民福祉税の税率が7%であることの根拠を質問されて答えた、「腰だめの数字でございますが」というのも印象に残っている。「腰だめ」という言葉を、その時初めて聞いたような気がしたので)
以後、20年くらいが経つだろうか。
この間、多くの政治家が、人前で何かのコメントをする時には、決まって、この「を」をはさむ言い方をするのを聞いてきた。
たぶん、しゃべるのが商売の政治家として、間に「を」をはさむことが、本人にとっては、しゃべりのリズムがとりやすいんだろうね。
私はそう思いながらいつも聞いている。
内館さんは、大笑いした例として、ある政治家の「ご心配をおかけを致しました」というコメントを引用。
さらに、抱腹絶倒した例として引用されているのが、昨年秋の、突然の衆議院解散表明に、時の与党幹部が言った「びっくりを致しておるところでございます」。
確かに笑える~。