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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

桑田歩先生の訃報

今しがた、浦安オケのT団長から団内のメーリングリストにメールが流れた。

 

「 訃報・悲しいご連絡です。」とのタイトル。

 

次回、5月の定期演奏会で指揮をお願いしていた桑田歩先生が、昨日亡くなられた、との内容だった。

 

まさか、と胸が重くなった。

 

桑田先生とのご縁は、確かもう20年以上になる。弦トレーナーとして、主に低弦分奏、時に弦全体の分奏をご指導いただいてきた。長くNHK交響楽団の首席を務められたが、その後、新日本フィルに移られて同じく首席を務めておられた。

 

浦安オケでのコンチェルトのソリストとしては、2008年11月の定期演奏会ドヴォルザークを、そして昨年、2022年6月の定期演奏会ブラームスのドッペル・コンチェルトを弾いていただいた。

さらに、指揮者としてもこれまで2回本番を振っていただいた。2015年11月、ハイドンの「軍隊」、サン=サーンスの3番他、2017年6月、ブルッフのヴァイオリン・コンチェルト1番、シベリウスの2番他。

そして今回、5月には、イタリアオペラのアリア集と、カリンニコフの1番他を指揮していただく予定になっていたのだが、それを前にしての訃報である。

 

今年1月4日(水)、めぐろパーシモンホールで、「再臨 桑田歩の「英雄」」という演奏会が行われた。各プロオケの奏者が集まった「歩夢“DREAM”ORCHESTRA」(コンサートマスター篠崎史紀氏)を桑田先生が指揮される演奏会だった。

聴きに行ったのだが、下手から舞台に登場した桑田先生の足取りがおぼつかないのに驚いた。椅子に座っての指揮。カーテンコールでは袖との出入りで、篠崎さんが支える場面もあった。

どうしたんだろう、本番前になってギックリ腰でもやったのかな。5月の浦安の本番は大丈夫かな、と冗談半分の感覚で見ていたのだが、3ヶ月後に最悪の知らせを受けようとは。

(この演奏会については、雑誌「サラサーテ」4月号にリハーサルの模様も含めて掲載されている)

 

桑田先生はTwitterでの情報発信をされていて、以前からフォローしている。   

twitter.com

 

そこを見ると、昨年9月から入退院を繰り返していて、1月のめぐろパーシモンホールの演奏会の後も入院されていたとある。

その一方、2月、3月には、東京音楽大学でオーケストラスタディーをされたり、いくつもの室内楽演奏会に出演されたりと、演奏活動も続けてこられていた。

さらに、27日(木)には、新日本フィルを指揮してのブルックナーの8番の演奏会が発表された。プロオケを振られるのなら、快方に向かわれているんだ、これなら浦安の本番も大丈夫だろう、と受け取った。

さっそくチケットを買い求めた。

 

この演奏会も幻になってしまったんだなあ・・・。

桑田先生のTwitterを見ると、この演奏会について、3月26日(日)にこうツイートされている。

   祈る
   『これにて我が人生、一件落着と給え!』
   『渾身の力を授かりとう』

1ヶ月後の本番への思い。無念さはいかばかりだったことか。

↓ 新日本フィルハーモニー交響楽団のサイトに、この演奏会に向けた桑田先生のインタビューが載っている。3月20日の日付である。

「音楽人生の全てがここに。全身全霊で演奏を」桑田歩のタクトで贈るブルックナー:交響曲第8番(楽員ストーリーズ WEB別館) - 新日本フィルメディア (njp.or.jp)

 

浦安の本番も、あと1ヶ月半後に迫っている。私は今回降り番なので、練習の様子など団内の現状はわからないが、本番前に指揮者を喪うのはもちろん初めてのこと。

本番を予定通り行うのかどうか。行うとしても色々大変だろうと思う。

思えば、このイタリアオペラを中心とした桑田先生指揮の定期演奏会は、本来、2020年6月に行われる予定だった。それが、折からの新型コロナウイルス感染拡大で2021年11月に延期となり、それもまたコロナの状況から、今回の5月に再延期となっていたものである。

三度目の正直、が成らなかったことは、桑田先生にとっても浦安オケにとっても痛恨事と言う他はない。

 

桑田先生、長年にわたるご指導、本当にありがとうございました。

安らかにお休み下さい。

ご冥福をお祈りします。

 

※関連記事

   桑田先生について新日本フィルハーモニー交響楽団からの発表
      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2023/04/06/223016

 

※「再臨 桑田歩の「英雄」」は映像が残っているので、貼っておく。メイキングと本番。

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