naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所千秋楽

7勝7敗の高見盛は、豪風にいっぺんに出られて完敗。
またまた今場所も7勝8敗。一方の豪風は2ケタ。りっぱなものだ。

栃乃花は、垣添に敗れて、7勝4敗から4連敗の負け越し。惜しかった。

7勝7敗の土佐ノ海は、旭鷲山のはたきに落ちて負け越し。残念。

これも7勝7敗の豊真将も、琴奨菊に敗れて負け越し。
立ち合い、当たってはいったが、押し込まれた。調子を上げてきた琴奨菊にとっても充分な左四つでは致し方ないところか。琴奨菊は2ケタ。
ここまでで、5番連続で7勝7敗力士が登場し、すべて敗れて負け越し。
かつて、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士の勝率の高さが議論を呼んだことがあったのを思い出す。

10勝4敗同士の安馬北勝力は、安馬が有終の美。
今日の安馬は、珍しく頭からの当たりがなく、北勝力の突きに上体が起きる場面もあったが、北勝力がはたいたのに乗じた。
優勝争いにからんでの東6枚目での11勝は、普通なら充分三役昇進可能な成績だが、今場所は関脇小結が全員勝ち越しているので、ちょっと難しそうだ。

岩木山春日王に勝って2ケタ。この人は、今場所四つ相撲にも進境を見せ、強くなったと思う。

7勝7敗の栃乃洋は、出島に右を差された。過去8勝20敗と苦手にしているだけに、ふだんとは別人のような動きのない相撲。結局負け越し。これで、7勝7敗力士は全員負け越しという結果となった。

黒海は、今日は安美錦に当たってはいったものの突きが出ず、以前のこの人の悪癖だったはたきを出したのが悪く、逆にはたかれて落ちた。
安美錦はこれで11勝。西3枚目でのこの星は立派という他はない。今や小兵とは言えない身体になったし、今場所については立ち合いの当たりが強くなったことで、元来の相撲の巧さを生かせるようになった。
西3枚目の11番は、いかに何でも三役に上げない訳にはいかないのではないか。

関脇同士の雅山琴光喜は、8勝6敗同士のさみしい対戦でもある。
雅山が突いてからのはたきで9勝目。
やはり雅山は、星数だけでなく内容的にも今場所は落ちる。10勝、9勝ときて11月場所、13番か14番で優勝にからめば、大関の声は出る計算だ。
しかし、今年に入ってからの推移を見ると、やはり5月場所がピークで、先場所今場所は下がり傾向、いっぱいいっぱいの状況にある。
NHKの放送で、吉田アナがしきりと「夢をつないだ」というが、再度の大関昇進がなるかというと、厳しいと思う。百歩譲って再度の昇進があったにせよ、大関らしい成績を続けていけるかどうかは疑問だ。
力のある人であることは認める。重い突きといういい武器も持っている。根本的な地力のレベルの問題だ。
一方の琴光喜の、またまたの8勝7敗には、今場所も言うべき言葉がない。前に落ちるもろさが特に今場所は目立った。
8勝7敗を5年続けても、大関昇進はおろか、名力士名三役の評価も残せない。

栃東露鵬の一番は、立ち合い露鵬がつっかけたが、これが既に作戦かと思われた。次は露鵬は立ち合い変わってはたくのではないかと思った。
変わりはしなかったが、再度の立ち合いで、露鵬は当たってすぐ左前まわしをとっての投げ。栃東が珍しくあっさり敗れた。
栃東としては、露鵬が左上手をとりにくることは当然わかっている筈なのに、それをあっさり許したのがうかつだった。
露鵬も西筆頭で2ケタ。これも安美錦とともに三役に上げていいと思う。

琴欧州は、千代大海が突いてくるところを左上手をとってつかまえ、左四つには変わったが、問題なく2ケタ。
千代大海は、昨日の横綱戦で力を出し尽くしたか、別人のように淡泊な相撲。
琴欧州は、不戦勝が含まれているとはいえ、終盤5連勝で、よく2ケタに乗せた。

結び朝青龍白鵬は、白鵬としても意地を見せたい相撲。
この対戦自体については、既に五分の関係にあるが、今場所については、まったくまわしがとれていないだけに、ここ数場所のように自分充分の右四つになれる可能性は低いと見ていた。
しかし、立ち上がって、白鵬としては最後の最後で、今場所初めて、すぐ左上手を充分にとれた。
いい格好を作り、右下手もとったが、以後は今場所の調子の差が出た。
白鵬としては、右下手を返してもっと充分な体勢を作りたかったが、それができなかった。
頭もつけたかったが、それもできなかった。
横綱がそれをさせなかったというのが正確なところだろう。
白鵬が本調子であれば、立ち合いからのこの展開なら、もっと圧倒的に有利な体勢を作れた筈だが、やはりそこまでできる調子にはなく、一方の横綱は、相手充分の右四つであっても、五分以上に戦える調子のよさがあったということだ。
ただ、青房下に寄り詰めて、白鵬がうっちゃり気味のつきおとしを見せた最後の勝負はきわめて微妙。
私自身は、白鵬の逆転勝ちと見た。しかし軍配は朝青龍で、物言いもつかなかった。
物言いがつかなかったのはきわめて疑問だ。天皇ご一家観戦の初日と同じで、安倍官房長官がきていることが影響したのか。
吉田アナは、しきりと「体が割れていない」と言っていたが、それはうっちゃりの場合であって、この一番はつきおとしの相撲だ。白鵬の体が土俵を割ったか死に体か、朝青龍が早く落ちたかの問題だ。
その観点からは、少なくとも同体、正面からの映像で見る限りでは、白鵬の逆転とも見られる相撲だったと思う。
何より、土俵下に落ちた朝青龍の表情が、勝ったという顔ではなかった。むしろしまったという顔だった。本人は負けたかもしれないと思ったのではないか。

三賞
  殊勲 稀勢の里 普天王の休場で、三役を維持できた上に三賞。これ以上ないラッキー。
  敢闘 安馬
  技能 安美錦
今場所の成績からすると、安馬には三役陣が食い込めなかった優勝争いに最後までからんだ意味で殊勲賞をとらせてもよかったのではないか。上位を食っていないことで殊勲賞が難しければ技能賞でもいい。
それから、同じく優勝争いに顔を出した露鵬が、筆頭の位置で2ケタ勝ちながら何もなかったのは気の毒。「10勝すれば」の条件で候補に挙がることはよくあるので、そういう扱いができなかったか。やはり先場所の事件が響いたかもしれないが。

表彰式。前も書いたかもしれないが、朝青龍は、これまでの外国人優勝力士と違って、「君が代」を口ずさんでいる。心構えとして立派だと思う。
前から思っていることだが、外国人力士が優勝した場合は、君が代の後に、出身国の国家の演奏をしたらどうかと思う。

優勝争いという点では、先場所以上につまらぬ場所だったと思う。
朝青龍が、昨年の年間完全制覇を境に、さすがに成長が頭打ちになっている(稽古量も落ちていると聞く)中、対抗馬の台頭が望まれるし、昨年後半は琴欧州、今年に入ってからは白鵬にその期待が持たれたが、まだまだそういう構図が確立されない。
先場所は、白鵬横綱の独走を許したという理由で横綱昇進を見送られたが、今場所はもっと悪く、大関も関脇小結も、誰一人ついていけずに独走を許した。

来場所以降は、後半にめざましく復調を見せた栃東、同じく琴欧州にとりあえずは期待したい。
そして何といっても、白鵬だ。今場所の不調の原因、今日の放送では初日に右膝を傷めたとも言っていたが、ともかくその不調の原因が、長くかかるようだと心配だ。何とか11月場所には、先場所までのような万全の体調で臨んでもらえないものか。
今場所の8勝7敗は、誰も予想し得なかった星だが、来場所以後連続優勝しさえすれば、横綱は当然可能だ。曙は3場所前は9勝、武蔵丸も3場所前は8勝で、しかし連続優勝で昇進を決めている。

それ以外の来場所の期待は、稀勢の里黒海露鵬安馬岩木山琴奨菊豊真将といったところだ。

番付予想。
      東   西
  横綱 朝青龍
  大関 千代大海 琴欧州
  大関 栃東   白鵬
  大関      魁皇
  関脇 雅山   琴光喜
  小結 稀勢の里 黒海
  小結 露鵬   安美錦

皆勤した大関、関脇、小結が全員勝ち越すというのも稀な事態で、露鵬安美錦安馬岩木山がワリを食う形になっているが、それでも、露鵬安美錦は昇進させるべきだと思う。

  幕内昇進 安壮富士鶴竜潮丸豊桜北桜皇司隆乃若
  十両昇進 玉飛鳥、澤井

栃煌山、澤井の十両での幕内昇進争い、幕下では、若ノ鵬、下田の十両昇進争いに期待。