３月場所５日目

久しぶりに朝青龍の土俵入りを見たが、露払いの高見盛の姿勢が気になった。
両ひじを張った格好だし、蹲踞も水平でなく傾いている。前からこうだっただろうか。

若の里は、土佐ノ海を左上手投げ。今日は三役にいた頃の相撲を思い出させるいい相撲だった。

栃煌山と時津海は、右四つに渡り合った。栃煌山は上手がっちり、時津海は上手がとれない半身の体勢だったが、以後の展開は意外。栃煌山は右下手をとれなかったためか出られず、一方の時津海が右下手をひきつけて出ると、栃煌山が上手投げで呼び込むかっこうになってしまった。
ベテランらしいうまさが出た。

平幕ただ一人全勝の鶴竜に土。立ち合い果敢に突きにいったが、玉乃島も突きで応戦。
こうなると体力の差が出る。鶴竜としては、攻め方にもう一工夫ほしかったところだ。
共に４勝１敗。

豊真将と黒海は、黒海が低く頭から当たって突いて出たが、豊真将もさすがにこれをよくしのぎ、左を差して前によく出た。

豪風と稀勢の里は、過去豪風の３勝１敗と意外な対戦成績。
ふわっとした立ち合いになり、稀勢の里が受け気味の形になったので、どうかと思ったが、離れた相撲にならず、すぐ左を差せたので、その左下手一本で前に出て決めた。土俵際での腰の落とし方は模範的。

琴光喜は、当たってすぐ右が入り、左も差しながら出て時天空を圧倒。
今場所の琴光喜はなかなかいい。ただこの人の場合は、前半よくても後半大崩れするので、まだ信用できない。

魁皇が今日は力強い相撲。豊ノ島が二本のぞかせたが、これをきめながら出ての押し倒し。
豊ノ島は２日連続で同じような負け方となった。
魁皇としては今日は前に出られたのがよかった。右で小手にまいてきめていくのは得意のパターンで、こうしたツボにはまればまだまだ力は出る感じだ。

琴欧洲と普天王は、普天王がもろ差しねらいでもみあう中で、琴欧洲が上から左上手をつかんだ。この上手のひきつけが強く、外四つから正面に寄り倒した。
琴欧洲は、こういう大きい相撲をとった方がいい。

白鵬は、朝赤龍と突き合いになったが、今日も余裕はあった。相手をよく見ながら応戦し、機を見て左で前まわしをつかんだ。あとは引きつけての寄り。
初日に星を落としたものの、今場所の白鵬の相撲は、まずまずではないかと思う。

千代大海と琴奨菊は、過去大関の５戦５勝。
今日も、千代大海の細かい突きが効いて、土俵際に追いつめた。何とか琴奨菊が残そうとするところをはたきこみ。千代大海としては、型どおりの相撲。

栃東がただ一人全勝を守った。難敵雅山相手だったが、立ち合い一つ当たってから体を開いてあっけなく転がした。
変化気味の相撲ではあるが、相手をよく見ており、一瞬相手との間に距離ができたのを逃さず、うまく体を開いた。感心しない変化ではなく、むしろうまさを感じた。

朝青龍は調子を上げてきた。小さい安馬相手だけに、余裕はあったかもしれない。
安馬は立ち合い右にまわって先に上手をとったが、今日も、そこから食い下がる形には至らない。
横綱はうまく相手の上手を切って、あとは一気に出た。
動きが相当よくなってきている。最初から有利な体勢に持ち込めなくても、それを打開するだけの動きが出てきた。

ということで、今日は横綱大関６人、今場所初めての安泰。