９月場所７日目

垣添は、立ち合い左に動いて上手をとり、上手投げでかきまわす。
北桜は残して応戦したが体勢を立て直せず、垣添が正面に押し出した。

豪栄道と龍皇は、立ち合い豪栄道は、左前まわしに手がかかったがとれず、ちょっとはたいた。龍皇はそれにつけいって前に出たが、攻めきるまでにはいかなかった。
豪栄道は、黒房下で残したところで右下手をとり、その後もろ差しから寄り切って、６勝１敗。

旭天鵬は好調だ。春日錦との一番、立ち合いからすぐ左上手をとって右四ついい形に組み、向正面に寄った。
四つ身の形が実にいい。身体に力がみなぎって充実しているという感じだ。
来場所、上位に戻れる成績を残してもらいたい。

玉春日と嘉風は、嘉風が低く当たって突いて出たが、玉春日はあてがいながらこれに応戦。
玉春日が右からあてがって相手の脇の下を突いたのが効いて、赤房下へ押し出し。腕がよく伸びた。

１敗の春日王と白露山の一番は一方的。
立ち合いかちあげるようにしての突き押しに、白露山は何もできずに下がった。白露山はよほど状態がよくないようだ。

黒海は、今日は立ち合い右に変化。
岩木山はこの変化を想定していたようで食わず、左四つに組んで正面に寄り切った。

栃煌山が今日はいい攻め。
立ち合い低く当たって、高見盛に前さばき勝ち。もろ差しになると、向正面白房下へ寄った。土俵際、腰の落とし方も万全。

露鵬と普天王の一番は、立ち合い普天王が左を差そうとしたが、露鵬は右からおっつけて許さず、頭四つ。
(藤井アナはこれを｢ずよつ｣と言った。以前も書いたが、これは｢あたまよつ｣が正しいのではないか？)
辛抱合戦となったが、普天王がちょっと根負けして引きを見せたところを、露鵬が攻め込んで、はたいた。
最後は、露鵬の手が普天王のマゲに入った感じもあったが、問題なし。反則にはならず。

１敗の豪風は、今日は過去２勝７敗と分の悪い玉乃島戦。
そのためか、豪風は立ちづらそうにしていたが、一度嫌った。
二度目の立ち合い、豪風は当たってちょっと突いてから引いてしまった。玉乃島はついて出て、正面に押し出した。
豪風としてはまずい相撲。

豊ノ島と豊響は、楽しみな一番。
ＮＨＫ正面解説の玉ノ井親方によると、豊響は入門当時は四つ相撲で、それを押し相撲に変えて今日に至るのだそうだ。今はまわしを決してほしがらず、突き押しに徹しているが、そういう経緯があるとは思わなかった。
さて今日の一番、豊響は立ち合い当たり勝ち、左おっつけで豊ノ島を押し込み、体を開いて右からの突き落としで決めた。
大したものだ。

若の里と時津海は、相四つだけにすぐに右四つ。
若の里は、最初は時津海に上手を与えずいい形を作ったが、しかし攻められない。
しばらくして時津海も上手をとって、がっぷりの体勢。
最後は、投げの打ち合いから、時津海の差し手が抜け、若の里が突き落として決めた。
しかし、実力者同士の対戦が、双方決め手を欠いてこんなに長引くのはさみしい。

雅山と豊馬将は、豊馬将が今日はこの人らしい動き。
雅山が立ち合いから突いたが、豊馬将は頭を下げて下からあてがって応戦。一旦押し込んでおいてのはたきで決めた。
今日の豊馬将の相撲はよかった。

小結同士、稀勢の里と安馬は、稀勢の里が今日はいい相撲。
安馬が立ち合い左から張って、右下手をとって出たが、稀勢の里は左から強烈におっつけた。
安馬も右下手は最後まで放さなかったが、稀勢の里のおっつけに横を向かされてしまった。
稀勢の里は、四つにこだわらず、押しに徹したのがよかったと思う。昨日とは別人のような相撲だった。
安馬が右膝を痛そうにしていたが、大丈夫か。

朝赤龍が、栃乃洋に実にうまい相撲。
低く当たって、左差し右おっつけから前まわし。頭をつけて食い下がる。充分な形だ。
そして右から出し投げで後ろについた。
朝赤龍としては、これ以上はない、思い通りの相撲。

さて全勝の安美錦は時天空戦。
安美錦が一度つっかけ、二度目の立ち合い。安美錦は頭で当たると、すぐ体を開いて左からの突き落とし。
今日は、以前の安美錦の相撲だ。そういえば、この人はこういう相撲もあったっけ、という感じ。
依然全勝。

昨日、優勝争いの一角に推した琴欧洲が、出島に敗れて２敗。
やはりこの人には期待を裏切られる。
立ち合いからは、今日もいい流れ。立ち合い右から張ってすぐ右差し、左上手もとってつかまえ、これでもう勝負あったと思ったが、ここから前に出ず、上手投げで決めようとしたのが悪かった。
出島が右かいなをつきつけ、投げの打ち合いになると、琴欧洲は右手を先についてしまった。
琴欧洲としては、まっすぐ前に出て決めるべきところ、安易に投げを打って墓穴を掘った。
投げの打ち合いになったら顔から落ちろというが、そういう厳しさもなく、あっさり手をついてしまった。未熟。

千代大海と鶴竜は、初顔の対戦。しぶとい鶴竜だけに、期待をもって見たが、結果は一方的。
千代大海は、今日はいい突きが出て西へまっすぐ攻め込んだ。
鶴竜としても、どこかでかわして食いつく場面が作れるかと期待したが、大関の突きが厳しく、ねばる場面を作れずに終わった。今日のところは完敗。来場所以降に期待したい。

琴光喜と北勝力は、琴光喜が今日も首をかしげる相撲。
立ち合いからの流れは今日も万全。すぐ右を差して組み止めた。北勝力としては、つかまれば相撲はとれない人だから、もうどうしようもないわけで、琴光喜の楽勝ペースと思ったが、ここからがおかしい。
左からまきかえてもろ差しをねらったのが、まず余計。
右差し左上手の万全の形から、右ののどわで攻めたのも余計。
最後は左上手の脇を締めつつ東土俵に寄って決めたものの、おかしな相撲だった。
昨日負けたことで、連敗はできないという気持ちから慎重になったのだろうが、十二分の体勢を作った序盤の攻めの後が、あまりにもちぐはくな印象だった。

白鵬と琴奨菊は、過去白鵬の６戦６勝。
白鵬は立ち合い踏み込んで、左前まわしをさぐりながらまず左を入れ、右もねじこんで二本差し。
琴奨菊もおっつけは見せたものの、白鵬の一気に出足にまっすぐ下がり、白房下で土俵を割った。
白鵬としては無難な相撲だが、見ていて、立ち合いに右足が遅れて残るのが、やはりちょっと気になる。

全勝　安美錦
１敗　白鵬、千代大海、春日王、旭天鵬、豪栄道

安美錦は白鵬戦がまだだし、他の上位戦も残しているだけに、実質的にはトップにいるとは言えない。
白鵬が立ち直りつつあるので、優勝争いは白鵬中心の展開になると思う。