naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所12日目の土俵から

栃乃花栃栄が引退。
琴奨菊が再出場。

嘉風境澤は、土俵際微妙な勝負となり、軍配は嘉風。軍配通りでもいいかと思ったが、協議の結果は取り直し。
取り直しの相撲は、嘉風が制した。
境澤は、二番とも立ち合いの踏み込みが不足。嘉風のスピードが上回った。星によっては来場所の新入幕も、という境澤だが、幕に上がった場合の課題を感じたことだろう。

栃煌山若ノ鵬は、立ち合い右四つ。栃煌山は左からおっつけたが、若ノ鵬は上手を充分にとり、すぐに左から投げて相手をふりまわしたのがよく、そのまま赤房下に寄った。栃煌山に力を出させ得る時間を与えなかった。このところの若ノ鵬は、立ち合いがまともになり、まずまずの相撲をとっている。これで勝ち越し。
栃煌山は、ここへきて調子を落としてきた。3連敗で6勝6敗。

市原は、黒海に立ち合いの変化。これはいけない。
以後、細かく突き合う中、市原は腰を引いてこわごわとっている感じ。黒海が引き落とすと、つっかい棒をはずされたように落ちた。
今場所は、市原に感服させられることなく終わってしまうのだろうか。

若麒麟は、よく突いたが、海鵬が、土俵の丸さを生かしてまわりこみ、肩すかしで決めた。
老練なうまさはさすがだったが、幕尻で6勝6敗は、まだ気が抜けない。

普天王と2敗の鶴竜は、普天王がいい当たりで左四つに組み止めようとしたが、鶴竜がこれを嫌い、まわりこみながらかわした。
鶴竜は動きがいい。相手のかいなをたぐるのがうまかった。うまさだけでなく、力強さも見せており、相撲に幅が出てきた。

岩木山豪風は、豪風が左に動き気味の立ち合いを見せ、左はず。岩木山は、相手を抱えるようにして正面に出たが、豪風が左から突き落とした。

玉春日垣添は、星のあがらない同士の対戦ながら、いい攻防を見せてくれた。

若の里が、立ち合いすばやくもろ差しになって、豊響を圧倒。
豊響は負け越し。来場所の出直しに期待したい。

豊馬将豪栄道は、終始豪栄道が主導権を握った相撲となった。
立ち合い左から張ってもろ差し。豊馬将はすぐに右をまきかえ、左上手もとって、これで戦えるかと思ったが、豪栄道は休まずに攻め、両まわしを引きつけて寄ると、今場所守りの堅さがまったく出ていない豊馬将は、あっさり土俵を割った。土俵際での豪栄道の腰の落とし方が見事。
それにしても豊馬将の相撲は、相変わらず目を覆うばかりだ。

把瑠都豊ノ島は、豊ノ島が低く入って二本入れ、頭もつけてもぐったが、把瑠都が右上手をがっちりとったので、攻められない。
把瑠都は左をまきかえて、上手を引きつけて寄った。
今日の把瑠都は、若ノ鵬同様に、身体を生かしたまずまずの相撲だった。両者に望むのは、こういう相撲を常にとる徹底した姿勢だ。
それにしても、豊ノ島は、大関戦での殊勲もあったし、両横綱との相撲もよかったのに、これで負け越しは残念だ。

時天空に再出場の琴奨菊。過去の対戦成績は、時天空の9勝2敗。再出場早々の相手としては荷が重いかと思ったが、琴奨菊が立ち合い左に飛ぶと、時天空はあっさり落ちた。
琴奨菊の再出場自体、いかがなものかと思うが、この一番にしても、こうして本来の相撲をとらずに勝って何になるのか、と言う気がする。
あと2番勝てば三役維持、ということはあるが、不完全な状態で無理して出場することはないと思う。
琴奨菊なら、来場所平幕に落ちても、また三役に復帰できる力はあるのだし。
感心しない。

出島栃乃洋も、負けが混んだ同士の対戦だったが、互いの持ち味を出し合った、いい攻防を見せてくれた。玉春日垣添の相撲同様、こういう相撲は値打ちがある。

安馬稀勢の里は、稀勢の里が頭から突っ込むところ、安馬が右へ変化、相手のかいなをたぐって決めた。
安馬としては、今場所の稀勢の里が、立ち合い右上手をとるのが速いことを知っていて、それを警戒したのだろう。小兵とは言え、力をつけている安馬だけに、立ち合いの変化は感心しないが、稀勢の里が頭を下げすぎ、相手を見ていなかったのもまずい。

魁皇と2敗の旭天鵬は、魁皇が立ち合い左をのぞかせ、右も強引にねじこみながら、とにかく前に出た。前に出ると強い。これで勝ち越し。先場所のことを思うと上々だろう。ただ、これからの両横綱との対戦に期待がもてるとまでは言えないが。

琴光喜朝赤龍は、琴光喜がいい相撲。立ち合い右肩から当たり、右四つに組み勝った。左上手も充分。朝赤龍に上手を与えない。そこからやや間があり、また攻めの遅さが出たかと思ったが、今日はそういうことはなく、上手を引きつけて東に寄った。途中どうなるかと思ったが、あと1番で勝ち越しというところまでこぎつけた。ただ、明日の朝青龍戦に期待が持てるかというと、これもちょっと難しいだろう。

さて、1敗並走の両横綱
白鵬琴欧洲は、白鵬が今日もまわしにこだわらずに離れる相撲。右肩で当たり、突き押しで攻め立てた。
琴欧洲は受けにまわったままで、終始後手。相手の動きに対応しようとするだけで、勝ちにつながるような取り口はまったく見られないまま、白鵬に左からすくわれて転んだ。琴欧洲は、昨日も今日ももろかった。
白鵬の完勝という内容。ここ数日の白鵬には、非常に気迫を感じる。目立って調子を上げてきたという感じはないが、気がつけば、序盤の相撲よりもひときわ充実してきたと思う。

結びは朝青龍安美錦朝青龍の残りの相手を考えると、琴光喜魁皇よりは、むしろ安美錦に期待が持てるところだ。
控えの朝青龍の表情を見ると、出場停止になる前の、好調時の顔に戻ったように思う。今場所ここまで、色々な表情を見せており、時には自信のなささえ感じさせていたが、今日に関しては、かつてのふてぶてしさが戻った。
しかし、時間いっぱいからの立ち合いは、珍しく横綱の方から一度嫌った。
これは、と思ったが、立ってからの相撲は、横綱の完勝。左から張っておいて左上手、右差しと右四つにつかまえた。安美錦は左をまきかえてもろ差しとなったが、朝青龍はかまわず外四つからすごい引きつけで正面に寄り切った。
この一番は、朝青龍の引きつけがよかったのが勝因。安美錦は、動いて活路を見いだすことを封じられた。
朝青龍も、安馬戦をしのいで勝ったあたりを境に、急に調子を上げてきた。私は、朝青龍の復調については慎重な見方をしてきたが、昨日今日の相撲を見ると、好調時の相撲に戻ったと言っていいと思う。
気迫においては、白鵬朝青龍とも甲乙つけがたいものがある。

1敗 白鵬朝青龍
2敗 鶴竜
3敗 豪風旭天鵬

3敗は実質圏外であろう。
明日からの2日間、両横綱大関戦だが、星を落とす可能性は低い。千秋楽結びの相星決戦が濃厚になってきた。