日本語の難しさの一つに敬語があるという。
書店に行っても、敬語の本はたくさんある。
私は、親のしつけのおかげもあって、子供の頃から国語は比較的得意な方だったから、敬語についても、まあ人並みには身につけているつもりではある。
ところが、つい最近(2、3年前くらい?)まで知らずにいて、「これまでずっと恥かいてきたんだ・・・」と思った言葉が一つある。
「持参」という言葉だ。
言われてみれば当たり前なんだけど、「持って参る」なんだから、謙譲語なんですね、これ。
でも、それとは気がつかず、これまでず~っと、半世紀近く過ごしてきたのです。
会社で、会議の案内とか、よく書くが、そういう時に、「当日は○○をご持参下さい」とか「持参物は・・・」とか、長年平気で書いていたのだ(汗)。
正しくは「お持ち下さい」「お持ちいただく物は」ですね。
こちらが「持参します」はいいんだけどね。
いやあ、気がつかなかった・・・。
もう一つ。これは他人の話。
この駅員さんが、繰り返し繰り返し言っている一つが、「電車が到着すると、たくさんお客さんが下りるので、ホームで待っているお客さんは、ドアの前を広く空けてくれ」という指示。
その時に使っている敬語。
「電車、到着致しますと、中からたくさんのお客さまが下りてまいります。ドアの前を広く・・・」
「電車、到着致しますと、中からたくさんのお客さまが下りてまいります。ドアの前を広く・・・」
「下りてまいります」は謙譲語ですね。
この駅員さん、何度も何度も「下りてまいります」と言っているのだ。
せっかく、滑舌のいい、さわやかな青年(たぶん)なのに、惜しいな、と毎朝思っている。
せっかく、滑舌のいい、さわやかな青年(たぶん)なのに、惜しいな、と毎朝思っている。