１月場所10日目～大熱戦の後遺症か、白鵬、把瑠都共倒れ

豊真将が、今日も積極的な攻めを見せ、岩木山を上手投げ。７勝３敗。
繰り返し書くが、立ち合いからまわしをとるのがもっと速ければ、と思う。

豊響は土佐ノ海にはたかれて３勝７敗。今場所の豊響は、前に落ちる場面が目立つ。

２敗の玉乃島は、朝赤龍の変化にあわてず、引き落として８勝２敗と勝ち越し。

１敗の栃煌山も、おっつけながら出足よく鶴竜を押し出した。一方的に敗れてしまった鶴竜は、期待はずれ。鶴竜だったら、もっとねばって熱戦になると思ったが・・・。

稀勢の里は、立ち合いの張り差しが悪く、豪風に二本差されるまずい相撲。突き落として勝つには勝ったが、まったく見るべきものがない内容だった。これで５勝５敗。ほんとにこの人は、成績も相撲内容も、今一つぱっとしたところがない。要するに、ムラがあり過ぎるのだ。

把瑠都に対して、豪栄道が最高の相撲をとった。
立ち合い、左の前まわしがとにかく速かった。右の前まわしもつかんで、二本入った。把瑠都は、豪栄道の左かいなをきめにいき、豪栄道もきゅうくつなもろ差しではここまでかと思ったが、どういうわけか、把瑠都はとことんきめることをせず、むしろきめていた右かいなを自分からほどくような感じになり、そこを豪栄道が左からおっつけて、向正面に出足よく寄り切った。
把瑠都の相撲は、立ち合いも、その後の攻めも甘い。少し前の甘い把瑠都に戻ってしまったような内容だった。一方の豪栄道は、非常に厳しくいい攻めができて、会心の勝利。値打ちある白星だ。
昨日、白鵬に対してあれだけの相撲をとれた把瑠都が何故、という感じではあるが、ああいう熱戦の翌日だったからこそ、今日は格下の豪栄道に対して、今一つ気力が充実しなかったのかもしれない。
それにしても、朝青龍がまだ把瑠都と対戦していないのが、今後の優勝争いにおいては楽しみだったが、今日の敗戦で、把瑠都の気力が萎えてしまうと・・・。

魁皇は踏み込みがなく、まったくだめな立ち合いだったが、引き足よく嘉風をはたき落とした。

両横綱との対戦を残し、期待される１敗の琴欧洲が、千代大海に苦杯。今日はまったくいいところなく、千代大海の突きに下がってしまった。この相撲に関しては、琴欧洲がふがいなかったというよりは、千代大海の突きをほめるべきだろう。
琴欧洲は明日朝青龍との対戦が組まれているが、少なからず期待がしぼんだ感がある。

結び前、白鵬と日馬富士。仕切りを観ていて、把瑠都と同じことが、白鵬にも言えるのではないか、と危惧した。横綱としても、あれだけ気力をふりしぼった、死力を尽くした相撲をとった翌日、今一つ調子の上がらない日馬富士に対して、同じような気持ちで相撲がとれるかどうか、と。しかも、日馬富士は、もともとそう対戦成績で分のいい相手ではない。日馬富士から見ても、昨日の朝青龍よりは、白鵬の方がとりやすいところがある。
もしかしたら、と思ったのだが、やはりそういう結果になってしまった。
日馬富士の立ち合いは、今場所一番。低く頭で当たって、すばやく左前まわしをとり、右もとって二本差し。その後も、休まずに動いて攻め続けた。白鵬は両上手ともとれずに、防戦一方。落ち着いて何とかしのげるかと思ったが、日馬富士の休まない攻めはそれを許さず、最後は膝をはらっての左下手投げで崩して寄り切った。
昨日、今場所一番の熱戦を演じた、把瑠都、白鵬の共倒れ。相撲とは、そういうものなのだ、と痛感させられた。

さて、この時点で、とうとうただ一人の全勝となった朝青龍。相手の琴光喜は、絶好調で当たってもなかなか朝青龍には勝てないのに、今場所は昨日まで２勝７敗。まず勝ち目はないと思われたが、予想外にいい相撲をとった。
立ち合いからの攻防で左四つ。琴光喜よりは朝青龍有利の四つではあったが、琴光喜の方が先に上手をとって、朝青龍に上手を許さない体勢。これはもしかしたら、と思ったが、次の瞬間、朝青龍は右からまきかえてもろ差し、赤房下へ出足よく押し出した。
今場所の朝青龍は、こういう相撲が多い。立ち合いから自分の形に持ち込めず、不利な体勢になることが多いが、そこから相手の攻めが出る前に、体勢を挽回して勝つ相撲だ。
あぶなっかしさはあるものの、日を追うごとにそれは減ってきた。有利な体勢を勝ちにつなげられない、対戦相手がだらしないとも言えるが、綱渡りの場面があっても白星を重ねてきて、ついに全勝で単独トップに立った朝青龍の気力はすごいものだと思う。
ただ、勝負がついた後、朝青龍が相当左ひじを痛そうにしていたのが心配だ。明日以降、どうだろうか。

全勝　朝青龍
１敗　白鵬、栃煌山
２敗　琴欧洲、玉乃島
白鵬が、今日の敗戦から、気持ちを切り替えられるだろうか。
今日のＮＨＫの放送では、｢ちょっと気が早いですが｣と言いつつ、過去の、千秋楽全勝同士の横綱対決を紹介していたが、あまりにも気が早かったね。