野球はほんとにわからない。
日本シリーズ第6戦は、誰もがそれを痛感したのではないだろうか。
2勝2敗で迎えた、あの第5戦。
それでも、ジャイアンツは、終盤に粘りを見せて9回裏に同点に追いついた。
流れはジャイアンツか? と思われたが、そのままサヨナラ勝ちに持ち込むことはできずに延長戦。
ビハインドながら9回からリリーフしていた守護神西村が、10回の表、ピッチャーの則本にフォアボール、藤田へのデッドボールで崩れ、勝ち越しの2点を献上。
ロングリリーフした則本の粘投の前に、再度の同点劇ならず、楽天が王手となった。
力を出し切れなかった方が負ける。そんな印象を受けた試合だった。
ホームゲームで逆転サヨナラを演じることができなかったジャイアンツ。
対照的に、楽天は、デッドボールをおしての藤田の激走、則本の力投、とムードは最高だった。
王手をかけて、王手をかけられての仙台移動。
第6戦、ホームのKスタ宮城では、今シーズン不敗の田中が待ち受ける。
第5戦までのジャイアンツのチーム打率は、何と僅か.153。2割にも満たない。
短期決戦で、水物と言われる打線が上向かぬまま、田中との対戦。
これはもう、ジャイアンツにとっては、崖っぷちも崖っぷち。
一方の楽天からすれば、これ以上のシナリオはない、と言う他はない状況だ。
この第6戦、田中が完投勝利すれば、三度の胴上げ投手。そして、田中はとうとうポストシーズンを含めて今年不敗のままで終わることになる。
ジャイアンツファンの一人としては、野球は何があるかわからないし、シリーズ2回目の対戦になる田中を何とか打ち崩して、と思ってはいても、1割台のチーム打率が、急に変わるわけはないよなあ、というのが本音ではあった。
しかし、やはり野球はほんとにわからないねえ・・・。
打線覚醒。
(高橋)由伸も、坂本も、ロペスも。
(阿部)慎之助だけがまだちょっと、という感じだが、田中から2ケタの12安打は大したものだ。
それにしても、球史に残る試合と言っていいだろうと思う。
とうとう今シーズン初の黒星を喫してしまったものの、続投志願して9回を投げきった田中は立派だった。
9回、勝ち越し打を献上した高橋由を三振に切って取る160球目で152キロを出す凄さ。
9回、勝ち越し打を献上した高橋由を三振に切って取る160球目で152キロを出す凄さ。
この試合、無敵の田中を打ち崩したジャイアンツ打線の勝利、という印象が強いが、それに劣らぬ殊勲者は菅野だろう。
2度にわたる田中との投げ合い。第2戦は、相手が田中だから敗戦投手になったとは言え、2点に押さえた。この第6戦も、勢いづいていた楽天打線を7回3安打に押さえたピッチングがなければ、勝敗はどうなっていたかわからない。
菅野、則本と、このシリーズ、ルーキーの活躍は誠にあっぱれだ。
さて、第7戦。
この流れなら、当然ジャイアンツが日本一、と言いたいところだが、とにかく野球はわからないからねえ・・・。
私が瞬間思い出したのは、1976年の、阪急相手の日本シリーズだ。
それも、その第6戦は、0-7の大劣勢からの劇的な逆転サヨナラ勝ちだった。
ジャイアンツファンならずとも、この勢いなら3連敗4連勝で日本一は間違いない、と思ったものだが、その第7戦は、足立投手に押さえ込まれてしまった。
ポイントは、先発投手。杉内と美馬、どちらが持ちこたえるか。2番手以降は、控え投手総動員となるだろう。
上向いてきたジャイアンツ打線が、さらに爆発できるか。
特に、阿部が、最後の最後、第7戦には間に合って、チームに貢献できれば、と思う。
原監督が目標に掲げた「日本一連覇」。
ジャイアンツの日本一連覇は、1973年の9連覇達成以来、ない。9連覇どころか、2連覇もないのだ。
その9連覇を達成した時の監督、川上哲治氏がシリーズ中に逝去した。
ジャイアンツとしては、40年ぶりの日本一連覇を手向けたいところだが。