naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

床屋2~床屋歴と、ある出来事

子供の頃は、家の近く、母の実家の菩提寺の前に床屋があり、母親に連れられて行っていた。
母親は私を置いて一旦家に帰り、終わる頃合いを見計らって迎えにくるのであった。

正確に記憶してはいないが、確か中学に上がった頃から、母に髪を刈ってもらうようになった。
当時、「サボ」とか「サボイ」とかいった商品名だったと思うが、要するに櫛の根本に刃をしこんだような散髪道具が発売された。これで髪をとかすようになでつけると髪が切れるのであった。
これを使って、母が散髪をしてくれるようになった。
これは確か大学卒業まで続いたと思う。大学の時も、実家に帰省した時にやってもらっていたと思う。

就職したのを機に、散髪もちゃんと専門店でやってもらえという話になって、(この一連の記憶が確かならば10年ぶりくらいに)床屋復帰した。

入社して、浦和の独身寮時代は、どこの床屋に行っていたのか、あまり記憶がない。実家帰省の際に、踏切の近くにあるMという床屋に行くことが多かったのかもしれない。

千葉の現場勤務になって、千葉市に転居した後は、事務所の近くの床屋や、千葉駅近辺に買物に出た時などにそのあたりの床屋に行っていた。

今のマンションに住むようになってからは、前に書いたように周辺の何軒かを遍歴した末に今お気に入りのPに落ち着く。

この間、労働組合の専従役員の仕事をしていた時期があり、オルグなどで全国を出張する機会が多かったため、散髪に行くなら、出張先で店をさがして入ることを心がけていた頃もあった。
大津やら、京都やら、博多やら、大阪の新世界やらで入った床屋は、それぞれ1回きりしか行っていないが、よく覚えている。懐かしい。

そんな床屋歴の中で、今でも印象に残っている出来事がある。

千葉の現場勤務時代のことだ。
事務所の近くの床屋に行った。ここは、私がある時突然思い立ち、生まれて初めてパーマをかけてもらった店でもあったが、今はその話ではない。

普通の散髪目的で入り、やってもらっていた。

その内、2、3人の男が店に入ってきた。
客かと思ったのだが、待合いの席に座ることなく私の髪をいじくっていた店主に近づいて、何やら話しかけてくる。

最初は何の話かわからなかったが、「利息だけでも入れてくれないと困るんだよね」などの話が聞こえてきた。

その内、店主がレジのところへ行って、金を出して、「今日のところはこれで」というようなことを言った。
もっぱらしゃべっていたのは男たちのリーダーらしき男であったが、「あんたも奥さんや子供がかわいいんだろう?」とか言った後、「また来るよ」と去っていった。

男たちの風体はその筋のヒトには見えなかったし、終始物静かな話し方ではあったが、伝わってくる迫力のようなものはあった。
何だかテレビドラマか映画で見たことがあるようなシーンだなと思いながら、目をつぶって座っていた。