１月場所13日目

天覧相撲。平日の天覧は非常に珍しい。ちょっと記憶にないが、以前にもあっただろうか。

嘉風はまったくいいところなし。終始相手片山ペースの相撲におわった。気持ちが切れてしまったようだ。

豊桜がいい相撲。厳しい突っ張りから左はずの攻めで、調子のいい春日王を圧倒した。星はあがっていないが、値打ちのある相撲を見せてくれた。

旭鷲山と若兎馬は、右四つに渡り合う意外な展開。左上手を先にとった旭鷲山があっさり投げて終わりかと思ったが長引いた。力相撲の末、旭鷲山が寄り切ったが、何故かほほえましく感じられた。

高見盛は琴奨菊に左四つに組まれて防戦一方の相撲。高見盛は最近左四つで勝つこともあるが、差し手を返して上手をとる形になれなかったので致し方ない。

若の里が豊ノ島を下して９勝目。２ケタはいけそうだが、やはり物足りない感がある。この位置なら、もっと圧倒的な力の差を感じさせる勝ち方がもっとあってもいいのだが、今日あたりも、結構｢いい相撲｣になってしまった。この程度の相撲で来場所上位に戻っても、その先三役に復帰して定着できるのか、という目で見ると、やはり物足りない。

元気な北桜は２ケタお預け。今日は十文字が休まずに動きまわり、北桜は一度もまわしに手がかからなかった。

時津海が非常にいい相撲で２敗を守った。垣添も必死に動いたが、最初のかんぬきからガチッとつかまえ、最後は完璧な右四つの形を作って寄り切った。時津海がいいところを出し切った相撲。

土佐ノ海が負け越し。今場所は序盤戦は力が充実した相撲を見せていたが、やはりここまでくると疲れてきたか。最低もう１番勝たないと幕内残留が苦しくなるが・・・。

稀勢の里が７勝目。左四つの形に持ち込みながら、あっさり寄って決められなかったのは、顎が上がっていたからだ。思い直して顎を引いて再度の寄りで決めたが、今ひとつ厳しさ不足。
この一番、稀勢の里がややフライング気味の立ち合いだった。春日錦が受けて立ったので勝負が成立したが、行司が止めてもよかったように思う。
以前は、立ち合いの手つきが不充分だと、審判長が止めたりしていたが、最近は明らかに手をついていなくても止めずにそのままとらせている。方針が変わったのだろうか。

星の上がっていない白露山は今日はいい相撲。上突っ張りで朝赤龍を土俵際まで攻め込み、ねばられて左四つに組まれたところでは、これはと思ったが、右からのひねりをきかせた左下手投げでほねりつぶした。

露鵬は威力のある突っ張りで安美錦を押し込んだが、土俵際の逆転を食った。安美錦もこれで勝ち越し。露鵬としては勝負の詰めを反省すべき一番。

玉乃島と黒海は、お互いに相手の出方待ちの長い相撲になったが、玉乃島必死の外掛けが決まった。これで両者６勝７敗。
黒海は、序盤１横綱２大関を破って新三役が見えたと思ったが、苦しくなった。ともかく残る２日間勝って勝ち越してほしい。今日の相撲は、立ち合いに厳しさが不足した。強く当たって突き放すべきだった。
一方の玉乃島は同じ６勝７敗ながら、これで５連勝。けがをしながらの健闘は評価できる。

１敗の北勝力に２敗の白鵬は、一方的な勝負。
北勝力は過去４戦全敗の白鵬相手でもともと分が悪いが、今日は立ち合いに迷いがあったか。
踏み込みがないままに両手突きに行ったが、一方の白鵬は今日も迷いなく左から踏み込みよく張り差し。
すぐに引いてしまってはどうにもならない。
踏み込みの差。また北勝力は優勝争いのトップということで気持ちに乱れがあったようだ。
白鵬は土俵を下りても気合いの入った表情をしていた。かなり気力が充実してきている。相撲も安定しているし、残る２日も期待が持てる。

琴光喜と岩木山は、琴光喜のつっかけが稀勢の里以上に早かったが、行司伊之助が残ったの声を出した。さすがに審判長が止めたが、立行司にしては不手際。
立ってからはすぐ琴光喜がつまらぬ相撲をとった。いきなりの引きで自滅。
勝ち越しはしたもののこれで８勝５敗。こういう状態で何場所三役を保っても、本当に意味がない。
すべて精神的な弱さだろう。

２敗の琴欧州が１敗の栃東をひきずりおろして並ぶかという一番。
相撲のたちからすると、上背に勝る琴欧州ががっちりと上手をとれれば、分のいい形になり、栃東側にしてみれば、おっつけの前さばきで琴欧州のまわしを防ぎながら、相手の体勢を崩す相撲だ。
そんな展開予想の中、時間一杯。
栃東の動きがまさった。琴欧州の張り差しにひるまずにすぐ左にうごいていなし、主導権を奪った上で、そのあとは一気に前に出る厳しい攻めで快勝。
内容的には琴欧州にいいところがまったくなかった。今日はもろかったという印象。この人は大一番になると、こういうあっさりした負け方をすることがある。琴欧州としては、立ち合いの張り差しがよかったのかどうか。

右腕のテーピングが心配された朝青龍は、やはり相当悪いようだ。ほとんど右が使えないままに安馬の投げに手をついた。
安馬が立ち合いから右上手をとって頭をつけるいい体勢になったのがよかったが、横綱が普通にとれる状態であれば、その形自体を作らせなかったはずだ。それができなかったのは、右腕が使えないということだろう。痛みも相当あるかもしれない。
安馬は金星でめでたい勝ち越し。二重に嬉しい白星となった。

これで栃東が１敗で単独トップ。
２敗で白鵬、北勝力、時津海。３敗に朝青龍、琴欧州。

琴欧州が今日栃東に勝っていれば、２敗が５人という形で、残りの２日が面白いところだったが、この結果だと、優勝争いに関しては栃東が断然有利になったと思う。
それはひとえに横綱の状態が心配されるからだ。普通であれば、トップの栃東が横綱戦を残しているので、まだわからない、というところだが、今場所に限っては違う。
朝青龍の今日の相撲を見たところでは、逆転の８連覇どころか、千秋楽までとれるのか、という感じがする。気が強い横綱なので、休場はしないかもしれないが、残り２日、連敗が濃厚だ。
栃東の14日目は北勝力。北勝力も２敗で追うポジションにいるとはいえ、今日の負け方を見ると、やはり大関有利は動かない。
栃東が１敗のままで優勝を決める可能性が高くなったと思う。
しかし、こうして見ると、白鵬が栃乃花に喫した１敗が何とも大きい。