５月場所４日目

高見盛と十文字は攻防のある相撲。
前半は十文字ペースの展開だったが、高見盛もよくねばり、左四つながら左からすくって右上手もとり、四つの格好としてはいい体勢になった。しかし、十文字も休まなかったのがよく、結局は体力の差が勝敗を分けた。

豊真将は、今日も低く行ったが、片山はそのへんを研究していたようで、かたすかしをひいた。
豊真将がやや頭を下げすぎた感じもあり、さすがに落ちた。

把瑠都に北桜は楽しみな一番。
把瑠都の立ち合いは高く、右四つに組んだが左上手が深かった。
相手北桜充分の右四つに渡り合っては、さすがに簡単には勝てない。
土俵際ややきわどかったが、把瑠都のうっちゃり及ばず、北桜の快勝。
それにしても、今日の一番は、把瑠都の未熟さが目立った。
立ち合いが高かったこと、上手のとり方、時々そりかえって、終始立ち腰の体勢。
まだまだ相撲が大ざっぱで甘い。
体力だけで勝っていけるほど幕の内は甘くないということだ。
これから、どこまでムダをなくした相撲を身につけていけるか。そこに注目したい。

嘉風が玉春日をひきおとし。玉の動きにふりまわされないところは、やはりちょっとだが地力がついてきたことを感じさせられる。

栃乃洋は、昨日に続いて左下手からよく攻めたが、今日は普天王が右上手を絶対離さない相撲でしのぎ勝った。普天王の今日の相撲はよかった。

出島は一瞬早く立って一気の押し。
一方の時天空は、これから伸びようという若手にしては策がなさすぎる。

安美錦と露鵬は、土俵際きわめて微妙。
流れからして、安美錦に軍配が上がるのはいいとして、体の飛び方はほとんど同時。
足の踏み切りの問題はないと思うので、物言いはあっていい相撲。取り直しが妥当と思う。

琴光喜がもろい相撲。朝赤龍の立ち合い当たってのつきおとしを食った。
接触した時にがっちりつかまえなければ。
相変わらず、どういう立ち合いをするのか定まらない人だ。

一方の関脇雅山は、小さい豪風をよく見て突き、今日は一瞬差しておっつけ加減に勝負をつけた。
今場所の雅山は相撲が徹底している。
豪風もよくとったが、やはり地力負けだ。

千代大海と安馬は、激しい突き合いの相撲。
千代としては、押される心配は少ないので、今日についてははたきに行く必要がなかった。
それにしても、安馬はまともに行きすぎた。突き合うにしても、何かその後の策がほしい。
やはり体調が万全でないということか。

琴欧州は旭天鵬との一番、右四つに持ち込んだものの、一瞬とった左上手を切られ、危なげだらけの相撲。
勝つには勝ったものの、まだまだ先々場所までの相撲にはほど遠い。

連敗の栃東、今日は若の里。今場所の調子の差、接近している過去の対戦成績から、まずいタイミングで難敵と当たった格好だが、若の里のまずい攻めに救われた。
立ち合いは若の里が踏み込みよく押し込んでいった。栃東は今日は下がる相撲。
両者最後までまわしにまったく手がかからない相撲だったが、若の里は、前に出ながらまわしをとって寄るべきだった。
それをしないままただ前に出たのが敗因で、栃東のつきおとしを食った。
一方の栃東はまったくいいところがなかったが、攻めこまれる中で、右からのおっつけで防戦していたことが、何とか勝ちにつながった。
中日までにもう一つくらいは星を落としそうな感じだ。

今日一番の好取組、白鵬に稀勢の里は、意外にも初顔。
けんか四つということでの興味が大きい対戦だ。
立ち合い稀勢の里の当たりがよく、さすがの白鵬も左上手をとることができなかった。
しかも稀勢の里充分の左四つになり、どうかと思ったが、ふところの深さから余裕はあった。
稀勢の里としては、相手の左上手を封じ、得意の左おっつけで左四つに持ち込むねらいは充分実現したが、今日はそこまでが精一杯だった。
本来であれば、更に右上手をとって充分という形を作りたかった。
そこまでの流れはさすがに作らせてもらえなかったということだ。
白鵬は、相手充分の左四つながら、左下手はいいところをとって返し気味の体勢。この形にとりあえず持ち込めば、柔らかさとふところの深さで持ちこたえられる、
まだそれだけの地力の差はあるということだ。
稀勢の里としては、非常にいい相撲もとったが、善戦止まり。

魁皇は、まあ一応余裕を持ってとれる相手の一人といえる垣添だったが、苦戦。
立ち合いの待ったも迷いを感じさせた。
(行司がはっけよいの声を出したのはまずい。審判長が手を挙げているのだから、行司も止めねばならない)
再度の立ち合いは、垣添にかっぱじかれて危なかったが、逆につきおとして何とか勝った。
余裕のある相撲ではまったくない。
花道を引き揚げる表情にも安堵はうかがえなかった。