５月場所３日目

武雄山が大真鶴にいい押し。

嘉風が十文字に寄られながらも土俵際逆転の投げ。体格に勝る十文字を逆転できたのは、嘉風に少しずつ地力がついてきている証拠か。

高見盛がすばらしい相撲で北桜を一方的に下した。
立ち合い接触した瞬間に左前まわしをとったのが勝因。
今日は強いと思わせる相撲だった。

把瑠都は立ち合いから受ける形の相撲。北勝力の突きに上体が起きたが、左四つに組み止めて体格の利を生かした。
しかし、立ち合いがまだまだ甘い気がする。
それにしても、北勝力は先場所に続いて精彩がない。

豊真将は、今日も終始低い相撲を貫き、豊ノ島の引きに乗じて快勝。
いい相撲だった。

昨日把瑠都に勝った栃乃花は、春日王一気の寄りに完敗。
昨日のような気力を毎日続けるのは難しいのだろう。

栃乃洋と玉乃島は左四つ同士だが、終始栃乃洋充分の形。左下手からの芸が存分に出た。
露鵬は今日ははたく相撲。一方の普天王は伸び悩みの感。

垣添は、一瞬早く立って踏み込み、時天空をうまく押した。
時天空は途中のけかえしが悪手。
しかし、垣添はどうしていつも怒っているような顔をしているのか。

稀勢の里がいい相撲。豪風相手に、まわしにこだわらずよく前に出た。
こういう相撲もとれるようになると、幅がひろがる。

雅山は、今日もいい突っ張りで琴光喜に完勝。３連勝。

琴欧州は若の里に立ち渋った。過去１勝３敗と分が悪いことが頭にあったか。
立ってからも、充分に体勢を作らないままに前に出たのが悪い。
こういう場合、若の里はつきおとしやすくい投げの逆転技がある。昨日の横綱戦もそうだった。
琴欧州としては、上背を生かしてがちっとつかまえる相撲をとれればよかったのだが。
まだそういう相撲がとれるほど足が回復していないということか。

栃東が連敗。
朝赤龍を、突きで攻め立て前に出る相撲は悪くはなかったが、どこかでまわしをとりに行かなければ栃東の相撲ではない。
結局、朝赤龍苦しまぎれのそくびおとしを食った。
昨日今日、負けるにしても負け方があるという印象。横綱をめざす大関の相撲とは言えない。

白鵬は今日も立ち合い左上手充分。後は万全の相撲で旭天鵬に完勝。
ちょっと前までかわそうかわそうという相撲ばかりとっていた白鵬だが、見違えるように相撲が変わった。
横綱不在となったこの場所、他の大関の調子からしても、優勝候補の筆頭といえる。

魁皇が初日。
今日は立ち合い左四つに組み、右から小手に振る形が作れた。
それにしても、一方の安馬はいつもの元気がない。体調万全でないように見える。

千代大海は、今日も勝つには勝ったがという相撲。
３日間、まったく同じパターンの相撲。琴奨菊がもう一歩足がついていっていれば、勝敗は逆になっていた筈だ。
見るべきところはない。

朝青龍は予想以上に重傷だったようで、休場。
稽古量がずいぶん減っていると報じられているが、加えて怪我が増えてきた。
全治２ヶ月とのことだが、よほどの覚悟をもって頑張らないと、今後はだいぶ厳しくなるのではないか。
過去の稽古の貯金も使い果たしてきている。身体が大きくないだけに、怪我が治らず万全の上体でとれないようだと、ちょっと前までの強さを取り戻すことは難しい。
その間に、白鵬あたりが優勝し、横綱をうかがうようになっているようだと、力関係の逆転は遠くない。
７連覇、年間完全制覇、年間最多勝など、過去の栄光は忘れて、本当に一から出直しのつもりでやらないと、場合によっては、現役でとれる期間は思いの他短いかもしれない。